志位和夫 日本共産党

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国会質問

2013年10月18日(金)

暴走政治の矛盾 突く

衆院本会議 志位委員長の代表質問


 日本共産党の志位和夫委員長は17日の衆院本会議で、国政の焦点課題について安倍晋三首相の矛盾を突き、打開策を示して根本的な政策転換を迫りました。これに対し安倍首相は、危機を生み出した原因も責任も自覚せず、暴走政治に固執するだけ。志位氏と首相の姿勢の対比が鮮明になりました。


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(写真)志位和夫委員長が代表質問に立つ衆院本会議=17日

原発汚染水

「コントロール」発言 事実をねじまげ有害

 深刻な事態にたちいたっている東電福島第1原発の汚染水問題で志位氏は(1)「放射能で海を汚さない」という基本原則の確立(2)「収束宣言」の撤回(3)再稼働のための活動の中止(4)東電の破綻処理の4点を提起し、根本的転換を迫りました。

 ところが、安倍首相は「現場でトラブルが続いている」と認めながら、「収束宣言」そのものの撤回要求には応えず、「廃炉、汚染水対策に万全を期すよう、東電を指導している」と東電任せの姿勢に終始。「電力需給の安定」を口実に再稼働を容認する立場も示しました。

 また、志位氏は、「状況はコントロールされている」「(汚染水の影響は)完全にブロックされている」などと国内外で発言している首相に対し、「事実をねじまげる発言を行ったことは有害きわまりない」と批判し、撤回を要求。

 安倍首相は「放射能の海への影響を福島第1原発の港湾内にとどめ、国民の健康を守っていくことがきわめて重要だ」などの一般論を述べるだけでした。

消費税増税

国民からは8兆円も 大企業はバラマキ優遇

 国民の暮らしを壊し、大企業だけを優遇する消費税増税の道理のなさも浮き彫りになりました。

 志位氏は、消費税増税で「とても暮らしが成り立たない」「商売が続けられない」との声を示しながら、国民から8兆円も吸い上げながら、「経済対策」と称して大型公共事業の追加や減税で大企業にばらまくやり方を「あまりに不当な大企業優遇の政治」と痛烈に批判。復興特別法人税の1年前倒し廃止についても「国民に納得いく説明を」と迫りました。

 しかし、安倍首相は、大企業減税について「企業収益の改善が個人の所得の拡大、消費の拡大につながっていく」と破綻した理論を繰り返すだけ。復興法人税の廃止も「未来への投資」と開き直りました。

 また、志位氏は政府が閣議決定した社会保障制度改革「プログラム法案」には「手あたりしだいの負担増と給付減が盛り込まれている」と追及。「このような法案を提出しながら、『消費税増税は社会保障のため』というなど厚顔無恥というほかない」と断じました。

 安倍首相は、消費税増税による財源は「全額社会保障の充実・安定化に充てる」と強調する一方で、プログラム法案は「受益と負担の均衡」をとるものだと社会保障の切り下げを正当化するという矛盾した答弁に終始しました。

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賃上げ・雇用

法人税減税で賃上げ その保障はどこに…

 「総理は『法人税を減税すれば賃上げにつながる』と述べているが、その保障はどこにあるのか」。志位氏はこう述べ、首相の主張を批判。1997年から2012年までに法人税が37・5%から30%に引き下げられたにもかかわらず、働く人の年間平均賃金は70万円も落ち込んでいることを指摘(グラフ)し、「この歴然たる事実をどう説明するのか」と迫りました。

 ところが、首相は「法人税減税が賃上げにつながらなかったのは、先の見えないデフレ状況にあったことが要因」などと原因と結果を逆さまにした答弁に終始。「企業収益」さえ向上すれば賃上げや雇用拡大につながるという議論を展開しました。

 「本気で賃上げを目指すというならば、これまでの姿勢の根本的転換が必要だ」として志位氏が提起した二つの転換―(1)経済界に内部留保を活用した賃上げの実行を迫る(2)雇用のルールを強化し、非正規社員の正社員化をはかる―についても、首相はまったく答えずじまい。

 若者らを過酷な労働に追い立て、使い捨てるブラック企業をどうなくすか―。日本共産党が規制法案を提出したことに対しても、首相は現行法での取り組みにふれるだけでした。

TPP交渉

「聖域」5項目関税撤廃 公約裏切りは明らかだ

 国民の反対を押し切り参加決定した環太平洋連携協定(TPP)交渉の問題でも矛盾が鮮明になりました。

 志位氏は、政府代表が交渉初参加のマレーシア会合で秘密保持契約へ署名し、その後の交渉経過を一切明らかにしていない点を指摘し、「国民への『丁寧な情報提供』はどうなったのか」と追及。安倍首相は「対外交渉なので、お話しできることとお話しできないことがある」とごまかしました。

 自民党が「聖域」としてきたコメなど重要5項目について、同党の西川TPP対策委員長が関税撤廃の検討をすると発言していることについて志位氏は、「公約を裏切るものであることは明瞭だ」と批判。TPP交渉からの即時撤退を求めました。

 首相はここでも、5項目の「検討」にはふれず、「政府の方針に変更はない」とごまかし、撤退は「不適切」と答えました。

秘密保護法

基本的人権じゅうりん 悪法提出の断念求める

 志位氏は、安倍政権が今臨時国会への提出を狙う「特定秘密保護法案」は「憲法が保障する基本的人権をじゅうりんし、戦前のような軍事国家に逆行させようという希代の悪法」だと批判。「秘密」の範囲が政府の判断で際限なく広げられ、「秘密」を漏らした人だけでなく、取材などで「秘密」にアクセスする国民やメディアの活動が「重罪」とされ、国会の調査権も制限するものだと告発。国民の目・耳・口をふさぐ悪法の提出を断念するよう強く求めました。

 安倍首相はあくまでも法案を推し進めることを表明しました。