2013年4月28日(日)

ガチンコ対談 ジャーナリスト角谷さんVS志位委員長

雇用・原発・領土問題…突っ込み、共感の60分

ニコニコ超会議2


 「ニコニコ超会議2」の日本共産党ブースの目玉企画―志位和夫委員長とジャーナリスト角谷浩一さんの「ビッグ対談」は、「ガチンコ対決」(司会の清水ただしさん)の紹介どおり、突っ込みあり、共感ありの60分となりました。


志位さんが「ツイッター開始宣言」

 冒頭の話題は「ニコニコ動画」らしくネット選挙の解禁。志位さんは「私も、ツイッターやります」と発表。「できるだけ早くやります。覚悟を決めて。よろしくお願いします」と語ると、会場から「オー」のどよめきと拍手、ネットでも期待と賛同の書き込みが。

 志位さんは「ネット空間は開かれています。全世界にくまなく発信できます。政治に国民一人ひとりが参加するためのツール(道具)として大いに生かしたい」とネット選挙解禁の抱負を語りました。

写真

(写真)対談する志位和夫委員長(右)とジャーナリストの角谷浩一氏=27日、千葉市美浜区の幕張メッセ

角谷さん「自宅警備員に救いの手を」

志位さん「“使い捨て労働”は自然現象じゃない」

雇用

 話題は雇用問題に。角谷さんは、ニートや引きこもりの自らを「自宅警備員」と自虐的に呼ぶ人たちがこの会場にもいると紹介しながら、共産党の対応を問いました。

 志位 本当は人間らしい仕事をみんな求めていると思います。それを奪ったのは誰か、どうやれば解決できるかが肝心です。

 その原因を問うた角谷さんに志位さんは、1990年代半ばから財界の要求で労働法制が緩和され、正社員が非正規雇用労働者に置き換えられてきた経緯をひも解きながら次のように話しました。

 志位 いまのような「人間使い捨て」になったのは、自然現象ではありません。財界の号令で政治がつくったものです。

 欧州諸国では、非正規社員は1割前後です。二つ原則があるからです。有期雇用・派遣労働などは、「一時的・臨時的業務」に限られるという大原則があります。もう一つは、「均等待遇のルール」があります。正規も非正規も「同一労働・同一賃金」が原則なのです。そのことによって非正規から正規への流れがつくられ、非正規社員はごく一部におさえられているのです。日本でもこういうルールが必要です。

 「自宅警備員」への希望をどう与えるか―。志位さんは「働く人の結集が大事です」と明答。「働く人たちの団結の力で相手を追い詰めていくのが大道です」と語ったうえで、日本の“電機産業の衰退”にふれながら、つぎのように語りました。

 志位 企業の経営者のみなさんにも訴えたい。人間を「使い捨て」る企業で、本当にものづくりの技術は育つのでしょうか。まともな国際競争力は育たないし、まともに商売もできなくなります。

角谷さん「企業は原発がないとだめというが…」

志位さん「自然エネルギーは普及するほど安定供給に」

原発

 「なるほど」と相づちを打ちつつ、角谷さんは「企業は、エネルギー政策がはっきりしないと日本で続けるのは難しい。原発がないとだめといっています」と水を向けました。

 志位さんは「安定供給というなら、一番不安定なのが原発だとわかったのが福島原発事故です」とのべたうえで、自然エネルギーは、(1)普及がすすめばすすむほど安定供給となる、(2)風力、太陽、地熱、小水力、バイオマスなど多様なエネルギーを組み合わせるほど安定供給となる――という二つの特徴があると指摘。「日本ほど再生可能エネルギーの豊富な国はありませんよ。大いに普及に力を入れて、安定供給のエネルギーにしたいですね」と語りました。

 自ら視察した福島第1原発の実態を語りながら、「事故は『収束』どころか真っただ中です」と志位さん。「それでどうして収束宣言が出せるのか…」と首をかしげる角谷さんに、志位さんは、「『収束宣言』を出したことは本当に罪です。そのために東電まかせとなり、収束も廃炉も深刻な手抜きと無責任が横行することになりました」とのべ、「『収束宣言』を撤回し、政府の責任で収束と廃炉の仕事を国家的プロジェクトとしてやると腹を固めないといけません」とズバリ語りました。そのうえで、昨年3月から続く毎週金曜日の官邸前抗議行動にふれて、こう語りました。

 志位 あの声に応える政治をしないといけない。原発は即時ゼロにする。大飯原発も止める。再稼働はさせない。自然エネルギーへの切り替えを政治の決断でやる(ことが大事です)。

 ドイツは2022年までに全原発を止めると構えました。今年の4月18日には、ドイツの全電力のなんと半数が太陽光と風力になったといいます。即時ゼロの決断をして、5〜10年のスパンで自然エネルギーへと大胆にシフトするというのが私たちの提案です。

志位さん「立党の精神は国民の苦難軽減」

角谷さん「共産党は91年間筋を通している」

共産党

 官邸前行動を例に、志位さんが「声を上げることで(悪政を)抑える力になる」と語ると、「声を上げ続ける人がいることが大事」とうなずいた角谷さん。「ずっと続けているという点では、共産党は結党して91年、ずっといいつづけています。このエネルギーと目的は、どういうものですか」と問いかけました。

 志位 1922年に党をなぜつくったかというと、国民のみなさんの苦難をなくす、平和を守る、これが立党の精神なんです。波乱はあったけど、そのことは91年間貫いてきたと思っています。

 角谷 新しい党ができて、つぶれたりしています。91年間ずっと一つの方向と方針と訴えを持っているという点では、筋は確かに通っている。

 志位さんは「自民党型政治が60年余も続いてきた中で、原発の問題も、雇用の問題も、経済の低迷も、外交の問題も、何も解決策がないところまできてしまった」とのべ、「日本は新しい政治への歴史的な変わり目にきています」とのべました。

志位さん「理を尽くした外交力が大事」

角谷さん「共産党のチャンネルが最後の砦」

尖閣問題

 これを受けて角谷さんは、外交、領土、憲法などの問題で「戦後レジームから脱却する」という安倍首相の主張をどう受け止めるかと提起。志位さんは「安倍さんの方から聞こえてくるのは憲法9条を変えて海外で戦争できる国にする話ばかりです。しかし領土問題で日本に欠けているのは軍事力ではない。外交力が欠けている」と応じ、尖閣諸島問題で、日本の領有の正当性を指摘したうえで、どんな外交力が必要かを説きました。

 志位 中国側の立論の一番の弱点は、日本が領有の宣言をしてから75年間、一度も異議も抗議も言ってこなかったことです。中国は「日清戦争に乗じて日本がかすめ取った」といいますが、当時の記録をすべて調べても、日本が不当に奪ったのは台湾と澎(ほう)湖(こ)列島の二つなんです。尖閣諸島は含まれず、中国側の主張は成り立たない。

 角谷 この主張はね、志位さん、石原慎太郎より明確です。資料も徹底的に調べて。

 志位 資料をあたれば明瞭なんですね。歴史的事実にたって、日本の領有の正当性を国際社会に発信しなさい、ということです。ちゃんとした立場の人が領有の正当性を理を尽くして説かなければだめです。

 角谷さんは「自民党では(中国と)会えない」「野党外交で突破口を開いたこともある。志位さんが乗りこんでくださいよ」「このチャンネルが最後の砦(とりで)なんだから」と“突っ込み”。志位氏は「外交は相手があることだけれど、がんばりたい」と応じました。

角谷さん「困っている人を救うのが政治の仕事」

志位さん「SOS受け止められる党へ大きくしたい」

政治の役割

 話題はネット選挙から憲法へと展開。憲法96条を変えて改憲発議の要件を緩和する狙いについて、志位さんは、「国民が国家権力を縛る」ための憲法を「権力が国民を縛って命令する」ための憲法に変えるものだとずばりと批判しました。

 最後に角谷さんは「困っている人はたくさんいます。SOSが出ています。困っている人たちを救うことが政治家の仕事じゃないと困ります」と発言。志位氏は「32万人の党員と2万の党支部が草の根でがんばって、『困った人がいたら共産党に相談しよう』といわれます。私たちの一番の誇りはここにあります。SOSを受け止められる党としてもっと大きくなりたい」と語りました。