2012年9月3日(月)

迫る解散・総選挙 国政の重要課題にどうのぞむか

NHKインタビュー 志位委員長が語る


 日本共産党の志位和夫委員長は2日、「NHK日曜討論」の「“問責可決”・政治はどう動く 各党・政府代表に問う」に出演し、インタビューにこたえました。聞き手は、神志名泰裕解説委員。


野田首相への問責可決をどうみる

“民自公増税連合”に痛打――すみやかな解散・総選挙で信を問え

 神志名泰裕解説委員 よろしくお願いします。

 志位和夫委員長 よろしくお願いします。

 神志名 参院で(野田首相への)問責決議が可決されました。このことの影響をどういうふうにみていますか。

 志位 問責決議は、消費税増税を強行した野田政権と民自公談合体制を断罪したもので、その可決は、“民自公増税連合”に痛打を与えるものになると思います。

 消費税増税を強行した本体である民主党は、参院で「ノー」の審判を下されました。自民党は、自分を名指しで批判した問責決議に賛成せざるを得なくなるという、自己否定、自己破たんに陥りました。公明党は、増税に賛成の立場から採決に棄権することで、増税の急先鋒(きゅうせんぽう)としての姿をあらわにしました。

 この問責可決の大本には、大増税に対する国民の怒りの世論の高まりがあると思います。首相はこの結果を重く受け止めて、すみやかな解散・総選挙で信を仰ぐべきです。

解散・総選挙にどうのぞむか

「アメリカいいなり・財界中心」の政治を断ち切る改革に取り組んでこそ

 神志名 その解散・総選挙の問題ですね。具体的には、志位委員長は、どんな時期を想定されているのですか。

 志位 私たちは、すみやかな解散・総選挙を求めるという立場です。

 私は、衆議院での内閣不信任案への賛成討論のなかで、野田内閣が国民の利益に反するつぎの「五つの大罪」を犯してきたということを、告発しました。

 第一は、消費税大増税の強行。

 第二は、原発再稼働の強行。

 第三は、オスプレイ配備の強行。

 第四は、国民の生活と農業をアメリカに売り渡す、TPP(環太平洋連携協定)参加への暴走。

 そして第五は、「政権交代」に託した「自民党政治を変えてほしい」という、国民の願いをことごとく裏切ったことです。

 この「五つの大罪」の根本には、「アメリカいいなり・財界中心」という政治のゆがみがある。これを断ち切る改革に取り組んでこそ、展望が開けてくる。このことを大いに訴えて躍進をめざしたいと思っております。

消費税増税にどう対応していくか

消費税に頼らない別の道がある――責任ある対案を示す共産党をのばしてこそ

 神志名 そうした政治課題、政治の問題について、それではいくつかお聞きしたいと思います。

 一つは、消費税率の引き上げ問題。法律は成立したわけですが、どんなふうに対応していくのですか。

 志位 増税法案は強行されましたが、実施は2014年の4月からで、それまでには必ず総選挙と参議院選挙がおこなわれます。私たちは、国政選挙で、つぎの「二重の審判」を呼びかけて、大増税(の実施)を何としても阻止したいと考えております。

 第一は、“民自公増税連合”にきびしい「ノー」の審判を下すことです。

 第二に、どの党を伸ばしたら消費税増税阻止の一番の力になるかが問われてきます。

 私たち日本共産党は、政治の姿勢を大本から変えれば、消費税に頼らなくても、社会保障を充実し、財政危機を打開することは可能だということを、具体的に明らかにした「提言」を示しております。

 消費税に頼らない別の道がある――この責任ある対案を掲げている共産党を伸ばすことが、増税阻止の一番の力になることを大いに訴えていきたいと思います。

どうする原発・エネルギー政策 

二つの重要な出来事――再稼働撤回、「原発ゼロの日本」への政治決断を

 神志名 いま、原発やエネルギー政策が国民の間で非常に関心を持たれていますね。この点はどうでしょう。

 志位 この間、二つの重要な出来事があったと思います。

 一つは、関西電力が、この夏の電力需給の結果を明らかにしまして、「原発を動かさなくても、電力は足りていた」ということを認めたことです。政府は、「再稼働しないと電力不足に陥る」とさんざん脅してやったわけですが、これは根拠がなかったということがはっきりしたわけです。再稼働方針は撤回すべきです。

 もう一つは、この間、政府が取り組んできた「国民的議論」についてのとりまとめで、政府自身が、「国民の過半数が原発ゼロを望んでいる」ということを認めたことです。寄せられたパブリックコメント(意見公募)では、8割が即時の原発ゼロを求めているということも明らかになりました。もう民意は明瞭になったわけですから、私は、「原発ゼロの日本」への政治決断をただちにおこなうことを強く求めたいと思います。

領土問題をどう解決するか

 神志名 エネルギーの問題、いろんな見方がありますので、議論を深めてもらいたいです。

 そこで、外交・安全保障の問題についてお聞きしたいのですが、竹島、尖閣(諸島)の問題がありますね。この点はどうなんでしょうか。

尖閣諸島――領有の正当性を堂々と説く外交努力こそ必要

 志位 まず尖閣(諸島)についていいますと、日本の領有権の正当性は、歴史的にも国際法上も明瞭であって、「日清戦争に乗じて奪った」とする中国政府の主張は、成り立ちません。

 日本政府は、中国政府に対して、その領有の正当性を理を尽くして堂々と説く外交努力が必要です。「領土問題は存在しない」というだけの棒を呑(の)んだような対応ではなくて、外交努力が必要だということを言いたいですね。

竹島――冷静な話し合いのテーブルをつくるためには、植民地支配の反省が不可欠

 志位 それから竹島についても、わが党は、歴史的にも国際法的にも、日本の領土だという主張をしております。

 ただ同時に、竹島を日本(島根県)に編入した1905年という時期と、韓国を植民地にしていった時期とが、重なっているという問題があるんですね。

 ですからこの問題で、冷静な話し合いのテーブルをつくるためには、植民地支配への反省をきちんとおこなうことが不可欠になってくる。

 その土台のうえで、歴史的事実をつきあわせて、問題の解決をはかるべきだ、というのが私たちの考え方です。

オスプレイ配備にどう対応するか

飛行と訓練は航空法で禁止、米国では住民の反対で中止――配備は絶対に許されない

 神志名 最後に一点、アメリカの新型輸送機、オスプレイの配備問題ですね。この問題について、どういうふうに対応されていくのですか。

 志位 墜落事故を繰り返している欠陥機を、「世界一危険」といわれる普天間基地に配備し、そのうえ、日本列島の全土で低空訓練をおこなうというのですから、これは絶対に許すわけにはいきません。

 だいたい日本の航空法では、オスプレイのようなオートローテーション(自動回転)機能――ヘリコプター(のローター)が止まった場合に安全に着陸する機能がない回転翼機は、飛行が禁止されています。地上60メートルでの低空訓練をやると伝えられていますが、これも当然、(航空法で)禁止されています。日本の国内法で禁止されているものを、どうして認めるのか。

 神志名 安全性の確保を求めるわけですね。

 志位 もう一点いいますとね、アメリカのハワイでは、住民の環境問題での(反対の)訴えにこたえて、オスプレイの訓練を中止しています。アメリカでは中止しているのに、日本ではなぜやるのか。

 オスプレイの配備はやめろ、とアメリカ政府に求めるべきです。

 神志名 ありがとうございました。

 志位 ありがとうございました。