2010年5月4日(火)「しんぶん赤旗」

志位委員長、NPT議長に要請

核廃絶交渉開始の合意を


 【ニューヨーク=小林俊哉】3日に始まる核不拡散条約(NPT)再検討会議に先立って、2日、日本共産党の志位和夫委員長は、当地のフィリピン国連代表部で、NPT再検討会議議長を務めるリブラン・カバクチュラン国連大使に要請文(全文)を手渡し、会談しました。


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(写真)会談し握手するカバクチュラン・NPT再検討会議議長(右)と志位和夫委員長=2日、ニューヨーク(林行博撮影)

 志位氏の要請のポイントは、(1)2000年のNPT再検討会議で合意された「自国核兵器の完全廃絶を達成するという全核保有国の明確な約束」を再確認すること(2)核兵器廃絶のための国際交渉を開始する合意をつくること―の2点です。

 志位氏は、要請文を説明しながら、カバクチュラン議長が今年3月、核軍縮専門紙に寄せた論文「NPT再検討会議を定義する」で、同会議成功の3要件の第一に、「核兵器の完全な廃絶へと導く交渉のための基礎を築く」ことをあげていることに言及。「こうした方向で会議が成功することを心から願い、要請します」と述べました。

 カバクチュラン議長は要請文を一読し、「たいへん広い知識と深い認識が示されています。感銘を受けました」と歓迎しました。

 議長は、NPT再検討会議では、(1)核軍縮・廃絶(2)核不拡散(3)原子力の平和利用というNPTの三つの柱が同時に交渉・議論されることになることを説明。この全体の均衡をとりながら前進させることが求められることに加えて、「ご存じのように“地雷”のような複雑な問題もあります。難しい問題も抱えています」と述べました。

 志位氏は、「包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効、兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約の交渉も簡単な課題ではありません。非核地帯条約をめぐっても(中東問題など)複雑な問題があります。さらにNPT体制そのものが直面している困難な問題もあります。それらの核軍縮の個別の問題を前進させる努力がそれぞれ必要です。同時に、核軍縮の部分的措置を前進させるうえでも、核兵器廃絶のための国際交渉を開始する合意をつくることが大事だというのが、私たちの立場です」と述べました。

 カバクチュラン議長は、「世界各地を回る中で、核兵器の残虐さや恐ろしさが、まだまだ世界的規模では十分に知られていない現状があることを知りました」と応じ、核兵器廃絶の国際的な世論を広げる重要性を強調。「日本の国民は、この非人道的な爆弾の被害の経験を持っている点で、他国民とは比べることのできない立場にあります」と述べ、市民社会の力で会議の成功を後押しすることに期待を表明しました。

 志位氏は、日本の反核平和運動が、数百万もの署名を集めて同地に結集していることを紹介。「“地雷”を一つ一つ除去しながら、核兵器廃絶にむけて会議を成功させるために議長の活躍を心から願っています」と述べました。カバクチュラン議長は、「ぜひ大勢の方々のご支援が必要です」と笑顔で応じました。