2010年5月4日(火)「しんぶん赤旗」

第8回NPT再検討会議にたいする要請

核兵器廃絶のための国際交渉を
開始する合意をつくることをよびかける

2010年5月2日 日本共産党幹部会委員長・衆議院議員 志位 和夫


 日本共産党の志位和夫委員長が、核不拡散条約(NPT)再検討会議の成功に向けて、カバクチュランNPT再検討会議議長や国連関係者、各国政府代表、非政府組織(NGO)代表らに手渡している「要請文」(全文)は次のとおりです。


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(写真)カバクチュランNPT再検討会議議長らに手渡した要請文

 第8回NPT再検討会議は、「核兵器のない世界」をめざす国際政治の大きな進展のもとで開催されます。

 私は、核兵器による言語を絶する惨害を体験した世界でただ一つの被爆国において、核兵器廃絶を日本国民とともに求め続けてきた政党を代表して、NPT再検討会議が、人類にとっての歴史的チャンスを生かし、大きな成功をおさめることを心から願って、つぎの要請をおこないます。

 1、2000年のNPT再検討会議で合意された「自国核兵器の完全廃絶を達成するという全核保有国の明確な約束」を、再確認すること。

 NPT体制は、五つの大国が核兵器を持ちながら、他国にだけ非核保有を義務づける差別的な体制です。それでも国際社会がこの体制を受け入れたのは、核保有国が核兵器廃絶への真剣な努力をおこなうことを約束したからです。2000年の核保有国の「明確な約束」の再確認は、再検討会議を成功させる土台として意義があると考えます。

 2、核兵器廃絶のための国際交渉を開始する合意をつくること。

 米ロ間の新しい戦略核兵器削減条約の締結、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准・発効、兵器用核分裂物質の製造を禁止する条約(カットオフ条約)、核兵器の先制不使用、非核保有国への核兵器使用・威嚇の禁止、世界各地の非核地帯条約など、核軍縮の個々の部分的措置を前進させることは重要です。

 同時に、そうした部分的措置の積み重ねだけでは、「核兵器のない世界」に到達できないことは、核兵器問題をめぐる外交の全歴史が証明しています。核軍縮の部分的措置と一体に、また同時並行で、核兵器廃絶のための国際交渉を開始してこそ、「核兵器のない世界」への道は開かれます。すなわち、核兵器廃絶の目標そのものを主題として、この目標にいたるプロセスを検討する国際交渉を開始することが必要です。いま、世界がこのような核兵器廃絶の国際交渉に踏み出すことは、個々の部分的措置を前進させるうえでも最良の力となるでしょう。

 2000年のNPT再検討会議では、「適切な限り早期における、自国核兵器の完全廃絶にいたるプロセスへのすべての核保有国の参加」が合意されています。

 2009年9月の国連安保理首脳級会合が採択した決議(決議1887)では、「核兵器のない世界のための条件を築くことを決意」するとともに、NPT締約国が、条約第6条にしたがって、核軍備の削減と撤廃にむけた誠実な交渉をおこなう約束をすることを、よびかけています。

 私は、これらの国際社会の到達点をふまえ、第8回NPT再検討会議において、核保有国をはじめすべての国が、核兵器廃絶のための国際交渉を開始する合意をつくることを、強く要請するものです。