2009年1月31日付「しんぶん赤旗」
人間を人間として大切にする「ルールある経済社会」をつくるために政治が責任を果たすときです―。日本共産党の志位和夫委員長は、三十日の衆院本会議の代表質問で、雇用問題で政府が取り組むべき「三つの仕事」と、内需主導の経済への「五つの抜本的転換」を提言しました。
深刻な社会問題を引き起こしている雇用問題について、志位氏は、歴代自民党政権による労働法制の規制緩和が引き起こした「政治災害」だと指摘しました。
しかし、首相は、「金融、経済危機に端を発したもの」であり、労働法制の改定時の「想定をはるかに上回った」などと責任逃れの姿勢に終始しました。
志位氏は、「政治の責任で解決すべき」だと述べ、政府が「三つの仕事」を同時並行で取り組むべきだと提起しました。
第一は、職を失ったすべての人たちに住居と生活と再就職の支援をすることです。「派遣村」は、政府の失業対策がまともに機能していない実態を浮き彫りにしました。
命の危険にさらされている人たちのために▽全国での一時避難所の開設▽再就職支援の緊急小口貸付資金の拡充▽「住所不定」となった人への生活保護の実施―を求めました。
首相は生活保護で、「住居のない方もふくめ適切に支援する」と答弁しました。
失業者のうち雇用保険の受給者は20%台に落ち込む異常事態です。一方で、雇用保険の積立金は六兆円を超えています。志位氏は、この積立金の活用を提案。「すべての失業者に雇用保険による支援がゆきわたるよう制度の抜本拡充をおこなうことも急務だ」と迫りましたが、首相はまともに答えませんでした。
第二は、これ以上の大量解雇をださないための大企業の監督・指導に本腰を入れることです。
共同通信社によれば、トヨタやキヤノンなど大手製造業は、四万人を超える人員削減を進めながら、六年間で内部留保を十七兆円から三十三兆六千億円へと過去最高に増やしています。
志位氏は、「このわずか0・4%を取り崩しただけで、四万人を超える人員削減計画を撤回できる」として、内部留保の活用は「企業の当然の社会的責任だ」と強調。また、これらの大企業が大株主への配当を増やしながら労働者の首を切っていることを取り上げ、「これは資本主義のあり方としても堕落だ」と強調しました。
首相は、内部留保の活用は「それぞれの状況に応じて最善の経営判断を下すべきもの」としつつも、「最大限の努力をしてもらいたい」と、企業側に一定の努力を求める姿勢を示しました。
現在の大量解雇について、政府の調査でも非正規社員の解雇計画の44%が契約途中の解雇であることが明らかになっています。志位氏は、これらは「現行法のもとでも違法である」と指摘。この間の政府の指導・監督状況を問いただしました。
麻生首相は、「啓発・指導」を繰り返し、本格的な指導・監督をおこなう姿勢は示しませんでした。
第三は、二度と「政治災害」を起こさないための労働者派遣法の抜本的改正です。
志位氏は、「抜本的法改正」にあたっては「どんな業種であれ、『使い捨て自由』の労働は許さない法改正こそ必要だ」と強調。不安定な登録型派遣は「原則禁止」する法改正を求め、派遣として働いている労働者が職を失わず直接雇用に移行できるよう「経過措置」を設けることを提案しました。
首相は、「登録型派遣を禁止することは労働者の不利益になる」など抜本改正に対して消極的な姿勢に終始しました。