2009年1月31日(土)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は三十日、衆院本会議での代表質問のなかで、日本外交の進路について、麻生太郎首相が施政方針演説で「世界にあっては『新しい秩序創(づく)りへの貢献』」と述べたことを取り上げ、「新しい秩序」とは何か、とただしました。
今、イラク戦争という国連憲章を無視した無法な戦争はアメリカでも国民の審判が下され、日本では、この戦争を支持し続けた自公政権の態度が厳しく問われています。
志位氏は、イラク戦争開始時、自民党政調会長だった麻生首相が、「国連と米国が分裂した。とるべきは米国だ」と小泉首相(当時)に進言したと自らの著書(『自由と繁栄の弧』)で述べていることを紹介(別項)。「国連と米国の立場が異なったら、米国を優先させるというのが、『新しい秩序』なのか」とただしました。
麻生首相は、「日米同盟は日本外交の基軸」と述べるとともに、イラク戦争を支持した自身の態度についても「今日を振り返ってみても妥当性を失うことはない」と無反省な姿勢を示しました。
また志位氏は、「日米同盟を絶対化し、米軍基地の強化をはかり、インド洋に加えソマリア沖へと自衛隊派兵を拡大し、憲法九条まで変えるというアメリカいいなりの体制を続けるのか」と質問しました。
首相は、ソマリア沖への自衛隊派兵について、「緊急を要する問題だ」と推進する姿勢を示すなど日米同盟絶対化に固執しました。
志位氏は「国連憲章にもとづく平和の国際秩序をめざし、日米軍事同盟から脱却して、対等・平等・友好の日米関係を築くこと」を強調しました。
国連の歴史始まって以来、国連と米国が分かれた。つまり、UN(国連)とUS(米国)が分裂した。いまUSを取るか、フランスやドイツもいるUNを取るかがまるで選択肢であるかに言われているけれども、UNは競技場。USはプレイヤーである。この際取るべきは競技場ではない、プレイヤーである、という点だった。
そこまでを聞いた小泉総理は手にしていた資料をぽんと放り投げ、「よしそれで行こう」と。追いかけるように私が「総理、それを自分の言葉で仰(おっしゃ)ることです」と言ったという経緯があり、記者会見でのあの言葉につながったのである。(麻生太郎『自由と繁栄の弧』から)