2008年10月8日(水)「しんぶん赤旗」
「若者が勇気をもって偽装請負を告発したがゆえに、差別的扱いを受け、職を奪われるなどという理不尽なことは、一人たりとも、絶対に許してはならない」
七日の衆院予算委員会、日本共産党の志位和夫委員長の訴えに、委員会室は静まり返りました。
志位氏は、違法を告発した若者が職を奪われた実例として、徳島県の日亜化学の実態を示しました。
日亜化学では、偽装請負で働かされていた島本誠さんが作業中に左手首を二十数針ぬう大けがを負ったのに、日亜化学と派遣会社は労働災害の責任をすべて島本さんに押し付け、偽装請負の隠ぺいまで強要しました。
島本さんは、やむにやまれず二〇〇六年十月、徳島労働局に偽装請負を告発。労働局は偽装請負を認め、日亜化学は千六百人の請負労働者全員を順次直接雇用することに合意しました。
しかし、日亜化学は合意をほごにし、島本さんら六人を草むしりなどの仕事につけたうえで、九月末に雇い止めを強行しました。
志位 これを理不尽だと思わないのか。
麻生首相 偽装請負などの労働者派遣法違反が確認された場合には、労働者の雇用が失われることのないように、派遣元、派遣先、双方の企業に対して必要な措置をとるよう指導していくのは当然のことだ。
志位氏は「指導しているというが、現に雇用は失われている」と述べ、続けてキヤノン宇都宮光学機器の例を取り上げました。
キヤノンでは、偽装請負を栃木労働局に告発した労働者が、〇七年十月から期間社員となりました。しかし、そのうちの一人で、労働組合でたたかってきた宮田裕司さんは十一カ月後の八月末に雇い止めにされ、職を失いました。キヤノンは、正社員への技術指導を任されるほど熟練した労働者だった宮田さんに、「おまえはばかか」とののしったり、頭をこづくなどのパワーハラスメントまでし、まともな理由もなく雇い止めにしたのです。
志位 こんなことを許したら、企業の違法が横行する。
首相 事実ならば極めて不当な話だ。
志位 不当だとおっしゃったのは重い発言だ。
「現場で起きているのは、違法な労働を強いられても、それにモノを言えば職が奪われるということだ。派遣労働者にはモノを言わせず、モノのように使い捨てにする。こういうことを許さない決意を示せ」と迫る志位氏。麻生首相は「事実であれば、厳正に対応する」と答えました。
志位氏は「事実であるから、厳正に対応せよ。労働者の雇用を守る断固とした措置を関係省庁に指示することを要求する」と強調しました。