2007年8月2日(木)「しんぶん赤旗」

CS放送「各党はいま」

志位委員長が語る

参院選結果と国会対応について


 日本共産党の志位和夫委員長は、一日放映のCS放送「朝日ニュースター」の番組「各党はいま」に出席し、参院選の評価、当面の国会対応などについて、朝日新聞の星浩編集委員の質問に答えました。志位氏の発言(要旨)は次のとおりです。


参院選――自公政治の基本路線に「ノー」の審判

写真

(写真)朝日ニュースター「各党はいま」でインタビューに応じる志位和夫委員長=党本部

 ――参院選全体の評価は。

 志位 自民・公明政治に対して、これでは日本の前途は立ち行かないという国民の判断がくだったことが、何よりも大切な点です。私たちはこの選挙において、政治論戦で、自公政治に正面から対決して、どの問題でも攻めに攻めましたが、それがこういう結果をつくるうえで、一つの役割を果たしたと思っています。

 同時に、自公政治に代わる政治の中身は、国民はまだ選択していない、答えを出していない。今後、国民的な探求のプロセスが始まっていく。新しい時代が始まったというのが実感です。共産党の役割はいよいよ重要になると思います。

 ――自公政治のどの点が糾弾されたと思いますか。

 志位 よく「三点セット」といわれる年金記録問題、閣僚のスキャンダル、暴言にたいする怒りはもちろん大きかった。しかしそれだけでなく、自民・公明の政治の基本が審判を受けたと思います。

 これだけ貧困と格差が大問題になっているときに、それには目もくれず、「成長路線」といって大企業支援をつづけ、住民税増税など庶民への大増税を強行し、消費税増税の可能性まで口にする。

 外交でも、七月三十一日に米下院本会議で、「従軍慰安婦」問題で日本政府に公式の謝罪を求める決議が可決されました。戦争を美化する「靖国」派の勝手な考えをおしつけて、世界中からひんしゅくをかう。そのなかで憲法改定を押し出して、海外で戦争をする国をつくろうとする。そういう危険な路線そのものが審判を受けました。

日本共産党――440万票の重みにこたえる奮闘を

 ――共産党三議席についての評価は。

 志位 比例で一議席後退したことは残念ですが、得票では、前回(四百三十六万票)、前々回(四百三十二万票)を上回る四百四十万票という地歩を維持しました。選挙区では、議席獲得はなりませんでしたが、東京、大阪、京都などで得票を増やし、次への展望をつかみました。

 私たちにとって難しい風もあったなかで、四百四十万票という得票の意味は重いと受け止めています。支持していただいた国民のみなさん、頑張って奮闘していただいた支持者、後援会員、党員のみなさんに、心から感謝しています。一票一票に込められた願いにこたえる頑張りをやらねばと決意しています。

安倍内閣と新しい国会への対応について

 ――安倍首相は「続投」です。

 志位 国民の厳しい審判からすれば、当然、内閣を担うことはできないというのが常識です。「続投」は、国民の審判を無視するもので、それ自体が国民の新しい不信と批判を招くことになります。内閣の退陣を強く求めていきたいと思います。

 ――新しい構成の参院にどう臨みますか。

 志位 どんな問題でも国民の利益を代弁する立場にたって、積極的な対応をおこないます。問題に応じて、一致点で野党間の協力もやっていくことに変わりはありません。国民の立場にたった正論を主張することで、国会を動かすという役割を、新しい状況のなかで大いに果たしたい。

テロ特措法――野党が協力して終止符を

 ――当面、テロ特措法の延長問題があります。民主党は反対を明言していますが。

 志位 野党が、延長を許さないという点で、協力していく必要があります。アフガニスタンの軍事介入に加担したことが、アフガン情勢を悪くし、周辺地域にも非常に難しい問題をつくっています。私たちは当然反対ですが、野党が協力して、もうおしまいにする必要があります。

 ――その場合、参院で否決されても、与党は衆院の三分の二以上の賛成で再可決という流れを、対米公約ということで、本気になってやってくるでしょう。

 志位 これは本当の禁じ手中の禁じ手、もう参院はいらないというのと同じです。これをやったら、国民の怒りと批判は、いよいよ極点に達するでしょう。

新しい国会での野党共闘について

 ――参院で、民主党は年金の流用禁止法案を出してくるでしょうが、民主党との協力関係は。

 志位 法案を一つひとつ吟味して、国民の利益にかなうものだったら、当然協力していきたいと思います。年金をほかのものに流用するなというのは、私たちのかねてからの主張でもあります。

 私たちも積極的な提言をしていきたいと考えています。たとえば、障害者自立支援法の応益負担を撤回させることは、私たちのかねてからの主張ですが、これは野党全体の主張となりうるでしょう。

「政治とカネ」――国政調査権発動で真相究明を

 ――赤城徳彦農水相など「政治とカネ」の問題ですが、政治資金規正法の再改正を参院先議で野党案を出していくことも可能ですか。

 志位 制度の問題は、私たちは透明性をよくすることとともに、根本は企業献金禁止を主張しています。いろいろな話し合いをしていきたいと思います。

 ただ、制度の問題の前に、真相究明が必要です。この問題は、真相究明がまったくなされていない。赤城農水相の問題も、塩崎官房長官の問題についても。参院として、野党が多数になって、国政調査権を発動できるのですから、徹底的な真相究明をすべきです。

憲法改定、消費税増税に大きな打撃――ひきつづき追い詰める論戦と運動を

 ――自民党が勝てば秋口から増税に向けてということでしたが、雲行きが怪しくなった。

 志位 私たちは、選挙中も、消費税の増税には反対だが、かりに政府が値上げの計画をもっているなら、国民の信を問うべきだということを安倍首相に何度もただしてきました。安倍首相は上げるとも上げないともいわず、審判も仰がないという勝手な態度をとったわけです。しかし、ともかくも政府・与党が、審判を仰がなかった以上、消費税を上げることができないことは理の当然です。消費税の増税の動きには強く反対していきます。

 今度の政治的結果からみて、私は、安倍首相がやろうとしてきた「戦後レジームからの脱却」という名での憲法改定の動き、消費税の値上げを秋にも実施しようという動き、この二つは相当大きな打撃を受けたと思います。

 もちろん、まだあきらめたわけではない。選挙後の党首インタビューでも、首相は、消費税の値上げもひきつづき「検討」するといい、憲法改定もひきつづき重要課題としていますから、私たちもこれを許さない論陣と運動を大いに発展させたいと思います。

国民の声を代弁して自公を追い詰め、解散・総選挙に追い込む

 ――衆院解散はどう要求していきますか。

 志位 まず、安倍自公政権の居座りを許さず、国民の声を代弁して、あらゆる問題で追い詰めていくプロセスが大事だと思います。たとえば、テロ特措法の問題でも、正面対決で追い詰めていく。国民の要求を代弁して積極的な提言をおこない、大いに追い詰めていく。このプロセスのなかで、解散・総選挙を自公政権が拒否できない流れをつくりだしていくことが重要です。