2006年12月13日(水)「しんぶん赤旗」

CS放送「各党はいま」

志位委員長が語る

安倍内閣の「危うさ」と「冷酷さ」


 日本共産党の志位和夫委員長は十二日放映のCS放送・朝日ニュースターの番組「各党はいま」で、安倍内閣の支持率低下や、「防衛省」法案をめぐる民主党の態度などについて、朝日新聞の根本清樹編集委員のインタビューに答えました。発言要旨は次の通りです。


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(写真)朝日ニュースター「各党はいま」に出演する志位和夫委員長

 ――安倍内閣の支持率低下が続いているが。

 志位 安倍内閣の「危うさ」と「冷酷さ」を、国民のみなさんが強く感じてきているのだと思います。

 「危うさ」という点は、歴代内閣で初めて期限を区切って改憲を打ち出したことや教育基本法の改悪案を乱暴なやり方で通そうという姿勢に表れています。「冷酷さ」という点では、「ワーキングプア」という、働いても働いても豊かになれない方が四百万世帯を超えて広がる実態がある。こういう中で、庶民には増税を続けながら大企業にはいっそうの減税の方向を打ち出した。こうした姿勢が見抜かれ、批判が強まってきたのだと思います。

有権者に背反

 ――郵政「造反」議員の復党も評判が悪い。

 志位 「郵政民営化反対」を公約に掲げ当選した人たちがそれを投げ捨て復党するのは有権者への背反で、そういう公約破りをさせたのが自民党です。国民への誠実さが根本から問われた問題で「ノー」という声が起こったのは当然です。

 ――教育基本法「改正」案をめぐるたたかいはどのように進めるのか。

 志位 政府案阻止の一致点で他の野党と連携し、国民運動が大きく広がっていますから、院外のたたかいとも連携し、法案をくい止めるため最後まで力をつくしたい。教育基本法の改定を急いでやれという国民の声はどこにもありません。子どもたちの未来にかかわる、しかも憲法に準ずる根本法をぞんざいなやり方で通すことは絶対に許してはなりません。

自・民 同じ道

 ――「防衛省」法案は民主党も賛成だが。

 志位 自衛隊の本来任務に海外活動を入れて“海外派兵隊”に変えるという、憲法に反する重大法案です。この問題で民主党が自民、公明と一緒になって通す側に回ったというのは非常に重大です。民主党が憲法という問題になると、結局、自民党と同じ道を歩んでいることを示すことになりました。

 同じ問題は、改憲手続き法案でも、自民と民主が原則合意する方向にきていることにも表れています。憲法を変えて海外で戦争する国をつくるという方向では、自民と民主は同じ道を歩んでいる。戦争の道を歩むという点では違わない。本当に平和を代表する勢力が伸びなければならない。これが今度の参院選挙の大事な意味で、私たちががんばらなければならないと思っています。

 ――教育基本法をめぐっては野党共闘という流れもあったが。

 志位 政府案に反対という一点での一致点があるので連携してきました。同時に、私たちは民主党の教育基本法改定案の中身には強い批判をもっています。

 さらに、政治資金規正法を変えて外資系企業の献金を天下御免にするという方向が、自民、民主、公明の三党で衆院二時間、参院一時間半のわずかな(委員会)審議で決められようとしています。

 (現行法で)外資の比率が五割を超えたら献金できないというのは、外部勢力によって日本の政治が左右されてはいけないという、国民主権、国家主権を守るための最小限の歯止めで、これまでの自民党はここまでは手をつけなかった。しかし自民と民主が一緒になって賛成し、献金のおこぼれにあずかろうという。

 大企業が税金をろくに払っていないのに献金をするという動きに対し国民の厳しい目が向けられている時に、一緒になって拡大の方向を打ち出したというのもたいへん大きな汚点です。