2006年1月25日(水)「しんぶん赤旗」

小泉政治 破たんの根源つく

規制緩和・増税・外交

人間尊重に転換を


 日本共産党の志位和夫委員長は二十四日、小泉首相の施政方針演説に対する代表質問で、小泉「構造改革」がもたらした害悪、庶民増税と社会保障の切り捨て、外交・平和の基本姿勢についてただしました。


■志位委員長が代表質問

■衆院本会議

写真

(写真)代表質問にたつ志位和夫委員長=24日、衆院本会議

 志位氏は(1)耐震強度偽装問題(2)ライブドア事件(3)格差社会と貧困―が自民党政治の「規制緩和万能」路線の害悪の表れだと指摘。「ルールなき資本主義」をただし、人間が人間として尊重されるルールある経済社会への改革を求めました。

 小泉首相は耐震偽装問題で、一九九八年の建築基準法改悪を「『民間にできることは民間に』の方向は間違っていない」と強弁。ライブドア事件にも「『規制緩和万能路線』との批判はあたらない」とのべました。

 志位氏は庶民増税と社会保障切り捨ての問題で内閣発足以来の五回の予算編成の負担増が合計十三兆円にのぼる一方、新規の国債発行が百七十兆円という「史上最悪の借金王」ぶりを告発。大企業・大資産家への減税と巨大開発のムダ遣いを温存・拡大する「二つのゆがみ」にメスを入れ公正で民主的な税財政への改革を要求しました。

 首相は大企業・大資産家減税の問題に答えず、「消費税、所得税、法人税、資産税など税体系全体の改革の議論を深める」と繰り返しました。

 志位氏は外交問題で、靖国神社参拝に固執する首相の姿勢を批判。米国政府、議会の懸念や批判をどう受けとめるかとのべ、「侵略戦争への反省を言葉だけでなく行動でも示してこそ世界とアジアの信頼を回復する道が開ける」とただしました。

 首相は靖国神社参拝について「米国内でもいろいろな意見があるのは承知しているが、ブッシュ大統領から批判を受けたことはない」と答弁。

 志位氏は米軍再編で、海兵隊司令部のグアムへの移転費用を日本が負担する計画があることをあげ、「歴史上も世界でも類がない」と告発。首相は移転費用負担について「資金的その他の措置を検討していきたい」と答えました。

 最後に志位氏は、九条二項を削除して自衛軍保持を明記する自民党の「新憲法草案」が米国の戦争に自衛隊が武力行使をもって参加できるようにするものだと批判。憲法九条を日本の宝として守りぬく決意をのべました。

■豪雪・BSE 緊急対策求める

 日本共産党の志位和夫委員長は二十四日の衆院本会議での代表質問で、政府が緊急に対応すべき問題として、豪雪災害とBSE(牛海綿状脳症)問題を取り上げました。

 志位氏は、豪雪災害でこれ以上の犠牲者を出さず被害拡大を最小限に抑える立場から、雪下ろしやライフラインの確保をはじめ万全の対策を講じることを求めました。

 小泉首相は「被害の拡大防止へ種々の対策を講じる」とのべました。

 BSE問題では、農水省と厚労省が米国で査察し「適切」と認定した直後に、米国産輸入牛に危険部位の混入が発覚したことを批判。一連の経過から、政府のBSE対策が国民の安全より米国の要求を優先させた「偽装」対策だったと糾弾し、全頭検査など日本と同様の安全基準が確保されるまで米国産牛の輸入を再開しない方針を明確にすべきだとのべました。

 小泉首相は、BSE問題で「『偽装』との批判はあたらない。輸入再開には日米間で合意したルールの順守が必要で、米国に原因究明と再発防止を求めている」と答弁しました。


■質問のポイント

豪雪災害 雪下ろしやライフライン確保をはじめ万全の対策を

BSE 全頭検査など日本と同様の安全基準確保まで米国産牛輸入再開はすべきでない

小泉「構造改革」の害悪 ▽耐震偽装―規制緩和と利潤第一主義で建築行政に大穴を開けた▽ライブドア事件―事件の根本は自民党政治の規制緩和万能路線だ▽格差社会と貧困の広がり―生活保護世帯、教育扶助・就学援助、貯蓄ゼロ世帯は激増し、この根本に派遣労働の自由化などの規制緩和がある

庶民増税と社会保障切り捨て 来年度予算の負担増は2.7兆円、これまでの5回の予算編成での負担増合計は13兆円になる。一方で5回の予算編成で新たな借金は170兆円にのぼる。これは大企業、大資産家への減税、巨額の無駄遣いを温存・拡大しているからだ。ここにメスを入れることが必要だ

靖国参拝 参拝は戦後世界の秩序を土台から否定。侵略戦争への反省を言葉だけでなく行動でも示すことが世界とアジアの信頼回復の道

米軍再編 基地強化は日本を世界とアジアの平和を脅かす震源地に変えるもの

憲法改定 9条改定は「海外で武力行使する国」づくり。憲法改悪反対で広大な国民的共同をつくるため全力をあげる