2005年3月4日(金)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は二日、CS放送朝日ニュースター「各党はいま」に出演。二月十九日にワシントンで開かれた日米の外交・軍事の担当閣僚協議(2プラス2)や、北朝鮮の核・拉致問題などについて、朝日新聞の本田優編集委員のインタビューに答えました。
![]() インタビューに答える志位和夫委員長 |
――2プラス2の共同発表をどうみるか。
たいへん重大な「日米同盟」の危険な変質の方向がはっきり現れたと思います。一九九六年の「日米安保共同宣言」は、日米軍事同盟のアジア・太平洋への拡大がメーンテーマ(主題)でした。しかし、今回の発表は、「世界の中の日米同盟」ということが前面に出ている。日米の「世界における共通の戦略目標」という項目をたて、テロや大量破壊兵器に対抗するとしている。そのために、いまアメリカがとっているのは先制攻撃戦略ですが、それを日米両軍が一体で進めていこうという方向です。
――「日米同盟の世界化」について詳しく書いたと。
昨年末の新「防衛計画の大綱」で自衛隊の本格的な“海外派兵隊”への変質という方向が打ち出された。一方で米軍は先制攻撃戦略をすすめるうえでいちばん効率的な態勢にしようと地球的規模での再編を進めている。共同発表はこれらを高く評価しています。
そして今後、米軍と自衛隊の役割分担を検討し、一体的な運用を向上させるといって、日米両軍が一体で世界に軍事介入する方向が打ち出されています。
――米軍と自衛隊の役割分担はどう進むのか。
米軍への兵たん支援だけでなく、軍事的な作戦を共同でやっていくという方向が目指されている。それが日本の憲法九条改悪にもつながっている。しかし、この流れは世界全体からみると、たいへん異常です。
戦後、アメリカは世界に軍事同盟網を張り巡らした。しかし、東南アジア、中東など、多くの軍事同盟はなくなった。残っている主なものはNATO(北大西洋条約機構)と日米安保です。
そのうちNATOをみますと、ドイツの首相は「(NATOは)戦略協議の場ではない」と発言して大きな波紋をよびました。イラク戦争でもNATOの主力のフランス、ドイツ、カナダは、戦争に反対し、派兵を拒否しました。
そうなると、世界の中で軍事同盟の強化に熱中しているのは、日本ぐらいです。「世界の中の日米同盟」というが、それはまったく孤立した異常なものなのです。
――北朝鮮の核問題についてどうみているか。
北朝鮮は核兵器製造の声明をおこなったさい、「アメリカの圧殺政策への対抗」「力には力でという先軍政治だ」と言っています。しかし、いま北朝鮮に一番欠けているのは「力」ではなく、周辺諸国とのまともな外交関係がないということです。それをきずくことが、北朝鮮の安全確保にもなることを国際社会が説いていくことがたいへん大事です。
――横田めぐみさんの「遺骨」問題は。
北朝鮮は二月二十四日に同国の立場なるものを「通知」し、「議論しない」という態度です。日本側の「遺骨」の鑑定結果に自分から「疑問点」を指摘しておきながら、議論打ちきりというのは道理がない。
日本側は引き続き真相究明を求めるという態度表明をしましたが、交渉のレベルアップがどうしても必要です。拉致問題の全ぼうを知り、責任を持って問題を解決できる人物を北朝鮮側の交渉当事者にする。そういう交渉の質的な強化が求められています。