2005年2月4日(金)「しんぶん赤旗」
「かぜと診断しておいて、布団をはがすような話ではないか」――日本共産党の志位和夫委員長は三日の衆院予算委員会で、家計所得が減る中で大増税・国民負担増路線に踏み出そうとしている小泉内閣の無謀な計画を批判。「絶対に認めるわけにはいかない」と、その見直しと中止を求めました。
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社会保障切り捨てに加えて、本格的な庶民増税路線に踏み出した小泉内閣。二〇〇五年度政府予算案で、定率減税の縮小・廃止に踏み切り、〇七年消費税増税の二段階の大増税シナリオにつきすすもうとしています。
しかし、家計所得は、九兆円の負担増が押し付けられた一九九七年以降、年間数兆円規模で減っており、そのなかでの増税です。
「家計の所得が減っている時期に、増税路線に踏み出したことが、戦後一度でもあったのか」
こう迫る志位氏に、首相は「景気には配慮している」とするだけでした。
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志位氏は増税の景気と経済への影響の「真剣な吟味が必要」と指摘。政府の報告書『日本経済2004――持続的成長の可能性とリスク』(内閣府)でさえ、「今後、消費が持続的に回復していくためには、所得の回復が鍵」とのべていることを紹介。これに反して増税を押し付けようとしていることについて「“診断”と“処方せん”が百八十度違っているのではないか」と、矛盾をつきました。
この報告書はまた、「企業の利益がのびても給与は下がる、九五年以降逆相関が強まっている」と分析しています。志位氏はこの傾向を示したデータ(グラフ(1))も出し、「『今後、所得がのびていくから大丈夫』というが、何の根拠もない。橋本内閣の九兆円負担増の大失政の二の舞いになる」と警告しました。
首相は、「企業にとっての足かせの部分が軽くなってきたので、雇用者所得にもいい影響を与える、そういう状況になってもらいたいということ」と願望しか語れませんでした。
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国民負担増は定率減税の縮小・廃止にとどまらず、年金、介護、雇用保険料の値上げなど、生活のすみずみまで及び、二年間で七兆円もの規模になります。
志位氏は、東京都大田区のお年寄り(単身で年金収入が年間百八十万円)のケースを試算。住民税の非課税措置の廃止に連動して国保料や介護保険料が値上げになり、負担増が一カ月分の年金に近い額にふくれあがることを示しました(グラフ(2))。「『影響は大きくない』というが、高齢者の負担が雪だるま式に増えることを承知で進めているのか」と追及。小泉首相は「予算には歳出がある」「負担の部分ばかりいうが、福祉をやっていないという批判はあたらない」と答弁、実態には目を向けようとしませんでした。
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小泉首相が「歳出」の話をもちだしたのにたいして、志位氏は〇五年度予算案で、無駄な大型公共事業が復活しているとし、総額一兆円をこす巨大事業である関西空港二期工事の問題をとりあげました。〇五年度予算案で新たに三百億円が計上されています。
関西空港は現在の一本の滑走路でも、発着能力十六万回(年間)に対し、実績は十万回。政府は需要の見通しもないのに、二本目の滑走路建設を急いでいます。
志位氏は、首相が「増税よりも無駄な税金の使い方を徹底的に直す」(〇二年七月十日)と公約していたことをあげ、「新たな無駄遣いにのりだしながらの庶民増税など、とうてい許せる道理はない」と追及しました。
首相は「公約通りやっている。公共事業は四年連続マイナスだ」というのが精いっぱい。志位氏は「総額を多少減らしたから、無駄な事業をやっていいことにはならない」とのべ、そのうえで財務省の最新の資料でも、学校や病院などの施設建設を除いた日本の公共事業が諸外国に比べ、際立って高い水準にあることを示しました(グラフ(3))。
北側一雄国土交通相は、〇七年度は十三万回、〇八年度は十三・五万回の需要を「想定し見込んでいる」と“反論”を試みましたが、志位氏は、この数字について、谷垣禎一財務相と北側国交相との合意文書(昨年十二月)が「(関西空港の)経営基盤の確立に必要な需要の確保のために、…更なる努力を行う」とされていることを紹介。「『需要があるから空港をつくる』のではなく、『空港をつくるから需要をつくる』というものだ。これこそ無駄遣いだ」と批判しました。