2004年7月2日(金)「しんぶん赤旗」

参院選比例代表

日本共産党の政見放送

志位委員長が語る/聞き手 松永亜規子さん


 日本共産党の政見放送が好評です。前半は志位和夫委員長と俳優の松永亜規子さんの対談、後半は市田忠義書記局長が司会し五人の比例代表候補が決意をのべています。大要を紹介します。

 松永 志位さん、こんにちは。

 志位 こんにちは。

自民・公明による年金大改悪――実施やめ、やり直しの国民的討論を

 松永 まずズバリ年金の問題をうかがいます。こんど決まった法律はひどいですね。

 志位 そうですね。政府の年金「改革」なるものは、保険料はどんどん上げる、もらう年金はどんどん下げる。国民にとってよいことは一つもありません。ところが、それを政府は、「百年安心」とさんざん宣伝してきました。

 松永 それのどこが「安心」なんでしょうか。

 志位 政府の説明では、「保険料は毎年上げるけれども、これ以上は上げないという上限をつくります」「もらう年金は毎年下げるけれども、現役世代の50%は保障します」「だから安心してくれ」というものでした。

 ところがこれが大うそだったということが、参議院での私たちの追及で明らかになりました。保険料の方は際限なく上がってしまう、もらう年金の方は50%どころか40%まで下がってしまうじゃないかとただしましたら、政府は「実はその通りなんです」と認めました。つまり「上限があります」「50%は保障します」という「百年安心」の二枚看板が大うそだったということになったのです。

 松永 それじゃ「国会で決まったから仕方がない」では納得できませんよね。

 志位 ええ、その通りです。やり直しが必要です。私たちは、今度の選挙で、こんなひどい法律を通した人たちには審判をくだし、改悪年金法の実施を中止させて、国民的な討論で、国民みんなが安心できる年金制度をつくろうではないかと呼びかけています。

民主党案――違いは保険料のかわりに消費税をあげるというだけ

 松永 なるほど、やり直しですね。そうすると、それぞれの党の年金への態度が問われますね。民主党も反対していたようですが。

 志位 ええ。ただ民主党の年金「改革」案も毎年、年金を下げていくという点では同じなんですね。どこが違うか。自民党の人がうまいことをいっていました。自民党は国民の右のポケットから取る。民主党は左のポケットから取る=Bつまり自民党は保険料を上げる。民主党は消費税を上げる。これだけの違いだというのですね。

 実際、民主党案というのは、消費税を3%上積みする内容になっています。実は、この案で一番喜ぶのは財界なのです。といいますのは、保険料でしたら、半分は企業が払わなければならないでしょ。しかし消費税でしたら大企業は一円も負担しないですみますから、すべてを丸々国民にかぶせることができますから。

年金の問題点に本気でメスを入れる――日本共産党の年金改革の提案

 松永 それではどっちもどっちですね(志位「ええ」)。共産党は年金制度をどう改革しようとしてらっしゃるのですか。

 志位 いまの日本の年金制度のどこが問題かといいますと、一つは、もらう額が、少なすぎる。いま国民年金で暮らしているお年寄りが九百万人ですが、平均の月額四万六千円。とてもこれでは生きていけません。それからもう一つ、保険料が高くて払えないという方が、国民年金だけで一千万人を超えている。もし改革というなら、こういう大問題に本気でメスを入れる必要があります。

 そこで、私たちは国民のみなさんすべてに月五万円の年金を保障する「最低保障年金」をつくり、そのうえに保険料に応じた給付を上積みする。そのことで、いまの貧しすぎる年金の底上げをはかって、国民のみなさんが安心できる制度への道をふみだそう。これが日本共産党の提案なんです。

財源は――税金の使い道の改革、大企業に応分の負担を

 松永 もらえる年金を減らすんではなくて、充実させていこうということですね(志位「ええ、それが必要です」)。でも、財源は大丈夫なんでしょうか。

 志位 まず、税金の使い方の改革が必要です。ヨーロッパに行きますと、社会保障に使っている税金が、公共事業よりもずっと多い。これが当たり前です。ところが、日本の場合、公共事業には年間四十兆円、社会保障には二十五兆円。税金の使い方が「逆立ち」しています。無駄な港とか、空港とか、ダムとか、巨大開発の無駄づかいは一掃して、公共事業から社会保障へ、予算の主役を交代させる――こうすれば、ずいぶん明るい展望がひらけてきます。

 松永 そうですね。でも高齢化が進むなかで、それだけで財源が間に合うでしょうか。

 志位 やはり新しい負担が必要になってきます。問題は、その負担をだれがするかですね。私たちは、所得の少ない方には少ない負担、多い方には多い負担――この税金の民主的原則にもとづいて、大企業と大資産家に応分の負担をもとめるという方針を明らかにしています。

 いまの日本の大企業が払っている税金と社会保険料を見ますと、ヨーロッパの水準の、だいたい五割から八割、とっても少ないでしょ(松永「はい」)。ですから、世間並みの負担をもとめるのは当然ではないでしょうか。

消費税の増税――「福祉のため」でなく「大企業のもうけのため」

 松永 「福祉のため」なら消費税を上げるのも仕方がないという話もありますが。

 志位 自民党と公明党、民主党も、二〇〇七年度から消費税を引き上げるという方針を明らかにしていますが、どちらも「福祉のため」ということを口実としています。しかし、そもそも福祉というのは立場の弱い方々の暮らしを支える制度でしょ。消費税というのは、立場の弱い方々に重くのしかかる税金です。ですから「福祉のため」という口実で、消費税を上げるというのは、まったく間違ったやり方ではないでしょうか。

 だいたい、十六年前に消費税が導入されたときも、さんざん「福祉のため」といいましたね(松永「はい」)。しかし、この十六年間をふりかえって、「よくなったな」と思える福祉が一つでもあるでしょうか。

 松永 いやー、ちょっと思いつかないですね。

 志位 そうでしょ。医療費は値上げにつぐ値上げ。年金は切り捨ての連続です。介護保険はできましたが、利用料、保険料が重すぎる。どの分野でも福祉は悪くなる一方です。

 松永 それじゃ私たちが払った消費税はどこに使われちゃったんでしょうか。

 志位 消費税が導入されて十六年間で、国民のみなさんが払った消費税は累計しますと、百四十八兆円なんです。ところがその同じ期間に、大企業などが払う法人税は累計で百四十五兆円減っている。政府がずっと法人税を減らしてきた結果です。つまり庶民のみなさんが苦労して納めた消費税が大企業減税の穴埋めに使われてしまったというのが、事実なんですね。いまやられようとしている消費税の増税の計画も、「福祉のため」ではなく、「大企業をもっともうけさせる」――これが正体です。

 日本共産党は、「消費税増税反対」を堂々と公約で掲げている唯一の政党です。どうかこの願いを、私たちの党にたくしてください。

イラク問題をどうするか――多国籍軍への自衛隊参加は許せない

 松永 ところで志位さん。次に平和の問題ですけれども、私たち演劇人もいろんな人たちが集まって、イラク戦争に反対してきました。イラク問題について、共産党はどうお考えでしょうか。

 志位 国連で新しい決議がつくられて、イラクの国民に主権を完全に返すことが決まりました。しかし、イラクの国民が本当に主人公になった国の再建がすすむかどうか。現実をみますと難しい問題があります。

 その最大の問題は、あの無法な侵略戦争をすすめ、虐殺や拷問を繰り返してきた米軍などが、多国籍軍と名前を変えて居座りをつづけている、ここにあります。ですから私たちは、米軍が、すみやかな撤退のための措置をとることが、いま、いよいよ大切だと考えています。

 松永 その多国籍軍に自衛隊が参加すると聞いて、とてもおどろいたんですけれども。

 志位 ええ。政府のこれまでの見解でも、「武力行使を伴う多国籍軍への自衛隊の参加は、憲法上認められない」というものでした。憲法をこわす道を、なし崩し的に進めるやり方は、私たちは絶対に反対です。イラクからの自衛隊のすみやかな撤退を強く求めたいと思います。

憲法改悪に反対――平和・人権・民主主義の理念を生かした政治を

 松永 憲法そのものを変えようとする動きも強まっているのは心配ですね。

 志位 ええ。自民党、公明党、民主党、それぞれが、われもわれもと、憲法改定の競い合いを始めているのはたいへん危険なことだと思います。「戦争はしない、軍隊をもたない」と決めた憲法九条を変える。ここに共通した狙いがあります。

 歴代自民党政府は、憲法九条をふみにじって、自衛隊を海外に派兵するいろいろな法律をつくってきました。しかし九条があるおかげで、「海外での戦争はできない」――この建前まで崩すわけにはいかなかった。九条改憲というのは、この歯止めも取り払って、アメリカと一緒に日本が海外で戦争をする国になる、これが最大の目的です。

 松永 そんなこと許すわけにはいきませんね(志位「はい」)。いま私も憲法をテーマにしたお芝居に出ているんです。

 志位 そうですか。いろんな取り組みが広がっていますね。「憲法改悪反対」、この一点での国民的共同を大いに広げていきたいと思います。

 改憲派のみなさんは、「憲法が古くなった」とよくいいますけれども、私はとんでもないと思うんですよ。日本国憲法の平和、人権、民主主義、これらの原則は、世界でも進んだ値打ちをもっていて、私は二十一世紀は憲法のこれらの原則を生かした国づくりこそ必要だと思っています。

本物の改革の党――日本共産党の前進を

 松永 志位さん、最後に国民のみなさんに一言。

 志位 はい。きょうお話しした年金や消費税の問題の根っこには、「財界が主役」の政治のゆがみがあります。イラクや憲法の問題の根っこには、「アメリカいいなり」、この政治のゆがみがあります。

 日本共産党は、日本の政治のこの二つのゆがみを正面から正して、「国民が主人公」の日本への改革をめざす党です。本物の改革の党がのびてこそ、国民のみなさんの暮らしや平和の願いを実現する確かな道が開かれます。どうかみなさんの絶大なご支持を日本共産党にお寄せいただきますことを心からお願いいたします。