2004年4月15日(木)「しんぶん赤旗」

米軍の無法を許さない立場にたて

イラク情勢悪化

党首討論で志位委員長提起


 十四日の党首討論で日本共産党の志位和夫委員長が行った質問(大要)は次の通りです。



日本人人質問題

志位 日本中が心を痛めている。3人の安全と解放へ政府は全力つくせ。

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質問する志位和夫委員長=14日、参院第1委員会室

 志位委員長 イラクでの日本人の人質事件について、いま日本国中が心を痛めております。人質とされた三人の方々の安全と解放のために、政府が最後まで全力をあげることを、まず強く求めたいと思います。

志位 5日以降だけで600人こえるイラク住民が殺害され、そのほとんどが女性と子どもと老人だ。

 志位 私は、イラクの人質事件の行方にも深くかかわる問題として、イラクでいま進んでいる情勢の劇的な悪化についての、首相の認識をただしたいと思います。

 イラク全土で、占領軍とイラクの国民との衝突という事態が広がっておりますが、その最大の焦点となっているのが、イラク中部の都市、ファルージャであります。

 ここで三月三十一日にアメリカ人の殺害事件が起き、それに対する事実上の報復として、米軍が四月五日以降、ファルージャの町を海兵隊、治安部隊、戦車などで包囲し、空と陸から住民を無差別に殺害する軍事作戦に乗り出している。このことがいま、イラク情勢を一気に悪化させる根源にあると思います。

 米軍が五日以降に行ったことをみますと、まさに無差別の住民への攻撃です。ロケット弾で民家を破壊して民間人多数を殺傷する。イスラム教の礼拝堂であるモスクの敷地内に大型爆弾を投下し、ここでも犠牲者が多数出る。クラスター爆弾という、空中で割れて二百を超える子爆弾を広範囲にばらまいて多数の人々を無差別に殺傷する残虐兵器も使われたと報道されております。

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 五日以降だけで、AP通信によると、すでに六百人を超えるイラク住民が殺害され、そのほとんどが女性と子どもと老人だと伝えられています。

 この行為に対して、イラク国内はもとより国際的な批判が広がっております。重視すべきは、米軍に任命されたイラクの統治評議会も、「罪のない人々に対する集団的な懲罰行為」と厳しく批判する声明を出し、統治評議会のメンバーが次々と抗議の辞任をする事態となっている。ある評議員は「これはジェノサイド(集団殺りく)だ」と抗議し、ある評議員は「集団的懲罰は違法であり、絶対に受け入れられない」と指弾しました。

 これは本当に深刻な問題です。その町に犯罪者がいたというだけで、町全体を包囲し、町の住民全体を軍事力による制裁の対象にするということは、私は絶対に許されないことだと思います。

 首相と私は、イラク戦争の大義については立場を異にしております。しかし、こうした国際人道法をも無視する戦争行為に対しては、許さないという立場をはっきりとるべきではないか。

志位 無差別の住民攻撃にたいして「支持できない」と米国にいうべきだ。

首相 戦闘状況において大変遺憾な状況が起こっているのは事実

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小泉純一郎首相に質問する志位和夫委員長(右)=14日、参院第1委員会室

 志位 私は首相に問いたい。ファルージャで行われたような無差別の住民への攻撃に対しては、「こういうやり方は支持できない」と言明すべきではありませんか。そしてその言明を、アメリカ政府にも伝えるべきではありませんか。端的にお答えください。

 小泉純一郎首相 私は実際、戦闘状況について、どういう戦闘方法がいいかという知識も能力もございません。しかし、治安の回復、イラクに安定した政権をつくるために各国がいま努力している。

 そして犯行グループ、さまざまであります。日本人だけでない。各国のまったく戦争とは関係ない人までがさまざまなグループによって誘拐され、人質にされている。こういう無謀なグループに対して、やはり戦闘状況において大変遺憾な状況が起こっているのは事実であります。しかしこういう点も考えて、早くイラクに安定した政権ができるようにわれわれは努力していかなければならないと思っています。

志位 米軍の占領支配に協力する自衛隊派兵を中止せよ。

 志位 占領軍によるそうした無法な行為に対しては「支持できない」というべきだという当たり前のことを聞いたのに、それに対するお答えはありませんでした。

 私は、人質事件を本当にしっかり解決していく上でも、日本政府が占領軍による無法行為を許さないという道理ある立場にたつことが、いま非常に大切だと思います。

 そして、米軍の占領支配に協力する意味を持つ自衛隊の派兵については、ただちに中止して、撤退することを改めて強く求めて(質問を)終わります。(拍手)

 ■イラク統治評議会が声明■

 「米国が任命した統治評議会は、衝突の焦点となっているファルージャでの即時停戦を強く求めた。…声明はいわゆる『問題の軍事的解決と無実の民間人に対する集団的懲罰』を厳しく非難している」(AFP10日)

 ■統治評議会メンバーの発言■

 ガズィ・ヤウェル評議員(北部部族の代表)「(三月末に米民間人を殺害した犯人について)犯罪者であり、逮捕に値する。しかし、(いま行われているのは)町全体に対する集団的懲罰であり、これを拒否する。…米国がファルージャでの危機を平和的に解決しないのならば、評議員を辞任する。これはジェノサイドだ」(9日、カタールの衛星テレビ・アルジャジーラで)

 アドナン・パチャチ評議員(元イラク外相)「この(米軍の)作戦は、ファルージャの人々に対する集団的な懲罰だ。…違法でありまったく受け入れられない」(9日、アラブ首長国連邦の衛星テレビ・アルアラビアで)