2003年3月20日(木)「しんぶん赤旗」

米国追随の戦争支持の姿勢を撤回せよ

党首討論

志位委員長、小泉首相に迫る


 十九日の「党首討論」(国家基本政策委員会合同審査会)で日本共産党の志位和夫委員長が行った質問(大要)は次の通りです。


志位本格的軌道にのりつつある
平和解決を力ずくで断ち切るもの

 志位委員長 イラク問題について、日本共産党の基本的立場を明らかにするとともに、首相の基本的姿勢をうかがいます。

 昨日、ブッシュ米大統領はイラクへの最後通告を行い、明日早朝にも攻撃の危険が切迫してきております。

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質問に立つ志位和夫委員長=19日、衆院第1委員室

 しかし、「なぜ戦争なのか」――。ブッシュ大統領の昨日の演説では、この戦争を正当化する理由を、世界に向かって何一つ示せなかったと思います(「その通り」の声)。首相はすぐにこれに支持表明を与えましたが、「なぜ支持なのか」――。国民を納得させる理由も、首相は何一つ示していないと思います。(「そうだ」の声)

 こうした状況自体が、この戦争がいかに道理がなく、いかに無法であるかということを示すものだと思います。

 私たちは、この戦争について、国際の法と正義に照らして、次の三つの点で、絶対に許してはならない戦争であると考えます。

 第一に、この戦争は、国連の査察による平和解決が、本格的な軌道に乗りつつあるところを、力ずくで断ち切ろうとするものです。(「その通り」の声)

 査察による到達点は、どのようなものか。国連の査察団の最新の報告――三月七日のブリクス委員長の報告では、ミサイルの廃棄など実質的な進展がみられること、イラクの協力姿勢に十分とは言えないものの「積極的」「自発的」な変化があり、これは「歓迎」されるべきであることをのべて、「武装解除のための未解決の問題点」を二十九項目にわたって具体的に明らかにしました。

 この二十九項目が解決すれば、この問題は平和的に解決できると言って、「数カ月の査察延長」を求めたわけです。そのための「作業計画」は、十七日の夜、安保理に提出されているところなのです。

 すなわち、査察の到達点は、それが本格的軌道に乗りつつあるところなのです。それを継続・強化すれば平和解決への道が大きく開かれている。だから、この平和解決の道を、国際社会の圧倒的多数の国々が支持しているわけです。(「その通りだ」の声)

 これをいま、平和解決の道を中断し、戦争に切りかえなければならない理由が、いったいどこにあるのか。そんな理由はどこにもない。(拍手)

志位国連憲章、国際法の根拠もない
無法な先制攻撃そのもの。
罪なき人々の犠牲ははかりしれない

 第二に、この戦争は、国連安保理の支持がなく、国連憲章と国際法の根拠を持たない、無法な先制攻撃の戦争だということです。(「そうだ」の声)

 ブッシュ大統領と小泉首相は、戦争の「根拠」としていくつかの国連安保理決議を持ち出しましたが、その中には、イラク戦争を根拠づける決議は一つもありません。だいたい、これまでの安保理決議では、戦争の「根拠」にならないからこそ、米英はあれほど執拗(しつよう)に新決議案を(国連安保理に)求めた。しかし、その新決議案は孤立し、失敗に終わった。そのこと自体が、この戦争が法的根拠を持たないことの証明です。(「その通り」の声)

 しかも、ブッシュ大統領は、この戦争の目的が、大量破壊兵器の廃棄などではなく、イラクの現政権を転覆するためのものだ、米国いいなりの政権を押し付けるためのものだと公然と宣言している。これは国連憲章が厳しく禁止している内政干渉そのものです。

 第三に、この戦争がもたらす罪なき人々の犠牲は、はかりしれません。国連機関の内部文書では、五十万人の死傷者、三百万人の難民が生まれ、子どもと妊娠中ないしは授乳中の女性の被害は五百二十万人。全世界で何千万人という人たちが平和の声をあげている根本には、この理不尽さへの強い怒り、憤りがあります。何千、何万という罪なき人々を殺しておきながら、「自由」ということを叫ぶことほど偽善はないと思います。<(「その通りだ」の声)

 私たちは、一かけらの道理もない戦争計画の中止を求めます。

志位「武装解除の意思がない」と誰が断定したのか

 

首相国際社会が断定してるといっても過言ではない

 

志位国際社会はいっていない。
断定しているのは米国だけだ。

 首相には一点だけ質問いたします。首相は昨日の会見で、米国の戦争を支持する理由として、ただ一点だけ述べました。次の言葉でした。「フセイン政権に武装解除の意思がないことが断定された以上、米国の武力行使を支持する」。「断定された」と言われました。

 そこで聞きますが、「フセイン政権に武装解除の意思がない」と、いったいだれが「断定」したのでしょうか。国連安保理事会は「断定」していません。国連査察団も「断定」していません。いったいだれが「断定」したのか。端的にお答えください。

 小泉首相 これは、国際社会がこの点については一致結束して、イラクが大量破壊兵器(の廃棄)を、十分協力しているとは認めておりません。これはすでに一四四一決議で、国際社会が断定していると言っても過言ではないのです。(爆笑)

 無条件に受け入れる最後の機会を与えると言って、その機会を果たしていないということについては、国際社会は結束して一致しているのです。(「答えになってないぞ」の声)

 私は昨日のブッシュ大統領の演説の中で、国連安保理決議六七八と六八七で、イラクの武装解除を要求してきた、最後の機会を与える一四四一は昨年の十一月八日だ。全会一致で採択され、査察が行われたが、イラクは協力しなかった。これについても、国際社会は一致しているのです。そして、現在でも、イラクが国連決議を順守していると言える者はだれもいないのです。

 いままでさまざまな圧力をかけて平和的解決を求めて努力してきたギリギリの効果も結局、イラクのサダム・フセインに協力の意思がない限り、どんなにのばしてもこれは無理なのです。

 大量破壊兵器が危険な人物に渡ったら、世界の国民がたいへん大きな危険に直面する。なおかつ、日米同盟の重要性を考えながら、私はアメリカの主張を支持し(江田五月会長「小泉首相、発言は簡潔にしてください」)、アメリカの決断を支持していると発言したわけです。

 これからも(江田会長「発言は簡潔にしてください」)、日本としては、日米同盟と国際協調の重要性をわきまえて、行動していきたい。これははっきりしております。

 志位委員長 私は、「フセイン政権に武装解除の意思がない」とだれが「断定」したのかときいたのに対して、あなたはお答えにならなかった。答えられなかった。

 「国際社会」と言いましたけれども、国際社会はそんな断定はしていない(「そうだ」の声)。断定しようとしたのが(米英スペインが提出した)新決議案ですよ。それが通らなかったということは、国際社会はそんな断定はしていない(ということです)。断定しているのはアメリカだけです。(日本政府は)アメリカにただ従っているだけです。(拍手)

 そういうやり方は、撤回すべきだということをはっきり申し上げて、質問といたします。(拍手)