2003年2月8日(土)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長が七日の衆院予算委員会で行った総括質問(大要)は次の通りです。
志位委員長 日本共産党を代表して質問いたします。
まず冒頭に述べたいのは、昨日、この予算委員会の場で、自民党議員によって、医療事故・事件を党略的に利用した不当な誹謗(ひぼう)中傷が、民主医療機関と日本共産党に対して加えられたことについてであります。
昨日、自民党議員は、民医連―全日本民主医療機関連合会に加入している四つの病院で起こった医療事故・事件を、名指しで取り上げ、口汚くののしりました。
それぞれの医療事故・事件については、もちろんあってはならないことであります。しかし自民党議員があげた四つの病院は、すべて、自ら進んで事実を明らかにし、率先して自浄作用を発揮し、行政による真相究明にも進んで協力し、再発防止のために努力している医療機関であります。
たとえば、自民党議員は、二年半前に起きた大阪・堺市の耳原総合病院でのセラチア菌による院内感染問題を、いの一番に取り上げました。しかし、耳原総合病院では、院内感染を疑った段階で、法的にはこれは届け出義務がないにもかかわらず、ただちに保健所と国立感染症研究所に届け出て、堺市が設置した外部の専門調査班の指導・援助を得て、徹底した原因究明と感染防止対策に取り組み、感染対策を「五つの改善点」としてまとめました。「私たちの痛恨の経験を、他でも生かしてほしい」と、全国の医療機関に教訓を伝えています。堺市としてもその教訓を普及しています。
この真摯(しんし)な取り組みは医療界でも高く評価され、マスコミでも注目されました。こうした医療事故が起こったときに、そして医療機関が真剣な自己究明をやっているときに、社会がどう対応すべきかというのは大事なことです。
私は、ここに持ってまいりましたけれども、堺市での調査班の責任者を務めた大阪大学微生物病研究所教授の本田武司さんが、堺市の取りまとめた『セラチアによる院内感染事例報告書』という報告書の中で、この事件を振り返ってつぎのように述べております。よくお聞きください。
「セラチア感染症は、法的には保健所に届ける必要は特に無いので、わが国での第一線の病院での実態についての情報があまり無い。実際のところ第一線の多くの医療機関では、コンプロマイズドホスト――抵抗力が弱まっている人のことだそうですが――での発熱時の血液培養を実施していないことも多いのではないかと思われる。そして原因不明な終末期感染症ということで処理し、セラチア感染症に気付いていない可能性もあるのではないかと思われる。ましてや届け出た(公にした)ばかりにその病院をマスコミが袋叩(だた)きにするような報道は、ますます届け出はもとより、今後発熱時の血液培養すら避けることになってしまう可能性がある。記者会見でこのことを訴えてきたこともあり、概(おおむ)ね冷静な報道に終わったことに安堵(あんど)している」
調査班の班長さんをやってこられた本田教授の「まえがき」であります。
厚生労働省に確認しておきますが、これは厚生労働省も一体になって取り組んだ問題ですから、こういう指摘がされていることを、事実として確認したいと思います。
厚生労働省・小島医薬局長 報告書には先生が指摘されましたように記載されております。
志位 そういう教訓を導いているわけですよ。この本田教授は記者会見で繰り返し言っている。「まじめに自主公表し、教訓を広げようとする病院を犯人扱いする報道では、今後、こうした院内感染問題や医療事故を自主的に公表しようとする医療機関は出て来なくなる」。こう言って、マスコミに冷静な報道を繰り返し要請したんです。
私は、これは報道のみならず、政治にも求められている姿勢ではないかと思います。「まじめに自主公表し、教訓を広げようとしている病院」に対して、政治がなすべきことは、その努力を支援し、全国の病院の教訓として、二度と再びこういうことが起こらないようにする、その責務を果たすことじゃありませんか。
昨日の自民党議員のように、再発防止のために真剣に努力している病院を、国会という場で名指しして、やみくもに「犯人扱い」する態度は、医療事故・事件を根絶するというまじめな立場とはまったく無縁の党利党略といわなければなりません。
しかも、自民党議員は、医療事故・事件の原因が日本共産党の選挙活動にあったかのような荒唐無稽(こうとうむけい)な発言を、なんの根拠も証明もなしにおこなった。これは、公党に対する許しがたい誹謗中傷であります。
選挙活動について言えば、病院の個々の職員が自主的に日本共産党後援会の活動をおこなうことはあっても、日本共産党は、自民党とは違って、民医連であれ、他の団体・組織であれ、わが党への支持を求めるということは一切していない。そんな事実はありません。
なお自民党議員は、昨日の質問の中で、『民医連の軌跡』という本を持ち出して、日本共産党が民医連を「設立」したかのように発言しました。日本共産党は、戦後直後の時期に診療所をつくった歴史を持っていますが、これは戦後の荒廃の中で医療をまともに受けられない庶民のために取り組まれたものであって、私たちはこの歴史を誇るべきものだと考えております。
民医連について言いますと、その後各地のさまざまな医療機関が連合して一九五三年に自主的に結成されたものであり、それをあたかも日本共産党が「設立」したかのように述べた自民党議員の発言は、歴史をまったくゆがめるものであります。
わが党への党略的攻撃のために、事実をゆがめて、医療事故・事件という重大な問題をもてあそぶ自民党議員の態度は、まったくこの国会を汚す行為だということを、はじめにはっきりと述べておきたいと思います。(拍手)
志位 質問に入ります。
イラク問題について首相の姿勢についてうかがいます。
イラクの問題をめぐっては、いま国連安保理を舞台に、「戦争か、平和か」が問われる、非常に重大な局面となってきております。私は、いまこの状況が、非常に大きく動いているさなかですので、一点にしぼって総理の立場をお聞きしたいと思います。
それは、国連による査察の継続・強化についてであります。米国のパウエル国務長官は、昨日、国連安保理にイラクの大量破壊兵器についての情報を提示しました。パウエル長官は、イラクが査察に積極的に協力せず、「隠ぺい工作」や「査察妨害」をおこなっていると主張しました。しかし、「イラクが大量破壊兵器を保持している」とする米国の主張を裏付ける「決定的証拠」を示すことはできませんでした。
しかし、かりにパウエル長官の言うように、「隠ぺい工作」や「査察妨害」があるとするならば、それは査察を継続し、強化することがいっそう必要になっていることを示すものだと思います。査察の継続・強化という声は、昨日の安保理の会合で外相がすべて発言しましたが、安保理でも多数の声、大勢の声となっております。
私は、総理に端的にうかがいたい。いま、この問題で、世界政治の重大な岐路です。重大な瞬間です。日本政府も、査察を継続し、強化して、査察による平和解決をはかれ、という主張をはっきり言うべきと思いますが、いかがですか。
小泉首相 いままで何年かにわたってイラクが査察に協力してこなかった、妨害してきた、こういう事実があるからこそ、国際社会は一致してイラクに査察に対する能動的な積極的な協力を求めているわけであります。そして査察団の査察が始まり、ブリクス委員長も再度またイラクを訪問します。査察を継続すべしという議論でありますが、いま継続しているわけであります。今後その状況を見ながら、私は査察をするということに対しましては国際社会が一致して、査察を働きかける、協力を働きかける、と同時に、イラクもこの査察に協力すれば何にも問題ないんですから。
そして、大量破壊兵器がないということをイラク自身が見せることによって平和的解決がなされるんですから、その方向に向かって日本としては努力すべしと。そして査察もいま継続しているんですから、いつまで継続するかというのはこれからの議論であります。その点は十分、国際社会の状況も見ながら、日本としては外交的努力を、イラクに対しても、アメリカに対しても、各国に対しても続けていきたいと思っております。
志位 小泉首相は、悪いクセがあるんですね。それは、自分の困ったことがある場合には、聞かれていないことを答えて、聞かれたことに答えないというクセなんです。私が聞いたのは、今後、査察を続け、強化するということを日本政府として言うべきではないか、ということを聞いたんです。「いま査察をやっている」というのは、これは事実です。その事実を聞いたのではありません。今後、継続し強化して、この査察の手段できちんと解決をはかるべきではないかということを、私は聞いたのです。(首相は)答えていないです。
私は、どういう討論が国連安保理でなされたか、昨日調べてみました。そうしますと、たとえば、フランス外相は、パウエル報告を受けて、「査察を新たな段階へと引き上げ、さらに強化するために努力しなければならない。査察官の数を二倍から三倍に増やし、監視能力を強化し、現地事務所を増設することが必要だ」。こう述べています。
ロシアの外相は、「本日提供された情報は、イラクでの査察官の活動は継続されるべきであることを示している。安保理は査察を支援するため、あらゆる可能なことをおこなわなければならない。ロシアは航空機と査察官をさらに提供する用意がある」。こう述べています。
中国の外務大臣は、「われわれは査察団の意見を尊重し、ひきつづく査察を支持すべきである」と述べています。
ドイツの外相は、「平和的解決はひきつづき探求されなければならない。査察の手段が強化されるべきだ。フランスの提案を評価する」と述べています。
すなわち多くの国が、査察を継続し、強化すべきだ(と述べている)。フランスなどは、そのための具体的手段、(査察官の数を)二倍、三倍にするとか、そういうこともふくめて提案をしているわけであります。こういう方向に賛成かどうか、聞いているんです。
いま国際社会が、イラクにきちんと義務の遂行を迫るというのは当たり前です。どの国も一致してこれを求めています。しかしそれを、査察という手段を継続し強化して平和的にやるのか、それともそれを中断して戦争という手段に訴えるのか、この二つに一つがいま問われているんですよ。日本政府はどっちなんですか。(査察の)継続・強化という立場なのですか。総理、お答えください。
首相 まず何年にもわたって査察しているんですから、これにイラクが協力すべきなんです。そして査察の報告がなされ、再度また査察団長がイラクに入って協議して、十四日ですか、たしか、十四日にまた査察の報告があるんですよ。まず大事なことは査察をいつまでしててもいいんだと、イラクが、大事なことは協力すべきなんです。妨害しないことなんです。だからそれは十四日の報告を待って日本としては判断すべしと。
査察に反対なんか全然してませんよ。査察すること、これに対して協力している。そして査察はきちんと実施に移させる、移るように日本も、イラクに対しても外交努力を続けていく、これが一番大事なことである。そして平和的解決はイラクが協力さえすればそれはなされるんですから。この点は日本としてもよくみきわめながらさらに外交的努力を続けていかなければならないと思っております。
志位 いろいろおっしゃいましたけど、要するに、国際社会の様子をみて決めようということだけですよ、いま言ったのは。他の国は査察の継続・強化ということを、具体的に言っている。それをこれだけ聞いてもはっきりお言いにならないわけですよ。
では逆に聞きましょう。アメリカはそういう立場ではありませんね。アメリカのパウエル国務長官は、「問題は査察団にたいしてどれだけ時間を与えるかではもはやない」(と言っている)。もはや査察を続ける段階ではない。そしてフランスが査察を強化すべきだと提案したのに対して、パウエル長官は拒否してますよ。こういう態度を、日本政府は賛成するんですか。査察を中断しようとしている、このアメリカの態度を、日本政府は賛成するんですか。はっきり答えてください。
首相 日本としては十四日に査察の報告が再度なされますから、その状況を見て判断すると。そしてイラクに対しては協力しなさいと、アメリカに対しては国際協調を構築できるように、引き続き努力を求めているわけでありますから。これが日本としての態度なんです。戦争を求めるなんてのはとんでもない。日本のはっきりしている態度は、いかに、この国際協調体制を築いて平和的解決をしていくか。たとえ、日本の国是として、国策として、世界各国が国連決議で武力行使容認しても、日本は武力行使しないのですから。日本の立場はこれほどはっきりしたことないですよ。
志位 まったく答えませんね。私が聞いたのは、査察の継続・強化に賛成するのか、アメリカがこれを中断しようとしていることに反対するのか。これについては何も答えないで、要するに十四日の報告を待って、まわりを見て判断するとしか言わないんですね。
私は、いま世界が、査察による平和解決か、戦争によるまったく悲惨な事態に扉を開くのかというこの決定的瞬間に、査察の継続・強化ということを言えない。これは戦争という選択肢を事実上選ぶことになるのです。私は、これは歴史に汚点を残す答弁だと思う。私は、世界の多数の国々、世界の多数の世論が求めている平和解決、査察による平和解決ということを、日本政府はいまからでもきちんと言うべきだということを強くのべておきたいと思います。(拍手)
志位 つぎに経済政策についてうかがいます。
まずただしたいのは、四兆円負担増の問題です。こんな深刻な不景気のもとで、年間四兆円もの国民負担増を押しつける政策を強行していいのかという問題であります。
政府が、いま方針として決定している、今回の一連の計画が強行されますと、社会保障のあらゆる分野――医療、介護、年金、雇用保険、合計して二兆七千億円もの負担増、給付減となります。発泡酒やたばこの増税、配偶者特別控除の廃止による所得税の増税、消費税の免税点の引き下げなど庶民への増税で、一兆七千億円であります。いまの計画が全部やられますと、合計して四兆四千億円もの負担増・給付減になる。これを強行したら、いったいどういう事態になるのか。私は、三つの角度から総理の基本的認識をうかがいたいと思います。
まず第一に、国民の命が犠牲にされるという問題です。四兆円のうち約一・五兆円は医療費の負担増です。そのうちお年寄りの医療費の自己負担、これはいままで一回八百五十円の定額負担だったわけですが、一割から二割の定率負担に、昨年十月から引き上げがすでにおこなわれています。これが何を引き起こしているか、総理はご存じでしょうか。
私は、全国各地のお医者さんからさまざまな訴えを受けます。患者さんからも受けます。たとえば、「在宅酸素療法」という治療が危機に瀕(ひん)しています。これは慢性呼吸不全や心不全によって心肺機能が弱った方々に、在宅でも酸素吸入ができるようにするもので、生活の質を向上させ、寿命をのばす大きな役割をこれまでも発揮してきました。年間、現在十一万人がうけているわけであります。
ところが、総理よく聞いてくださいよ。お年寄りの医療費の自己負担の引き上げで、だいたいこれまで月八百五十円の負担だったものが、一万円前後まで引き上がって、多くの患者さんが、治療中断を余儀なくされているという実態があります。酸素を奪われた患者さんは、苦しさで外出もできない、動くこともできない状態になると聞きました。昨年十月以降、治療中断によって、呼吸不全、心不全が悪化し、亡くなった患者さんもいるということが伝えられています。
私は、今日、ここに、今年の一月二十三日に朝日新聞に投稿された福岡県のお医者さんの投書を持ってまいりました。「弱者の命軽視、医療制『改悪』」という題名がついています。こう述べております。
「これ(在宅酸素療法)は重い呼吸障害のある人が自宅で酸素を吸うことで、『生活の質』を大きく改善することができるものですが、この自己負担額が十月から一挙に十倍近くまで引き上げられました。そのため、この療法をあきらめる方が、全国で10%前後に達すると言われています。この方たちは酸素がなければ生活の質が大幅に低下するばかりか、確実に命を縮めてしまうのです。首相にお聞きしたい。あなた方は、こういう実情があるということをご存じですか。これが『痛み』の一言で片付けられるものかどうか、よく考えてみてください。『医療費の払えない低所得者は死んでも仕方がない』と言っているのと同じなのです」
私は、この告発の声は、なかなか重いと思いますよ。この告発でいわれている、「これが『痛み』の一言で片付けられるものかどうか、よく考えてみてください」、この声に総理はどういうふうにお答えになりますか。
首相 医療負担のことですが、高齢者のことより全般のことをいいますが(志位「いま聞いたでしょう、具体的に」)。痛みがありますが、これは全体の負担額だけでなくて、医療保険制度全体のことをやっぱり考えていただきたいと。
そして、二割負担から三割負担で多大な痛みを伴うといわれますが、国保というのはすでに三割負担なんですよ。そしてなおかつ、私は、高齢者に対しましても一割負担をお願いしますけども、これもやはり上限を設けてあります。痛み、痛みということよりも、それじゃ、この負担をお願いする際に、現行どおりにした場合に、これはやっぱり、税金を投入するか、ほかの、跳ね返ってきますよね。そういうことを考えて、私はむしろ、高齢者も若い世代もともに皆保険制度を維持する、そして、適切な医療が受けられる制度を安定的にするという点にも、十分配慮していただきたい。
ただ、痛み、痛みだけ、負担、負担の部分だけいわれますが、どういうこといわれましても、だれかが負担しなければならないんです。それがやっぱり保険制度じゃないでしょうか。
志位 総理は私の質問を聞いてなかったんじゃないですかね。私が聞いたのはですね――、医療保険の問題についての全体像は後でやりますよ、そうではなくて、いま起こっている事態なんです。
酸素の在宅療法を受けられなくなってしまっていると。これが「痛み」の一言で片付けられますかと聞いているんです。酸素をとられちゃっている人にとって、これは動けなくなるだけじゃありませんよ。お医者さんに聞きますと、これは睡眠がとれなくなる。栄養の吸収もできなくなる。そういうことが「痛み」の一言で片付けられていいのかと。命を奪うようなことをやっておいて、「痛み」の一言で片付けられることなのかと聞いているんですよ。あなた、全然答えていないですよ。だめです、総理、総理、答えてください。
首相 これは私の答弁なんですよ。まさか酸素をとられたら命がなくなっちゃう。そんなばかなことをするわけないでしょ。
志位 起こっているんですよ。これは起こっているんです、現実に。酸素の取扱業者さんに聞いても、やはり大変な規模で起こっていますよ。総理、この問題、少なくとも調査してください。こういう実態について調査してください。
坂口厚労相 たしかに十月から医療制度の一部が変わったことは事実でございます。高齢者の場合には一割の、いわゆる定額から定率になったことは事実でございます。そのなかでさまざまなことが起こっていることは、当然考えられるわけですが、われわれといたしましては、その患者のみなさん方それぞれにできるだけのことはしたいというふうに思っております。
しかしさきほど、総理からもご答弁がありましたとおり、これだけ高齢者が増えてきたわけでありますから、その高齢者が増えてきたそのなかで、お互いに助け合って、そしてこの医療制度を実現をしていかなきゃならないわけでありますから、それを当然自己負担というのもあるでしょう。ありますけど、そこはしかし一部お願いをしていかないと全体としてやっていけない事態になっている。命にかかわることでありますから、それは命にかかわることであるだけに、われわれはそのことを全体としてお願いをしたい。酸素のことにつきましては、われわれもよく聞いておりますし、今後検討していきたいと思っているところです。
志位 調査は。
厚労相 調査はわかっているんです。わかっていますから、今後、これまた対応してまいりたいと思います。
志位 調査すると約束してください。調査してないでしょ。
厚労相 調査は、いまさらあらためてしなくても、だいたいどのくらいの状況になっているかはわかっておりますから、それに対してどれだけそれに対応できない人があるのかということは、それは見なきゃいけない。しかしそうしたことを見極めながら、われわれは対応したいというふうに思っております。
志位 対応するということを言いましたから、しっかりした対応をお願いしたいと思うけれど、そのためにはしっかりした調査は当然必要です。
私が、この問題をなぜ取り上げたかというと、小泉総理と私とは、医療費の自己負担の問題について、何度も論戦したことがあります。九七年のサラリーマンの自己負担を一割から二割にしたときも論戦しました。党首討論でも論戦した。私が、この問題で、繰り返し提起したのは、医療費の自己負担を上げれば、必要な医療が受けられなくなる。私はそういいました。そうすると総理は必ず、「いや、必要な医療は抑制しないんだ」と(言った)。しかし現実に起こっていることは、まさに必要な医療の抑制なんですから、中断なんですから、やはりここは現実を見た対応がどうしても必要になる。
医療保険制度ということを言いましたけれど、この問題、酸素の問題だけではありません。たとえば日本医師会の調査を見ましても、糖尿病の問題、高血圧の問題、慢性病にまずしわ寄せがいくんですよ。そして慢性病の早期発見、早期治療ができなくなれば、これは健康が悪化し、保険負担も結局重くなって、制度自身の維持もできなくなるんです。
だからこそ、国民皆保険制度の解体の危機だといって、日本医師会も、日本歯科医師会も、薬剤師会も、看護協会も、四団体そろって「三割負担は凍結すべきだ」と、そして「お年寄りの医療費については軽減をはかるべきだ」ということを言っているわけですから、この声に耳を傾けるべきだということを強く言っておきたいと思います。
志位 二つ目の角度として、私は、景気悪化のなかで国民負担増を押しつけた場合の日本経済に対する打撃を、どう認識しているのかを総理にうかがいたい。
九七年に、橋本内閣が強行した消費税の増税、医療費の値上げなど、あわせて九兆円の負担増がありました。(首相、財務大臣に答弁をうながす)あのときも総理は、厚生大臣をつとめられていたんで総理お答えくださいよ。財務大臣ではだめです。それでこの問題は、九兆円の負担増で日本の経済を危機におとしいれたというのは、もう歴然たる事実です。これが大失政であったことは、当の橋本(元)首相自身が一昨年四月の自民党総裁選挙のさいに、こう言っている。「結果としていまの不況の原因の一つとなっていること、これは私、率直に認めて、国民におわび申し上げます」。当人が言っているんですから。失政だということはもう歴史の決着がついています。
今回の四兆円の負担増。負担増の額自体は前回に比べて小さいようにみえるけれども、経済に与える影響はどうなのか。九七年のさいには、だいたい雇用者の所得が、(当時は)弱々しいながら景気が回復途上にありましたから、年平均で五兆円増えていました。五兆円増えているところに九兆円の負担増をかぶせて、差し引き四兆円の所得が減って、大不況になったのが九七年でした。
ところが今回は、政府の統計で雇用者所得をみますと、年平均二兆円ずつ減っているんですよ。景気が悪い、リストラ、倒産も多い、所得がどんどん減少するもとで、四兆円の負担増。合計六兆円の所得を奪うことになります。下り坂で、後ろからボーンと背中をついて、突き落とすようなものです。
私は、総理にうかがいたいんですが、これを強行した場合に、経済の六割を占める家計にどういう影響があるというふうに認識しているんでしょうか。家計への影響です。総理にうかがっています。
首相 せっかく全閣僚が出席しているんですから、より詳細なことは担当大臣に答弁させますが、私は負担増のみだけを焦点をあてるのは、あまり好ましいとは思っておりません。橋本内閣の時代と現在が違うという状況も考えなきゃいかん。同時に今回は消費税は上げておりません。そしてなおかつ、先行減税しています、二兆円の。まあ、酒・たばこの二千億円の増税ばっかりいいますけども、二兆円の先行減税をしていることも考えなきゃいかん。そういう全般的なことを考えて、なおかつ国債発行の状況とか財政状況を考えながらやっているわけでありまして、社会保障給付もこれは増えているんですよ。福祉関係も予算を減らすなかで増やしているんですよ。そういう観点もやっぱりあわせて考えなきゃいけないなと思っております。
志位 また、ちゃんとお答えになりませんね。私は、家計にどういう影響がおよぶかを聞いたんです。「先行減税」は、家計に関係ないじゃないですか。「先行減税」を二兆円というけれど、大企業むけの研究関係の減税とか投資減税とか、そういうものが中心でしょう。家計に関係ない話ですよ。
私は、家計にどういう影響が及ぶかということを試算してみました。(パネル=図1をかかげて)これは九七年と、今回の負担増の、家計への影響の比較表です。これは、勤労者の「標準世帯」――財務省がいつも使っているあの「標準世帯」です――四人家族、片働きの世帯の平均の年間額です。九七年の負担増のさいと今回の負担増のさいの比較です。これは、総務省の家計調査から、私が責任をもって算出したもので、あなたがたはこういう試算をやっていないと思いますが、これは間違いない試算として国会にお出しいたします。
九七年の方を見ていただきたいのですが、このときは、所得ですね、一番左の青い棒ですが、十一・二万円増えていたんですよ。しかし消費税などの負担増が十三・六万円であったために、差し引きで二・四万円所得が減って、不況への引き金を引いたわけですね。
今回を見てください。所得が、ただでさえ十五・一万円減っているんです。リストラがどんどんやられる。「不良債権処理」の名で中小企業がつぶされる。所得が減っているんです。所得が減っているところに今度の負担増は、十一・一万円の負担増ですよ。(今回は)消費税(増税)が入っていないというけれども、たとえば、配偶者特別控除(の廃止)、これは来年度から実施じゃありませんけれども、実施されることを決めているでしょう。これは非常に響きますよ、勤労者世帯には。ですから、私たちが試算すると、こういうことになります。合計しましたら、みなさん見てください。今度の場合には、二十六・二万円の所得が奪われることになるんです。「標準世帯」でですよ。
前回は、二・四万円の所得が減ったことによってあれだけの不況が起こった。今度は、二十六・二万円です。十倍以上の所得減が起こった場合に、これだけ家計を痛めつけたら、私は、橋本内閣の大失政の二の舞いになることは、もう火を見るより明らかだと(「そうだ」の声)。経済破たんにつながることは火を見るよりも明らかだと思いますが、総理の見解はいかがですか。
首相 これは、医療費からそういう論理をされるわけですが、家計だけと。関係ないと言っていますけどね、先行減税も関係あるんですよ。結局、企業活動を活発にすることによって、これは雇用の拡大とかあるいはこれから研究投資・設備投資が始まる。全体を見れば、経済にいい影響を与えるということで、これは家計にも影響してくる。なおかつ、それでは、医療費の三割負担をしないで、年度据え置いた場合、国民皆保険制度はどうなるのか。おそらくもっと公費負担せよと共産党さんは言うのでしょうけれど、公費というのは税金ですからね。そういう点を考えて総合的に見る必要もあるのではないか。私はそう思います。
志位 私は、総理の答弁を聞いて驚きました。共産党は家計だけに注目していると。家計というのは、日本経済の六割を支えているんじゃありませんか(「そうだ」の声)。家計の消費が経済の六割ですよ。それに注目しないで、いったいどこに注目するというのか。
大企業を活発にすればいずれは家計に及ぶと、この議論は成り立たないんですよ。九七年のこの負担増のときでも、そのあと法人税がどんどん下げられた。37・5%の基本税率は、何度も下げられて、30%まで法人税(率を)下げたでしょう。家計には負担増を押しつけたけど、大企業は負担を軽くした。それをセットでやったけれど、景気はちっともよくならないじゃないですか。企業の減税のために家計から吸い上げるというやり方は、破たんしているということは、もう事実が証明している。
私は、総理の答弁を聞きまして、家計への影響に対する認識がない、検討もしていない、それで経済にどういう影響が及ぶかの検討もしない、それでこれだけの負担増を国民に押しつけるということをやったら、これは本当に、恐ろしいことになると思います。
私は、この場で、六年前に橋本総理と論戦したことを思い出します。あのとき私は、同じ議論をしました。(九兆円の負担増を強行すれば)家計が底割れになる。そのときの橋本さんの答弁は、「日本経済は余力があるからなんとかなりますよ」といって、あれ(九兆円負担増を)やったんですよ。しかし、実態はああいう不況の引き金を引いた。そして、橋本さんは「余力があると見ていたのは間違いだった」と言っている。いま、「反省する」と言っていますよ。
こういう問題を、なんの検討もなしに、「家計だけ」とか言って、家計を、まさに(日本経済の)六割を占める家計を軽視して、日本経済に同じ過ちをもっとひどい形で繰り返すことになるというのは、私はもう明りょうだと思います。
志位 つぎに、私はうつりたいと思うんですが、そこで最後に総理が言ってきたのは、「(社会保障の)制度をどうするんだ」と、「制度が『持続可能』にならなくなるじゃないか」というお話でした。しかし、私は、第三の論点として、庶民への巨額の負担増の政策をやるならば、財政も社会保障も「持続可能」どころか、逆にその土台を破壊し、空洞化が進み、「持続不可能」にすると、これも事実で証明されていると思います。
たとえば、最近の日本経済新聞はこう書きました。「厚生年金 空洞化の兆し」「厚生年金に入らない企業が増えている。零細企業が保険料負担を嫌い加入を見送っているためで、加入義務のある事業所のうち二割程度は非加入とみられる。正社員を加入義務のないパートに切り替える動きもあり、加入者(被保険者)数はピーク時から百三十万人も減った。すでに非加入問題が深刻化している国民年金に加え厚生年金でも『空洞化』が進むと、公的年金制度は大きく揺らぎかねない」
ここにいう「ピーク時」というのは、一九九七年のことです。九七年の負担増をきっかけとした景気悪化で、厚生年金ひとつとっても加入事業所が減り、加入者がこの記事では百三十万人減ったと書いてある。厚生(労働)省に確認しておきますが、この時期にどれだけ厚生年金の加入者が減りましたか。
社会保険庁・磯辺運営部長 厚生年金の被保険者の数は、一九九七年度末では、約三千三百四十七万人、二〇〇〇年度末には約三千二百十九万人。この三年間で約百二十八万人減少しております。
志位 百二十八万人減っているんですよ。つまり、社会保障の空洞化という事態が起こっている。私は、この事態について調べてみました。(パネル=図2をかかげて)これは、税収と社会保障収入の推移がこの約十年間ぐらいにどうなったかというグラフであります。
青い(上の)棒線のグラフが、税収のグラフです。国税と地方税の合計のグラフです。これを見ますと、一九九四年度に八十六・五兆円だった税収が、九七年度には九十一・八兆円に増えていますが、そのあとずっと減りまして、二〇〇三年度には七十六・〇兆円。この間に十五・八兆円の税収が落ちている。
それからもう一つ、緑の(下の)棒の方は、社会保障収入であります。保険料と資産収入の合計です。九四年度には五十六・九兆円だったものが、九七年度には、六十五・三兆円まで増えたものが、六十・五兆円に減っております。これは、直近の数字は二〇〇〇年度です。最近はもっと減っていると思われます。景気の悪化と、それからもう一つは、資金運用で穴をあけたという問題もあると思います。
こういう実態があるわけですね。九兆円負担増をきっかけとして、九七年をきっかけにして、税収も大きく落ち込んだ。社会保障収入も落ち込んだ。あわせて二十・六兆円の税と社会保障の収入が落ちているんですよ。こういう空洞化が起こっているんです。ですから国民に安易に負担増を押しつけるというやり方をとると、結局は税金(収入)も減るし、社会保障(収入)も減ってしまう。
これが、実態として示されているわけですから、この事実にてらしても、私は今度の四兆円の負担増をやったら、この点でも「持続可能」どころか、「不可能」にすると、こう考えますがいかがですか、総理。
首相 逆に今の改革をしなかった場合、結局、税で負担しろってことでしょ。国債増発もおそらく共産党は反対だと思いますね。全体を考えてどうするのか。これを一部分だけみているから、いかんいかんというけれども、改革をするためには、高齢者にも若い世代にも公平に負担してもらわなきゃいかんと。そして、皆保険制度というものも維持していかなきゃならない。ということで今回、三割負担にしている。逆に三割負担にしているのを乳幼児なんていうのは二割に下げてる。
高齢者についても、高齢者は必ずしも若年者に比べて低所得とは限らない。統計からみても。だから一割程度は負担していただこうということなんですから、これ負担ばっかりみてますけれども、全体の財政をみながら、なおかつ、減税等税制改革等を考えながらやっているんですから。もっと詳しいこと聞ければ、担当大臣が答えますけれども。
塩川財務相 志位さんの方は四兆円、四兆円と、いうたら共産党はみな四兆円あるいは四兆三千億円といってます。これは年度をごっちゃにした話で、私はこれ、この前から申し上げているんですが、十六年度実施のやつ、あるいは十七年度実施のやつも全部いれて、十五年度実施という計算でやっているからそういうことが出てくる。実際はそうじゃない。たしかにですね、社会保障関係の負担の増は、二兆六千億円、これは増えていきます。しかし、税の方は、大きく計算して、一兆七千億円は増えるというが、増えるんじゃありません。二千数百億円は増えます。けれども、あとはですね、後年度負担になってくるんですから、ですからこれを一緒にして十五年度にこれだけ増えるという論理は、私はちょっとおかしい計算していると思うんです。
志位 財務大臣、よく私の質問をきいてから答弁してください。私が、二〇〇三年度に四兆円増えるって、いついいました。一度もいってないでしょ。政府がいま計画している負担増の計画が全部やられたら、年間四兆円増えることになる(といった)。それは、二〇〇三年度にやられるものもある。二〇〇四年度にやられるものもある。一部は二〇〇五年度もかかっていますよ。しかし、いまと比べたら四兆円増える事実は厳然としてあるんですよ。ごまかしちゃいけない。私は、この問題で、私がいってないことを、二〇〇三年度に四兆円増えるといったかのようにいって、こうやって答弁の時間つぶしをされるのはまったく困るということをいっておきます。
そして、総理のほうにもどりますけれども、総理のおっしゃったことは、結局税金でやるしかないじゃないか、どうするんだ財源はということだと思いますよ。しかし、私はそういうだろうと思って、もう一枚、こういうパネルをつくってまいりました(パネル=図3をかかげる)。国と地方の税収のうち社会保障にむけられている割合の試算です。OECD(経済協力開発機構)とILO(国際労働機関)の資料から、サミット七カ国の比較をおこないました。
志位 すなわち、国と地方に納められている税金全体のうち、社会保障の給付となって返ってくる分、“見返り”がどのくらいかという率であります。直近の数字でありますけれども、日本は22・0%、イタリアは32・3%、カナダは39・1%、フランスは42・7%、アメリカは45・5%、イギリスは57・8%、ドイツは65・9%、こうなっているんです。ですから、日本がかりにイタリアなみに(比率を)一割引き上げたら、増税しなくても税金の支出をだいたい八兆円増やすことができます。あるいはフランス、アメリカなみに二割引き上げたら、増税しなくても十六兆円の税金の支出を増やせる。イギリス、ドイツなみに三割引き上げたら、二十四兆円の税金の支出(を増やすこと)ができるんです。
なぜこんなことになっているかというと、サミットの諸国のなかでは、日本が国と地方あわせて四十五兆円から五十兆円という異常に肥大した額を公共事業にあてているという財政のゆがみがあるわけですよ。ですから、まず税金の使い方にメスをいれるということをやれば、四兆円の負担増の必要はなくなる。逆にいま、四兆円の負担増をやれば、私が今日るるいってきたように、まず国民の命が犠牲になる。それから、日本の経済が本当に破たんの危機に瀕する。税制と社会保障を「持続可能」どころか、「不可能」にする。
私は、本当にひとかけらの道理もないこの計画は、いまからでも、将来の社会保障や税のあり方については大いに議論したらいいけれども、この経済危機の中で、負担増を押しつける政策はやめるべきだということを強く述べて、つぎにすすみたいと思います。(拍手)
首相 いまね、税収のうち社会保障費22%。これは違いますよ。(志位「本当ですよ」)来年度予算、税収は四十二兆円程度だけれども社会保障関係は十九兆円ですよ。どんな項目よりもいま政府の予算で一番使っているのは社会保障費ですよ。とんでもない間違いですよ。
志位 あのね総理もね、人の質問をよく聞いてください。私は、「国と地方の税収のうち」といったでしょ。あなたが言っているのは国税の話でしょ。十九兆円というのは国税の話でしょ。国と地方の税収全体の中での(社会保障への)支出の割合はこういう数字になるんですよ。これはもう明らかです。政府の資料なんです。ですからそんな認識もないで、財源、財源と言う議論自体が、本当に間違っているということを指摘しておきます。
志位 つぎの問題にすすみます。「不良債権処理の加速」という方針の下で、中小企業の金融の実態がどうなっているのかについて、私はつぎにうかがいます。
現場では、非常に深刻な貸しはがしと貸出金利の引き上げがすすんでおります。一月十四日放映のNHK「クローズアップ現代」で「金利引き上げ・悩む中小企業」と題するリポートがおこなわれました。総理、ごらんになられましたか(首相、首を横にふる)。なってないですか。私は、非常に興味深く拝見しました。
「突然の貸出金利の見直しは、運転資金のほとんどを金融機関に頼らざるをえない中小企業にとって大きな打撃となっています」。こういうナレーションからはじまっています。
この番組では、中小企業家同友会が昨年十一月に発表した、貸出金利についての全国千社に対しておこなった調査を紹介しています。過去一年間に金融機関から金利引き上げを要請された企業は全国でおよそ25%。とくに大手銀行との取引の多い首都圏では40%にのぼるという調査結果であります。要請を受けた企業の半数以上が、金融機関から納得のいく説明を受けないまま、無理やり金利引き上げを押しつけられているということも調査結果から明らかになっております。
1〜2%の金利引き上げといいますが、これが中小企業の経営にいかに壊滅的な打撃になるか。番組では、ある繊維メーカーのケースを紹介しておりました。
「黒字経営で返済をとどこおりなく続けているなか、突然に大手都市銀行から金利を二倍に引き上げてくれと要請された。要請に従えば年間に支払う金利は八百万円増える。この会社の経常利益は一千万円。コスト削減に努めて何とか確保した利益のほとんどが増える金利の支払いに消えてしまう」
黒字経営で、返済をきちんとやっている企業ですよ。こういう企業への貸出金利が、一方的に引き上げられて、利益のほとんどを吸い上げられてしまう。私はこれは企業の努力を成果をほとんどむしりとるような許されないやり方だと思いますが、総理の見解をうかがいたい。
首相 何でもかんでも総理、総理というけども、せっかく担当大臣いるんですから。(志位「総理が(答弁席に)出ているんだから、答えなさいよ」)(大きな笑い)
竹中金融相 経済の問題というのは、さきほどの国民負担の問題もそうでありますけども、一面だけをとらえれば非常に誤った見方になると思います。さきほどの負担の問題に関しましても、トータルで一体、民間部門の負担がどのようになるのかということに対して、(志位「質問に答えてください」)われわれは政府の貯蓄投資政策というものを出しているわけでありますので、その点でそういう負担はかからないと、九七年とは違うということの試算をきちっとした上でそういう政策をとっておりますので、そういったマクロの全体のバランスを見ていただきたいと思います。
で、おたずねの中小企業の金融の問題に関しましても、これは個別の問題をうんぬんするのは大変難しいと思います。われわれも中小企業の話を聞くことはありますけれども、たしかに銀行はなかなか貸してくれないという話がある。一方で銀行からいうとですね、実はあそこの会社にはなかなか隠れた負の資産があってですね、金利を引き上げざるをえないんだ、という話もある。
そういう意味では一般論として申し上げるのはなかなか難しいのだと思います。ただ、あえていえばですね、総じて銀行がリスク管理をしっかりしなければいけない。リスク管理をしっかりしなければ、銀行自身の経営がダメになる。そういった中でリスクに見合ったリターンを求めるというところが増えているのであろうと思います。
問題はその場合にやはり優越的な地位を銀行が利用して非常に強制的にそういったおこないがある、これはやはりたいへん問題なわけで、そういうものに対してはしっかり監督していかなければいけない、と思っております。われわれとしては、そういった意味での貸しはがし、貸し渋りに対するホットラインをつくって、それに対してそれを活用して監督をすすめよう、というふうにしておりますので、そうした中で問題が悪化しないようにぜひしっかりと監督していきたいと思っております。
志位 個別の問題だとおっしゃいましたけれど、小泉内閣になってから、中堅・中小企業向けの貸し出しは、全国銀行ベースで三十兆円以上減っているんですよ。これは事実なんです。それから首都圏では四割もの中小企業に金利引き上げが一方的に強要されているのも事実なんです。個別の問題じゃないんです。全体の問題なんです。
そしてどこがねらいうちにされているかということを、NHKの番組でも紹介されていたんですけれども、中小企業家同友会の全国調査では、こういう調査結果がでているんですね(パネル=図4をかかげる)。すなわち、中堅・中小企業への貸出金利の引き上げの要請が、どういう企業に対してやられているかということのグラフなんです。これはNHKでも同じグラフが出されました。
これを見ていただきたいんですが、まず「やや赤字」「赤字」の企業ですね。ここにはかなり激しい金利の引き上げの要請がやられていることがわかります。こういうところでは、事実上、金利の引き上げをのまなければ融資の打ち切りだと、貸しはがしの口実として使われている場合が非常に多い。これが実態です。しかし、いま、赤字の企業であっても、十年間の不況の中で生きている企業なんですから、金融機関の適切な支援があれば、再生の可能性をもっている。そういうところが貸しはがされている実態が、ここにあらわれています。これは許しがたいことだと思います。
それからもう一つ注目していただきたい。これはNHKの番組でも注目していたんですが、「やや黒字」、この企業がねらいうちにされて、金利引き上げの対象になっているんですね。「やや黒字」の企業というのはどういう意味を持つのか。十年来の大不況のなかで、「やや黒字」という業績を持っている企業というのは、これはまさに将来伸びていく健全企業ですよ。そして、成長企業ですよ。将来の日本経済のけん引車にならなきゃならない企業でしょう。そこが、金利引き上げのターゲットにされているんです。いま実態として。これは、さきほど、竹中大臣が「リスクに見あった金利は当然だ」というけれど、「リスクに見あった金利」じゃないんですよ。これは。取れるところからむしりとっている。これがいまの実態なんですね。
私は、これを見まして、小泉さんが、ずっと「不良債権処理」についていってきたことが、まったくの空論だったということを裏付けていると思います。すなわち小泉さんは、「不良債権処理をやれば、成長分野にお金が回るようになる」と、こういい続けてきた。しかし、やればやるだけ、実態は逆に、成長分野に対する資金供給を困難にしている。これが、いまの実態なんですよ。逆のことが起こっている。現実には、正反対のことが起こっている。これをどう説明するんでしょうか。これも、総理にうかがいたい。(竹中大臣が答弁しようとする)ダメですよ。
首相 まあ、より詳しいことは、担当大臣に答弁してもらった方がいいと思いますが、たしかにいま、志位さんがいわれたような面も一部にあると思いますよ。そして金融機関についても、努力が足らない点もあると思います。この成長分野と、破たんも免れない分野と見極めるのは、たいへん難しいと思います。現に、私のところにいろんな話を聞かしてくれる方も、むしろ成長分野のところに資金がいっていない面もあるということを聞かせてくれる方もいます。この不況下でですね、ちゃんと黒字でやっている企業はたいしたもんですよ。これを成長分野と見極めて、たんなる担保とか、そういうんじゃなくて、経営者の手腕とかですね、そういうところに融資するというのは、やっぱり、金融機関として努力が大切だということは、認めます。
全体として、しかしながら、不良債権処理をすすめないと、いまの金融機能というものが、うまく機能しないというのも事実だと思います。そういう点をよく考えてやっていきたいと。まあ、よく…。もっと詳しいことは、担当大臣からお願いします。
金融相 志位委員がいわれたように、一部のですね銀行の中で、不良債権処理の中の、まあ銀行自身もたいへん苦しいわけですけれども、なかなかやはり、そのいわゆる貸し渋り、貸しはがし的な社会的な問題が起こっているであろうということは、私たちも否定する気はありません。その点に関しては、したがって、セーフティーネットでありますとかですね、われわれもそのために、ホットラインをつくって情報収集しているわけでありますし、さらには新しい新規の参入の仕組み等々も、まあ、考えている。さらには、中小企業の融資編のマニュアルの中では、とにかく中小企業に、零細企業については、あの、財務内容だけではなくて、総合的に勘案して、経営実態を踏まえてですね、総合的に判断するようにということを、繰り返し繰り返し述べているし、その周知徹底をはかっているところであります。
ただ、重要なのは、これはもう、まさに総理がおっしゃった通りですね、じゃあ、不良債権がたくさんあると融資をしてくれるのかというと、これはありえないわけでありますから、これはやはり不良債権を処理していくということは、これはまあ、どうしてもやっていかなければいけない。そのなかで、いままでなかなかそのリスク管理にも、日本の銀行は慣れていない、その意味では、日本の銀行、まあ、しっかりしていないと、していなかったというふうに思いますけれども、そのなかを、銀行をきちっとさせながら、一方で、新しいセーフティーネットの保証の制度、政策金融の制度、さらには新規の参入とか、まあ、ありとあらゆる総合的な手段でもって、問題の発生を抑えながら、不良債権の処理をすすめていきたいというふうに思っているところであります。
志位 竹中大臣は、銀行の貸し渋りを否定しないと、いろいろと対策をうっているといいましたが、それ(銀行の貸し渋り)をさせているのはあなたなんですよ。その自覚がないんですね。「不良債権の処理」を二、三年と期限を区切って、無理やりやれと、バランスシートから落としなさいということをやれば、銀行も損失がでる。自己資本に傷がつく。自己資本の傷をとりもどそうとしたら、銀行がやることは二つしかありませんよ。(自己資本比率の)分母を小さくする、資産を圧縮する貸しはがしと、分子を大きくする、そのための貸出金利の引き上げですよ。あなたがやらせているんですよ。あなたが担当大臣になってから、日本の経済は、ちっともいいことないじゃないですか(場内笑い)。すぐに辞めていただきたい(「そうだ」の声、拍手)。研究室に帰った方が世の中のためだと思いますよ。(竹中氏が答弁しようとするのをさえぎって)いいです、もういいです。(場内騒然。「がんばれ」の声)
藤井予算委員長 竹中金融経済財政担当国務大臣、どうぞ。
金融相 さきほどから、中小企業に対する貸出残高が減っているとおっしゃいましたけれども、これはもう、ここ数年来、ずっと減ってきているわけですね(志位「何をいっているのか」)。これは、不良債権の処理をすすめざるをえない状況のなかでですね、貸出残高というのは、やっぱり減ってきているわけです。で、今回ですね、不良債権に関して、より総合的な観点から、不良債権の処理は、もうすすめざるをえないんだから、資産の査定、自己資本の充実、ガバナンスの強化、それを総合的にやろうということが、われわれのプログラムの目標なわけです。
したがって、たしかに資産査定をしっかりやってもらわなきゃいけないんですが、同時に銀行は現実問題としてですね、自己資本の充実に対して、いままでまったく違った行動をとりはじめたじゃないですか。そのなかで、自己資本を充実していく、自己資本を充実していくということは、とりもなおさずですね、貸し出しの残高、貸し出し余力を高めるということであって、そうしたなかで、銀行も活性化し、健全な資金が健全な企業に回るような仕組みができていく。そのプロセスを経ずして、不良債権処理をやめてですね、それで金融がよくなるということはありえないじゃないですか。
志位 だれが不良債権(問題の解決)をやめろといいました。不良債権を無理やり、(銀行の)バランスシートから期限を区切って落とすようなやり方じゃなくて、もっときちんとした解決方法があるといっているんです。これは、いまからいいます。
それから、竹中さんがおっしゃったことで、全然事実に違うことをペラペラいってもらっちゃ困る(「そうだ」の声)。ずっと貸し出しが減り続けてきたといいますけど、私、数字をいいましょう。この五年間で、(中堅・中小企業への貸し出しが)六十五・四兆円減っているうち、三十三兆円は小泉内閣になってからですよ。このわずか一年半のうち、半分減っているんですから、あなた方の政策的な責任なんです(「そうだ」の声)。それを全然自覚していない。
私は、この問題で、政府がとっているやり方というのは、まったく空理空論で現実をみないものだと思います。さきほど成長分野にお金が回らないじゃないかということをいいましたけれども、これは経済財政諮問会議でも同じような議論がやられて、テレビで紹介されるような優秀な技術を持ったところにもお金が回らないとさんざん問題になったじゃないですか。あなたがたのところでも。現実でもって破たんしてしまっている。
私は「クローズアップ現代」を見て、非常に印象に残ったのは、これは茨城のある地方銀行ですけれども、この銀行では、百社の貸出先の格付けを上げているんです。つまり経営改善のためのアドバイスをサポートを銀行がやっている。いっしょになって経営を立て直して、そして破たん懸念先から要管理先に七十社、要注意先から成長先に三十社、(あわせて)百社の格付けを上げている。そして不良債権を減らして、六十億円の引当金を減らしたというのですね。
銀行というのは、単なる金貸し業じゃないんです。借り手企業を育成・支援する、大事な社会的機能を持っているわけです。そういう活動をしっかり銀行がやった結果、不良債権が減っていく。この茨城の地方銀行がやっているように。こういうやり方こそ、私は政治が支援すべきだと思います。
ところが、これは実はよく聞きますと、時間がかかるんです。この茨城の銀行がやったことは時間がかかる。すなわち、(はじめは)銀行と取引先に信頼関係がなかなかないんですね。ちょっと自分の商売の状況を正直に言うと、融資を打ち切られるという心配がある。信頼関係がない。だから(銀行側が)本気になって、立て直してくれるとわかるまでに一年かかるというんです。それで再建計画を作って、企業が本格的に再建の軌道に乗るまで四年から五年かかるといいます。それぐらいの手間と時間がかかるんですよ、企業を立ち直らせるには。
やっぱりそういうやり方をとるべきであって、二、三年と期限を切って、バサッと落としてしまうというやり方をとったら、いまある成長企業の芽も摘んでしまう。長い間、赤字で苦しんで、しかし生きている企業、支援さえあれば立ち直れる企業の芽も摘んでしまう。これはやはり、政策の転換を私は求めたいと思います。
志位 最後に私は、公共事業受注企業からの献金問題について取り上げます。
昨年二月の長崎県知事選をめぐる違法献金問題で、自民党長崎県連の浅田前幹事長らが逮捕されるという事態が起こりました。この問題で重大なのは、公職選挙法一九九条、二〇〇条の「特定寄付の禁止事項」、すなわち、公共事業受注企業からの「選挙に関する寄付」を禁止する条項に違反したことが犯罪とされていることであります。
公共事業受注企業からの献金は、かりにそれが政治献金という名目で、政治資金規正法にもとづいてきちんと届け出がされていたとしても、実質的に「選挙に関する寄付」であれば違法になります。そのことを長崎の事件は明らかにした。
政府に確認しておきますが、公職選挙法でいう「当該選挙に関し」というのは、「選挙に際し、選挙に関する事項を動機とし」という意味であると、これまで政府は説明してきましたが、間違いありませんね。
片山総務相 昔から、いま志位委員がいわれた解釈だと、こういうことに聞いております。
志位 いま確認をいたしました。長崎の事件を受けまして、自民党の全国幹事長会議では、「これで違法なら、どうやって政治資金を集めればいいのか」という声が上がったと伝えられました。違法献金は長崎だけの問題ではなく、全国の問題ではないのか。わが党は独自に調査をおこないました。その第一次分が、みなさんにいま、配布させていただいた資料であります。(資料を配布)
今回、調査対象としたのは、国会議員で、閣僚、副大臣、与党各党首脳に限って、調査対象といたしました。
まず私たちは、「選挙に際し」という条件に当てはまる献金を抜き出しました。すなわち対象にした国会議員ごとに、公共事業受注企業からの「選挙期間中」の献金を抜き出しました。「選挙期間中」というのは、衆院選挙については、与党党首会談で投票日を正式発表した二〇〇〇年五月十八日から、投票日の六月二十五日まで。選挙期日が決まっている参院選挙については、約一カ月前の二〇〇一年六月二十一日から投票日の七月二十九日までといたしました。
つぎにそのなかから、「選挙を動機に」という条件にかかわって、献金をおこなった企業ごとに過去三年間の献金の有無、金額を調査し、「選挙期間中」の献金が明らかに突出している、増えている、そういうものにかぎって一覧表といたしました。
その結果がみなさんにお配りした資料であります。五名の閣僚、七名の副大臣、七名の与党首脳、合計十九名の政治家が、「選挙期間中」に合計七十四社の公共事業受注企業から、合計八千二百八万円の献金を受け取っていることが明らかになりました。
閣僚のリストを見ていただきたいんですが、九七年、九八年、九九年、総選挙の前三年間は献金がゼロなのに、二〇〇〇年の総選挙の年だけは、「選挙期間中」に献金している企業がずらりとならんでいることがわかると思います。上からいきますと、解散二日前の五月三十一日に、五十万円献金している企業がありますが、この企業はその前の三年間は献金ゼロです。
つぎのリストを見ますと、総選挙公示日の六月十三日に三百万円献金している企業がありますが、この企業もその前の三年間は献金はゼロです。それから公示三日後の六月十六日に三百万円献金している企業がありますが、これもその前三年間はゼロです。
そのつぎに六月十六日、二百万円の献金している企業がありますが、その企業についてもその前三年間はゼロです。こういう企業ずらっとならんでいるでしょう。それまでまったく献金が三年間はなかった。私たち責任を持って調べましたが、三年間はなかった企業が、解散や、選挙の公示の声を聞いたら見事にずらりと献金をおこなう。
これは、首相にまず、この表を見た感想からうかがいたい。これらの献金というのは、さきほど片山大臣がおっしゃられた「選挙に際し、選挙を動機に」行われた献金であることは、だれが見ても明らかだと思いますが、いかがでしょうか。
首相 私はこの「選挙に際し」ということではなくて、政治活動として一般的にもらっている献金は事実あります。しかし正規に政治資金規正法で届けて、選挙の際にはきちんと収支報告をして適正に処理していると思っています。他の閣僚については、それぞれ私はわかりませんけどね。
志位 いま総理は政治活動としていただいていると、政治資金としていただいていると、いうことをおっしゃられました。しかし政治資金として届け出をちゃんとしていても、実質的にこれは選挙献金だと認定されたら違法になるというのが長崎の事件なんですよ。ですから政治献金として届け出ていたから違法でない、ということにはならないんですね、これは。もし、これが選挙資金だというふうに届け出ていたら、もう即、公選法一九九条、二〇〇条違反で違法ですよ、これは。即違法ですよ。またもし届け出ていなかったら、ヤミ献金でこれも違法ですよ。当たり前なんです、これは。政治献金として届け出ていても、実質的に選挙献金の場合は違法になるというのが、長崎の事件なんです。(「そうだ」の声)
あなたの例について出されたんで、これを見ますと、あなたのところに(献金が)いっている企業もですね、五十万円、これを解散の二日前に五十万円だしてるわけですけど、その前三年間は献金ゼロでしょう。献金ゼロの企業が、ちょうどこの解散二日前というのは、われわれ野党四党が内閣不信任案出した日なんですよ、ちょうどこの不信任案出したその日に、ずっと献金してなかった企業が、ドンとカネだすと。これは、「選挙を動機」にしたお金だと推定されてもしょうがないでしょ。どうですか。そうでしょう。
首相 これはね、私はこれは実質的に違法だという捜査をうけたこともないと聞いております。自民党支部でしょ。私が代表務める自民党支部です。そしてなおかつ五十万円という額が突出しているかどうか、私は突出しているとは思いませんけども、かなり多額だということはありがたいと思っています。そういう方々の政治活動資金の提供によって党の活動も、また私の活動もいままで成り立ってきた部分がずいぶんありますから、それはきちんと適正に処理しなきゃならないと思っております。
志位 五十万円だからいいってことにならないですよ。五十万円でもこの法律は非常に厳しい法律で、禁固一年数カ月、執行猶予何年という刑を受けた方もいるんです。ですから、額は関係ないのです。それから、(その前三年間は)ゼロ、ゼロ、ゼロだったものが、五十万円になる。これを突出というんですよ(笑い)。私は、総理の献金について、一つ一つここで、その違法性をここでこれ以上、ここは裁判所じゃありませんから論ずるつもりはありません。しかし、このリスト全体について同じようなケースたくさんあるでしょう。自民党の総裁なんですから、これの全体について調査をすると、国会に報告すると(いうべきだ)。少なくとも私は、「選挙に関する寄付」だと疑われても仕方がない献金であることは間違いないものが、このなかにたくさん含まれている。総裁としてきちんと調査をして、国会に報告すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
首相 これはすべての議員に対して、きちんと法にのっとって処理するということは、常に指示していることであります。それぞれ議員の活動、あるいは選挙区の党の支部の活動は、実情は違うと思いますが、疑惑は持たれたら、ご本人なり責任者は説明するということは私は当然だと思っております。
志位 総裁の責任、首相の責任を問うているんです。自民党の議員、たくさんいるでしょう、このなかに。閣僚だってこのなかに五名は入ってるでしょう。七人の副大臣が入ってるでしょう。閣僚のなかにだっているんですよ。これは、個人の政治家の問題ではすまないんです。もう一回ちゃんと答えてください。きちんとこれについて調査をする。この問題は、政府の答弁でも、その目的、趣旨、内容、状況、個々に判断してきちんと違法性について、きちんと吟味をする必要があるというのが、これまでの答弁にもたくさんでていますよ(与党席騒然)。ですからね、自ら調査したらどうですか。いかがですか、総理。(与党席騒然)
総務相 私もですね、志位委員のリストに名前が出てるようですが、これは私のところの政党支部に対する、政党活動に対する寄付でございましてね、これは適法に法律にもとづいて処理したわけであります。選挙のとき、選挙のときって言われますが、選挙のときが、政党支部の政治活動も一番盛んになるときなんですよ(場内笑い)。そういうときにですよ、そういうときに、一般的にそういうケースもある。しかしいずれも政治活動に対する寄付として、適法に出し、適法に処理したわけでございます。
志位 私は、一人一人名前をあげなかったのに、どんどんどんどん「私の」「私の」といって出てくるので(笑い)、それで言いますけれど、片山さんの場合ですね、私たちが調べただけで、合計九社ですよ。この九社は、九社全部が、九六年も献金ゼロ、九七年も献金ゼロ、九八年も献金ゼロ、九九年も献金ゼロ、二〇〇〇年も献金ゼロ、そして二〇〇一年の「選挙期間中」だけに全部の献金が集中しているんですよ(場内騒然)。ですから、これは、「選挙を動機に」とならざるをえないではないかということを問題にしてるんです。いくら政治活動だといってみたところで、選挙のために出したんだと、言われたって仕方がない。そうでないと言うんであれば、そうじゃない証拠をきちんと出す必要があるんですよ(場内騒然)。疑惑をかけられたら、疑惑をかけられた政治家が証拠を出す必要があるんです。(与党席からやじ)
総務相 何度もいいますが、政党支部に対する政治活動の寄付でございましてね、それはそれが違うというなら、どうぞ志位さんの方で証明してください。(笑い)
志位 いくら政党支部にいれられて政治資金として処理されたものであっても、実質的に選挙献金であったら違法になる可能性がある。そうじゃないと言うんだったら、この献金の意味を説明する義務があなたがたにある。このことを言っているのです(「そうだ」の声)、私たちは、この問題を引き続きやっていきます。
私たちは、企業献金の禁止、公共事業受注企業からの献金禁止、これを言ってまいりましたけれども、あなたがたはやろうとしない。現行法すら守ろうとしない。こういう利権と腐敗の構造が、浪費の構造をつくり、国民の暮らしを痛めつけている。この問題を徹底して追及するということを述べて、質問といたします。(大きな拍手)