2002年11月29日(金)「しんぶん赤旗」

イラク査察

安保理決議にそくして平和解決に力つくせ

CS番組で志位委員長が強調


朝日ニュースター「各党はいま」で佐々木芳隆朝日新聞編集委員(右)のインタビューにこたえる志位和夫委員長

 日本共産党の志位和夫委員長は二十八日放映のCSテレビ「朝日ニュースター」の「各党はいま」に出演し、国連などによるイラクでの大量破壊兵器の査察問題などについて、朝日新聞の佐々木芳隆編集委員のインタビューにこたえました。

 そのなかで志位氏はイラク問題をめぐり、国連安保理が全会一致で採択した決議一四四一について、「国連の枠組みの中での問題の平和解決の可能性に道を開いた大事な一歩だ。その可能性を現実のものにするたたかいが必要になっている」とのべました。

イラクは誠実に決議の順守を

 そのうえで、湾岸戦争の停戦条件を盛り込んだ一九九一年の安保理決議六八七で、イラクは大量破壊兵器の廃棄を国際社会に対して約束したが、「査察を妨害したり、あざむいたり、政治的な取引として使ったりするなどの問題もあった」と指摘。査察する側にも「米国がスパイという形で干渉行為をやり、イラクの妨害を意図的に引き出して、武力攻撃の口実に使おうとした」という問題点があったことをあげました。

 そして決議一四四一を「イラク側が誠実に順守して、無条件に査察を受け入れ、国際社会に真実をすべて明るみに出す。これに対するいかなる妨害も許されない」と強調。同時に、「査察する側がこれまであったような干渉行為をやると、道理が立たなくなる。UNMOVIC(国連監視検証査察委員会)のブリクス委員長は、『スパイがいたら排除する』と言っているが、中立・公正の立場が国連の側にも求められる」とのべました。

障害への対応権限は安保理に

 また志位氏は、査察のなかでさまざまな障害や克服すべき問題点が生まれた場合の国連の対応について問われ、「国連安保理のみが次なる措置を決める権限をもっており、安保理の場に戻されなければならないというのが決議一四四一の基本的精神だ。これはまず絶対に守られなければならない」「これを無視して米国が一方的な軍事行動をやったら、国連憲章にも安保理決議にも反する二重の国連じゅうりんになる」と警告しました。

 大量破壊兵器の問題が明るみに出た場合の国連の対応も、「軍事によらない解決を追求すべきだ。もともと大量破壊兵器については、交渉と公正な査察などの活動で問題解決を図るべきだ。どんな場合でも戦争という選択肢をとるべきではない」とのべました。

 さらに、イラク問題の背景は何かという質問に志位氏は、米国に「唯一の超大国として、自分たちに逆らうものは存在を許さず、その転覆を図っていくという覇権主義の動機」があることをあげました。

 同時に、米国がイスラエルのシャロン政権によるパレスチナへの横暴勝手を容認していることとの関係については、「イスラエル・パレスチナ問題をイラク問題とリンケージ(結合)させるという立場をとるものではない。同時に、米国がダブルスタンダード(二重基準)をとっていることが、中東諸国民の強い怒りを引き起こしていることも事実だ。イスラエルのいまの横暴を抑えることも必要だ」とのべました。

 志位氏はこのほか、イラク問題にかかわって、米国の先制攻撃戦略をどうみるのか、アフガニスタンへの対テロ報復戦争とイラク攻撃との共通点と違い、さらに日朝交渉にのぞむ日本側の基本的な心構えについて、質問に答えました。