2001年6月21日(木)「しんぶん赤旗」
二十日に国家基本政策委員会合同審査会でおこなわれた、日本共産党の志位和夫委員長と小泉純一郎首相との党首討論(大要)は次の通りです。
志位 私が聞いた待機者の問題については、一言もお答えになりませんでした。そして私たちは、全部税でやれとは言っていませんよ。保険と税を組み合わせて、低所得者も排除されないような制度をつくるべきだということを、私たちは提案しました。
それからいま総理が出された数字は、利用されている方の満足度の、しかも一部の数字だと思います。私は逆の数字を出しましょう。
日銀が調査を三月にやっております(グラフ右)。「介護保険の導入で老後の不安はどうなりましたか」――この問いにたいして、「不安なまま」という方、「不安が増した」という方、あわせて七九・二%ですよ。国民のみなさんはやっぱりこの問題、高すぎる保険料・利用料、サービスの不足、これはやはりみんな不安をもっている。
私は、なぜ待機者が急増しているのかを、真剣に考える必要があると思います。一つはやはり、特養(ホーム)の数が足らない。もう一つは在宅介護の利用料が重すぎるために、必要なサービスが利用できず、これまで在宅介護をやっていた方が困難になり、やむなく施設への入所を申し込んでいらっしゃる。こういう流れが強まっている。
今年二月におこなわれた「朝日」の調査でも、六二%の自治体が「自己負担を気にして在宅サービスの利用が抑制された」――こう答えていますよ。それから二〇〇〇年度の在宅介護サービスの利用は、政府の見通しを二割以上下回り、国民から集めたお金を三千億円も使い残してしまっている(グラフ左)。つまり利用料が重すぎるために、必要な在宅サービスが抑制されている。この時に、十月から保険料の満額徴収をやっていいものかどうか。真剣に考えるべきだと思うのです。
私たちは、三つの緊急の提案をおこないたいと思います。
第一は、やはり特養ホームの待機者を、きちんと政府として調べて、解消のための必要な計画を立てることです。
第二は、利用料・保険料の減免制度を政府として責任をもってしっかりつくる。
第三に、その二つをやるまでは、十月からのお年寄りの保険料の全額徴収は凍結する。この決断をすべきだと思いますが、この点、いかがでしょうか。
首相 先ほど、特別養護老人ホームの待機者が多くて、その整備が遅れているではないかというご指摘がありました。平成十三年度(二〇〇一年度)において、特別養護老人ホームについては、一万五千人。痴ほう性高齢者グループホームについては、六百カ所の整備を予定しております。いろいろな不備な点もあると思いますが、少しでも充実していこうという努力をしているわけです。
なおかつ、いまお話のなかで予算全部使っていないじゃないか、という話がありました。ここなんですよ。十分な要望にこたえられないと困るから十分な予算を組んだんです。これで初年度においては確かに、給付実績を予算としてみると、在宅サービスでは八割強、施設サービスでは九割強で、だいたい全体としては九割程度の実績ですから、この水準は、まったく新しい制度を導入した最初の一年間の数字としては、私はまずまずの数字ではないかと。今後さらにこの制度への理解とか認識が深まっていけば、利用は増大していくと思います。
そしていろいろな意見をきいて、お互いが給付の裏には負担があるんだ、それぞれの市町村が大変な努力をしていただいている。この給付を受けられるためにはある程度負担していこうという、本当の支え合う福祉制度というものの定着を図っていくならば、社会保障制度というのは本当に自分たちが支え合っていくもんだなという理解も深まっていくのではないかと、私は思います。
志位 いま特養ホームについて整備しているとおっしゃいましたが、二〇〇四年度までに政府の計画通りやったとしても、(五年間で)たった七万人しかベッド数が増えない。二十万人の待機者、どうやって解消するんですか。
それから予算を使い切っていないという問題について、これはもう当然だということを言いましたが、予算というのは、必要な介護だから予算を出しているわけでしょう。それを使い切れないというのは、利用料が重すぎる、このことを示しているではありませんか。
私は、介護保険をつくるときに政府が国の負担を二千五百億円も減らしたところに一番の問題がある、そういうやり方は本当にやめるべきだ、ここをただすべきだ、ということを最後に主張いたしまして、質問にいたします。