2013年2月10日(日)
日本共産党は9日、党本部で第6回中央委員会総会を開きました。会期は10日まで。初日は志位和夫委員長が幹部会報告をおこない、「自民党型政治」が崩壊的危機に陥っていることを明らかにするとともに、現在の情勢を綱領的確信のもとで大局的にとらえ、新しい政治への大変革の時代にのぞもうと訴え。先の総選挙の総括と教訓を解明し、5カ月後に迫った参院選に向けたたたかいの方向性、党躍進に向けた活動方針などを提起しました。報告はインターネットで全国中継され、多くの反響が寄せられました。
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報告に立った志位氏は第一に、現在の情勢を大局的にどうつかむかについて詳述しました。先の総選挙で自民・公明が3分の2を超える議席を獲得するなかで、政治の表層だけを見れば反動的逆流が猛威を振るっているように見えるが、日本社会の深部では「財界中心」「アメリカいいなり」という二つのゆがみを特徴とする「古い政治」の矛盾が蓄積し、崩壊的危機に陥っているとズバリ指摘しました。
このなかで志位氏は、「財界中心の政治」のゆがみが、長期にわたって国民の所得が減り続け、経済が停滞・後退する「成長しない国」をもたらしていると指摘。世界でも類を見ない、こうした「例外国家」に落ち込んだ根底には、「ルールなき資本主義」の国という問題があることを明らかにしました。
「アメリカいいなり政治」のゆがみが、世界のどの地域にもない米軍基地の植民地的実態に集中的にあらわれていると述べ、「沖縄という一つの県の総意をまるごとじゅうりんする国が民主主義の国といえるのかが問われています」と告発。その根源に「日米安保条約=日米軍事同盟を絶対不可侵とする体制」があることに言及し、日本が異常な「アメリカいいなり」という点でも今日の世界で文字通りの「例外国家」に落ち込んでいると指摘しました。
そして、安倍政権が「自民党型政治」の二つのゆがみがつくりだした危機への打開策を何一つ持ちあわせていない「致命的弱点」を抱えるもとで、日本が新しい政治への大変革が求められる時代に入り、支配勢力と国民との矛盾の解決を求めて、国民的規模での探求と模索が続くことを解明しました。
そのうえで志位氏が強調したのは、党綱領がさし示す民主的改革の方針が、現在の危機を前向きに打開する唯一の活路であり、情勢にどんなジグザグがあっても必ず国民多数の声となる「科学的生命力」を持つものだということです。綱領的確信を持ち、激動の情勢に働きかけ、危機打開の道と日本の針路を国民に語り、語り合おうと呼びかけました。
第二に、今夏の参院選に向かう国政の焦点と日本共産党の立場について述べました。志位氏は、総選挙で問われた政治課題はどれも決着がついておらず、いっそう切実になっていると指摘したうえで、参院選に向けて▽被災地復興▽経済危機打開▽社会保障拡充▽即時原発ゼロ▽TPP(環太平洋連携協定)参加阻止▽沖縄県民の総意にこたえる▽憲法を守り生かす▽子どもと教育の危機打開▽選挙制度・政党助成金改革―の九つを攻勢的に争点に押し上げることを訴え、たたかいの方向を提起しました。
このなかで志位氏は、被災地に対する募金とボランティア支援を引き続き強めることを呼びかけました。
社会保障をめぐっては「支配勢力の思想攻撃とのたたかい」が重要だと指摘し、高齢者と現役世代や公務員と民間労働者を対立させるように仕向けるわなを打ち破る必要性を強調しました。
また、憲法問題では、世界平和の先駆になるという第9条はアジアと世界への「国際公約」であると強調。改憲に反対し、憲法を守り生かす国民的大闘争を訴えました。
報告の第三に、東アジアの平和・安定・友好にかかわって北朝鮮問題、尖閣諸島問題、歴史を偽造する逆流―「三つの国際問題」で解決への道筋を具体的に提案しました。
報告の第四は、総選挙結果の総括と教訓についてです。志位氏は2010年9月の2中総以来の全党の努力と成果、問題点を明らかにし、5カ月後に迫った参院選勝利に不可欠な教訓を明らかにするという立場でおこなうと表明しました。政策宣伝活動と党の自力の問題について成果とともに、中央の活動の改善点、問題点を明らかにしました。
「国民に溶け込み結びつく力」こそが党のあらゆる活動を進める「力の根源」となり、この力を強めることと一体に、「国民の苦難軽減と安全のために献身する」活動、要求活動と党建設という「車の両輪」の活動を進める方向にこそ党活動発展の大道があると述べました。
そして、(1)党員の結びつきをどう党の結びつきに発展させるか(2)有権者の動向の変化にそくして、どう新しい結びつきを広げるか(3)「国民に溶け込み結びつく」ことと一体に、党勢拡大の独自の努力をはかる―という「三つの角度」から全国のすぐれた経験に学び、「国民に溶け込み結びつく力」を強めるための新たな挑戦をよびかけました。
また、選挙活動に関するいくつかの問題として、小選挙区全区擁立方針が持った積極的な意義、地方選に比べ国政選挙に力が入らない傾向を克服することについてのべました。
これを踏まえて報告では第五に、参院選と東京都議選躍進に向けた方針を提起しました。
来るべき参院選を「防波堤の党」「変革者の党」「国民共同をすすめる党」―日本共産党躍進の意義を端的に示し、本格的な反転攻勢の選挙とするために全力をあげようと訴えました。
参院選の政治目標として、比例代表で5議席絶対確保、比例躍進の波をつくるなかで選挙区勝利に挑戦する、得票は650万票に正面から挑戦する―ことを提起しました。
参院選勝利・躍進の条件として「二大政党づくり」が破たんし、政党間の力関係が固定的なものでなく流動的になり、自民党型政治対共産党の対決構図がこれまでにも増して鮮明になる「客観的条件」に加え、現に党が持つ国民との結びつきをすべて発揮するなら、はるかに大きな力を発揮できる「主体的条件」の存在を明らかにし、党がもっている力をくみ尽くせば、前進は可能だと述べました。
すべての支部・グループに対し六つの活動にただちにとりかかることを呼びかけ、参院選での勝利・躍進を勝ち取ろうと力いっぱい呼びかけました。
(1)政治の表層では逆流が激しいが、深部で古い政治の矛盾が蓄積
(2)「財界中心」――働く人の所得が減り続け、経済成長が止まった
(3)「アメリカいいなり」――この体制のもとではあらゆる問題が解決不可能に
(4)安倍政権の致命的弱点――「危機突破」を標榜しながら打開策なし
(5)新しい政治への大変革が求められる時代――綱領的確信をもってのぞもう
(1)被災地復興を文字通りの最優先課題に
(2)働く人の所得を増やし経済危機打開を
(3)社会保障大改悪の企てを許さず、拡充をはかる
(4)「即時原発ゼロ」を国民の多数派に
(5)TPP参加阻止、食料主権・経済主権の確立を
(6)沖縄県民の総意に、日本国民がどうこたえるか
(7)憲法を守り生かす国民的大闘争をよびかける
(8)子どもと教育の危機をどう打開するか
(9)小選挙区制・政党助成金の撤廃、民意が反映する制度への抜本改革を
(1)北朝鮮問題の解決のために
(2)尖閣問題解決のための三つの原則を提起する
(3)歴史を偽造する逆流をゆるさない
(1)選挙結果と総括の基本的立場――2中総決定にもとづく自己検討
(2)政策・宣伝活動について――積極的成果と今後の課題
(3)党の自力の問題――「国民に溶け込み結びつく力」について
(4)どうやって党の力の根源を強めるか――三つの角度からすぐれた経験に学ぶ
(5)選挙活動にかんするいくつかの問題について
(1)参議院選挙での日本共産党躍進の意義――本格的な反転攻勢の選挙に
(2)参議院選挙の政治目標、それを実現する可能性について
(3)参議院選挙躍進にむけた方針について――すべての支部・グループの同志に訴えます
(4)運動組織・団体との「協力・共同」のとりくみ
(5)都議選と中間地方選挙のたたかい
(6)党機関の指導と活動の改善、国政選挙を日常化するための新しい方針について