2013年1月5日(土)

参院選勝利へ“三つの国民的役割”発揮を

2013年党旗びらき 志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が4日、党本部で開いた「2013年党旗びらき」でおこなったあいさつは次の通りです。


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(写真)あいさつする志位和夫委員長=4日、党本部

 みなさん、2013年、明けましておめでとうございます。インターネット中継をご覧の全国のみなさんにも、新春にあたって心からのあいさつを送ります。

総選挙の結果について――自己検討をつぎのたたかいに生かす決意

後退は悔しい結果――中央として自己検討を深め、つぎのたたかいに生かす

 まず、昨年12月16日に投開票がおこなわれた総選挙で、日本共産党にご支持をお寄せいただいた有権者のみなさん、寒さのなか、ご支援をいただいた支持者、後援会員、党員のみなさんに、あらためて心からのお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

 日本共産党は、この総選挙を、「650万票、議席倍増」という目標を掲げてたたかいましたが、結果は、比例代表で369万票、9議席から8議席への後退となりました。「今度こそは躍進を」という思いで準備を重ね、たたかっただけに、たいへんに残念で悔しい結果であります。情勢が求める結果を出せなかったことに対して、私は、委員長として責任を痛感しております。

 2月2日、3日には、第6回中央委員会総会を予定しています。どうしたら本格的な前進に転じられるかについて、党内外の方々のご意見に耳を傾けつつ、自己検討を深め、半年後に迫った東京都議選、参議院選挙のたたかいに生かす決意であります。

全党と後援会員の奮闘によって、第一歩だが前進への足がかりをつかんだ

 議席を後退させたなかでも、全党と後援会のみなさんの奮闘によって、第一歩ではありますが、前進への足がかりをつかんだことは、重要だと考えます。

 私たちが、「出発点」と位置づけた2010年参議院選挙との比較では、わが党は、比例代表で得票を356万票から369万票に、得票率を6・10%から6・13%に、わずかですが前進させました。

 小選挙区で、「全区立候補」に挑戦し、470万票、7・89%を獲得したことも、積極的意義をもつものであり、このたたかいの先頭にたって日夜奮闘された全国の候補者のみなさんに、心からの敬意と感謝を表明するものです。(拍手)

東北ブロックの勝利から深い教訓を引き出し、全国のたたかいに生かしたい

 とりわけ、東北ブロックで、比例票を参院比例票の約1・2倍に増やして議席を守り抜いたことは、被災地復興の今後を考えても、きわめて重要な勝利であり、支援にとりくんだ全国のみなさんの喜びともなっています。この勝利は、何よりも、自ら被災しながら、被災者の苦しみに心を寄せ、一緒に運動にとりくみ政治を動かしてきた、被災地の党組織の奮闘が、住民の方々の信頼を得た結果であります。同時に、この勝利は、「国民の苦難の軽減のために献身する」という立党の精神にたち、国民に溶け込み結びつき、その利益のために奮闘するならば、全国どこでも前進が可能だということを示していると思います。そういう立場にたって、東北のたたかいから深い教訓を引き出し、全国のたたかいに生かしたいと考えています。

 大震災から、1年9カ月が経過しましたが、いまだに約32万人もの方々が苦しい避難生活を強いられています。わが党は、被災者の緊急の要求にもとづく施策を一つひとつすすめる努力をはかりつつ、「住まい」と「生業(なりわい)」の再建に必要な公的支援をおこなうことを、国の災害政策の基本原則にすえることを強く求めてたたかいます。すべての被災者の方々が「安心して住み続けられる故郷」を取り戻すまで、ともに力をつくして頑張り抜く決意を、年頭にあたって表明するものです。(拍手)

安倍自公政権をどうとらえ、どう立ち向かうか

 総選挙の結果、自民・公明両党が325議席を占め、第2次安倍政権がつくられました。安倍自公政権をどうとらえ、どう立ち向かうか。

国民は信任状を与えていない――この事実をきびしく自覚した行動を求める

 まず指摘したいのは、この政権は、衆院で3分の2を超える多数をもつにいたりましたが、国民的基盤をもっていないということであります。

 総選挙で自民党が獲得した得票は、有権者比では小選挙区で24%、比例代表で15%にすぎません。6割を超える議席は、小選挙区制というマジックがつくりだした「虚構の多数」にほかなりません。国民の民意と国会の議席がここまでかけ離れたことは、かつてありませんでした。

 数字の上でのかい離だけではありません。自民党の「大勝」は、自民党自身が認めているように、民主党政権の裏切りへの国民の激しい怒りが集中した結果であり、自民党の政策や、ましてや実績が評価された結果ではありません。民主党への激しい怒りの「風」が吹いたわけですが、自民党への期待の「風」が吹いたわけではないのであります。

 安倍首相は、選挙後、表面上は、「緊張感」、「謙虚さ」などを装いながら、早くも、暮らしと平和を押しつぶす暴走を開始しようとしています。しかし、国民は、自公に信任状を与えたわけでは決してありません。私は、安倍自公政権に、この事実をきびしく自覚した行動をとることを、まず強く求めるものであります。

国民が解決を望んでいる重要問題に何一つ解決策なし――経済でも、原発でも

 安倍政権は、国民的基盤をもっていないだけではありません。国民が解決を望んでいる重要問題に対して、この政権は、何一つ、まともな解決策を持ち合わせていません。

 たとえば、深刻なデフレ不況からどう抜け出すかは、国民が切望している大問題です。しかし、安倍政権は、日銀に「2%の物価上昇率目標」を設定させる無制限の金融緩和と、「国土強靭(きょうじん)化」と称して200兆円もの大型公共事業のバラマキをすすめるという、古い自民党政治のもとで失敗ずみの経済政策しか持ち合わせていません。そこには、デフレ不況から抜け出すうえで最大のカギとなる「国民の所得をいかに増やすか」という姿勢は、かけらも見られません。反対に、金融緩和と公共事業で見せかけの「経済成長」を演出し、消費税大増税を予定通り強行しよう。ここに、「アベノミクス」なるものの本当の狙いがあります。国民の暮らしも、経済も、財政も、どん底に突き落とす破局への道を絶対に許すわけにはいきません。

 原発問題をどう解決するか。安倍政権は、国民多数の「原発ゼロ」の声に逆らって、原発再稼働の推進を宣言し、新増設の推進を公言しています。しかし、この路線は、全国各地の原発の直下に活断層が存在する可能性がつぎつぎに明るみに出るなど、原発をめぐる現実とまったく相いれない、危険で無責任きわまるものであります。

 だいたい、2006年12月に、日本共産党の吉井英勝議員が、質問主意書で、「大規模地震で、送電鉄塔の倒壊などで外部電源が得られなくなり、内部電源も働かなくなったときに、原子炉はどうなっていくか。検討をおこなっているのか」とただしたのに対して、政府は何と答えたか。答弁書で、「ご指摘のような事態が生じないように安全の確保に万全を期しております」と答えたのであります。そして、この答弁をしたのは、当時の安倍首相当人だったのであります。安倍自公政権に、何をさておいても、いま求められているのは、こうした「安全神話」をふりまき、大事故を引き起こしたことへの深刻な反省、自己検証、そして国民とりわけ福島県民への謝罪ではないでしょうか(拍手)。原発事故を引き起こした「A級戦犯」が、そのことへの反省もなしに、再稼働や新増設を口にするなど、絶対に許されるものではありません。

憲法改定の野望と歴史問題――9条を守り生かす国民的運動の新たな発展の年に

 安倍政権が、憲法改定の野望を実行にうつそうとしていることは、きわめて重大です。

 まず、集団的自衛権の行使にむけた解釈改憲と、憲法96条が定めた憲法改定の発議要件の緩和をおこない、宿願の憲法9条改定にすすむ。これが彼らの改憲スケジュールですが、この道をすすむならば、平和を願う日本国民との激しい矛盾を引き起こすことはもとより、アジア諸国民の強い不信と批判をよびおこさざるをえないでしょう。

 憲法9条問題は、日本の国内問題にとどまるものではありません。この条項は、アジアと世界に甚大な被害をあたえた侵略戦争の反省を踏まえ、日本が二度と再び侵略国とならず、世界平和のための先駆的役割を果たすという「国際公約」であります。これを投げ捨てることは、日本の国際的信頼のはかりしれない失墜となるでしょう。

 さらに、安倍首相は、過去の侵略と植民地支配の誤りを認めた「村山談話」を見直し「安倍談話」なるものに置き換えること、日本軍「慰安婦」問題について軍の関与と強制を認めた「河野談話」を見直すことを公言しています。過去の侵略戦争と植民地支配を美化しようという野望が万が一にも具体化されるならば、日本はアジアと世界で生きていく政治的・道義的地位を失うことになるということを、私は厳しく警告しなければなりません。

 私は、年頭にあたって心からよびかけます。今年を、憲法改悪のあらゆる企てに厳しく反対し、憲法9条を守り生かす国民的運動の新たな発展の年にしていこうではありませんか(拍手)。「9条の会」をはじめとする草の根の運動を大いに発展させる一翼をになって、日本共産党は奮闘するものであります。

日本共産党が果たすべき三つの国民的役割――意気高く新たなたたかいを

 安倍自公政権の「復活」と総選挙後の新しい政治情勢のもとで、わが党が果たすべき役割は、きわめて重大です。

 私は、日本共産党が、つぎの三つの国民的役割を発揮し、新しい年に、新しいたたかいをおこす決意を表明するものです。

暮らし・平和・民主主義を破壊する逆流に立ちはだかる「防波堤の党」として

 第一は、暮らし・平和・民主主義を破壊する逆流に正面から立ちはだかる「防波堤の党」としての役割を果たすことです。

 新しい国会における政党配置を見ると、日本共産党が特別の役割をになっていることは、一目瞭然となります。

 まず消費税をめぐっては、自公民3党は、「3党合意」を結び、大増税と社会保障改悪を共同ですすめようとしており、この3党を中心に、「増税連合」が国会内では多数を占める状況があります。他方、憲法をめぐっては、自公に加えて、「維新の会」とみんなの党が、憲法改定に賛成との立場をとり、「改憲連合」が衆議院の3分の2を占める危険な情勢が生まれています。安倍自公政権を中心に、一方で「増税連合」がつくられ、他方で、それと重なり合う形で「改憲連合」がつくられつつあります。

 そういう政党配置のもとで、多数の国民の声を代弁して、安倍自公政権と「増税連合」「改憲連合」に正面から対決する野党としての仕事をしっかり果たすことのできる政党は、日本共産党をおいてほかにありません。

 総選挙後、日本共産党のこの役割に注目し、政治的立場の違いを超えて、「ここは共産党に頑張ってもらわないと」という新たな期待が寄せられる状況があります。

 ある保守の有力政治家は、つぎのような声を寄せてくれました。

 「国防軍といったり、『日の丸』部隊が応援団の安倍政権に、共産党は正面からたたかってほしい。正面からたたかいを挑める政党は共産党しかいないでしょう。共産党が正面からたたかってくれることで、背筋がしゃんとする政治家がいる」

 別の、ある保守政党で有力な役割を果たしてきた政治家は、つぎのような期待の声を寄せてくれました。

 「私は、共産党の考え方を全部支持するわけではありません。しかし、今日の政治が、米国従属、財界中心の政治という指摘はよく分かります。現在、政治が右へ右へとなびくような事態について憂えています。このような時に、共産党の存在自体が右傾化の動きに対する歯止め・ブレーキ役になっていると思います。ぜひ頑張ってください」

 わが党の「存在自体」がもつ重みについて、こうした期待が寄せられています。

 かつて、戦前、激しい弾圧に抗して、反戦平和と国民主権の旗を不屈に掲げ続けた日本共産党の役割について、「すべての陣営が大勢に順応するなかで、日本共産党だけは、動かぬ一点を守り続けてきた。それは北斗七星のように自分がどれほど時流に流されたかを計る尺度として、日本の知識人によって用いられてきた」と評されたことがあります。

 もちろん、戦前とはまったく条件は異なりますが、逆流がこれだけ表面に出るもとで、日本共産党の「北斗七星」としての輝きが、大いにその輝きをます時代となっていると思います。そのことに大いに自信と誇りをもって、奮闘しようではありませんか。(拍手)

新しい政治を求める国民の模索と探求にこたえる「変革者の党」として

 第二は、新しい政治を求める国民の模索と探求にこたえる「変革者の党」としての役割を果たすことであります。

 今回の総選挙にむけて、日本共産党は、一連の政策提言――「経済提言」、「外交ビジョン」、「即時原発ゼロの提言」、「尖閣問題の提言」、「いじめ問題解決の提案」、「震災・災害政策の転換の提案」などを提起するとともに、それらを集大成し発展させた総選挙政策を掲げてたたかいました。

 これは、2010年の参議院選挙を総括した2中総決定の教訓――国民の「探求にこたえ」「展望をしめす」という点で、わが党の政策活動に大きな弱点があったという痛苦の教訓をふまえた努力であり、積極的な意義をもつものであると確信するものです。

 この選挙戦をともにたたかった全国の党組織や候補者からの感想を見ても、共通して、「確信をもって訴えることができた」、「訴えが有権者に届けば支持が広がった」などの声が寄せられていることは、うれしいことです。

 わが党の一連の政策提言は、参議院選挙にむけても、今後の情勢の進展におうじて発展させつつも、その基本点はそのまま使っていける内容となっています。総選挙でおこなった日本共産党の主要な訴えもパンフレット(『2012年総選挙 日本共産党の訴え』)にまとめましたが、これも今後のたたかいに生かすことができるものだと考えます。全党の英知を集めて築いた政治的・政策的到達点を、引き続くたたかいに活用していただくことを、訴えるものであります。

 同時に、進路を模索し、迷っている有権者の気持ちにかみあって、わが党の改革ビジョンを伝えるという点では、党中央がおこなった政策・宣伝活動には、まだまだ改善しなければならない問題があるということを、選挙戦を振り返って痛感しています。

 たとえば、「財界中心の政治のゆがみをただす」という場合、日本共産党の立場は、大企業をつぶそうなどと考えているわけでも、大企業の経営がどうなっても知らないという姿勢でも、もちろんありません。大企業にその力相応の社会的責任と負担を果たしてもらう、そのために政治の責任で大企業の横暴を抑える「ルールある経済社会」をつくる、そうしてこそ、働く人の暮らしがよくなるだけでなく、日本の経済と産業の未来が開かれ、企業の経営にとってもまともな発展の道が開かれる、これが日本共産党の経済改革の方針です。そのことを、「まず企業が繁栄してこそ労働者の生活も成り立つ」と考えている広範な労働者・サラリーマンにも、誤解の余地なく、説得的に伝えていくうえで、私たちの政策・宣伝活動はいっそうの改善・発展が必要だと思います。

 この点では、有権者の反応などを踏まえて、選挙中も改善の努力をおこないました。たとえば、大企業の横暴を批判するさいにも、大企業が「業績悪化」を理由に、ごく目先の利益をあげることだけを最優先してリストラ競争をおこなえば、個々の企業には利益になるように見えても、社会全体の需要をいよいよ冷え込ませ、大企業の経営もいよいよ立ち行かなくなる自縄自縛におちいる、だからこそ「ルールある経済社会」をつくるうえで政治が役割を発揮する必要がある、という訴えへと改善をはかりました。しかし、こうした努力は、本来、日常的・系統的にとりくまれるべきものであります。進路を模索している国民の気持ちに寄り添い、かみあって、改革のビジョンを日常的に語り、国民と語り合う力を、党中央としてもっとつけなければならないと考えています。

 そうした努力も含め、大激動の情勢のもとで進路を探求する国民に、明るい前途を照らし出す「変革者の党」としての役割を発揮するために、さらに知恵と力をつくす決意を表明するものであります。

各分野の国民運動をさらに発展させる「国民共同をすすめる党」として

 第三は、各分野の国民運動をさらに発展させる「国民共同をすすめる党」としての役割を果たすことです。

 今回の総選挙は、各分野の国民運動の歴史的高揚のなかでたたかわれました。いま、強調したいのは、どの分野でもたたかいの決着はついていない、たたかいの決着をつけるのはこれからだということであります。

 国民運動の力は、選挙戦のなかでも相手側への大きな圧力となって働きました。

 たとえば、消費税増税問題について、これを推進した自公民3党は、それを選挙戦のなかで一切語らず、「増税隠し」に終始しました。自民党の安倍総裁は、選挙中の民放テレビの党首討論会で、増税の是非を問われ、「○」の札も「×」の札もあげないという態度をとり、出席者の失笑をかいました。そこまでして隠したのです。

 TPP(環太平洋連携協定)問題についても、自民党は、「『聖域なき関税撤廃』を前提とする限り反対」を公約とし、安倍総裁もNHKの党首インタビューでTPPへの態度を問われ、「△」と書きました。160人を超える自民党候補者が「TPP反対」を掲げて当選しました。

 米軍普天間基地問題についても、自民党は公約で「県内移設」の明示を避け、沖縄の自民党候補者は「県外移設」を掲げて当選しました。

 このように自民党の「圧勝」は、個々の政策課題をとっても、「争点隠し」に終始した結果であり、国民はどの問題についても、自民党に信任状を渡してはいないのであります。安倍政権は、総選挙が終わると、手のひらを返したように、これらの課題をすすめようとしていますが、それは、たちまち国民との矛盾を広げ、新たな怒りをよびおこし、国民運動のいっそうの発展をよびおこさざるをえないでしょう。

 国民運動との共同という点では、この間の活動で、私たちはさまざまな教訓を得ていると思います。ここでは、2点ほど強調しておきたいと思います。

 一つは、各分野の運動と日常的に息長く交流・共同していくことの重要性であります。たとえば、JA・農協との関係では、TPP反対のたたかいを共同してすすめるなかで、今回の選挙戦でわが党を公然と支持していただいたところも生まれました。ポスター掲示やビラ配布などさまざまな協力をしていただいたところも生まれました。一方、自民党支持というところもあります。地域によってさまざまです。これまで長い間、保守の立場にあった組織ですから、こういう組織と共同していく仕事には、いろいろなプロセスも必要でしょうし、時間もかかることだと思います。そういう立場で、中央も、地方も、日常的に息長く交流・共同を続けていくことの重要性を強調したいと思います。

 いま一つは、それぞれの国民運動の掲げる切実な要求を支持し、その実現のために誠実に力をつくすという態度を堅持することであります。たとえば、原発ゼロの運動との関係でも、私たちは、それに参加するさい、「特定の団体の宣伝はしない」、「一致点を大切にし共同を広げる」という「ルール」を、厳格に守って行動してきました。そのことが結果として、少なくない人々のわが党への信頼を広げることにつながっていることも、私は重要な教訓だと考えます。

 みなさん。新しい情勢のもとで、各分野での「一点共闘」をさらに発展させ、日本の政治を変える統一戦線をつくりあげるために、「国民共同をすすめる党」としての役割を大いに発揮して意気高く奮闘しようではありませんか。(拍手)

参院選勝利へ――「国民に溶け込み結びつく力」を豊かに発展させる探求と努力を

党の自力の問題を、「国民に溶け込み結びつく力」という根本から自己検討を

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(写真)2013年党旗びらき。あいさつするのは志位和夫委員長=4日、党本部

 総選挙の結果をうけての常任幹部会声明で、私たちはつぎのようにのべました。

 「古い自民党政治が崩壊的危機にあるにもかかわらず、また、党員と支部、後援会のみなさんの燃えるような奮闘があったにもかかわらず、この選挙でそれを議席の前進に結びつけることができませんでした。私たちは、その最大の理由が、党の自力の問題にあることを、選挙戦の全体を通じて痛感してきました。党の力の根源は、何よりも、さまざまな困難に直面しその解決を求める各層の広範な国民に溶け込み結びつく力にこそあります。日本共産党が持つ『草の根の力』は、他党と対比するならば、抜群のものがあります。しかし、それも、いま情勢が求めているものに比べればまだまだ小さいし、これまでより弱まっている面も少なくないのです。……どこをどう改善すれば強く大きな党をつくれるかについて、中央自身も、苦労して奮闘しておられる現場のみなさんの実態をふまえた方策を探求し、開拓と努力をはかる決意です」

 常任幹部会声明が、党の自力の問題を、「国民に溶け込み結びつく力」という根本から提起したことに、新鮮な注目が寄せられています。全国各地から、ここに注目して、いま私たちのもとに、党活動改善のさまざまな積極的提案が寄せられていることは、たいへんにうれしいことであります。

 この問題での現状分析と方針提起は、6中総の課題となりますが、「国民に溶け込み結びつく力」を、広い視野で豊かにとらえ、総合的に発展させるうえで、何が大切か。私は、ここで、総選挙のなかで生まれている教訓も踏まえて、いくつかの角度から私たちの活動に自己検討をくわえてみたいと思います。そして、全党のみなさんの探求と実践をよびかけたいと思います。

一人ひとりの党員がもっている結びつきを、どうやって党の結びつきに発展させるか

 第一の角度は、一人ひとりの党員が現にもっている結びつきを、どうやって党の結びつきに発展させるかということであります。

 参院選から教訓を引き出した2中総決定では、「一人ひとりの党員は、家族や親せき、知人や友人、要求実現の活動、世話役活動、大衆組織や各種サークル、市民運動、自治会や老人会、同窓会など、さまざまな形で、多面的な結びつきを持っています。対話と支持拡大の活動を、それらすべてに光をあて、生かしたとりくみに改善・刷新していくことが必要です」ということを強調しました。この点で私たちの活動がどうだったか。

 山梨県甲府市のある地域支部から、つぎのような報告が寄せられました。

 「昨年の『大運動』で入党したAさんは、毎週ヘラブナ釣りに出かけ、釣り仲間とは固い結びつきがありました。Aさんは、月1回の支部会議で何度か、『支持依頼で訴えたい人がいるが、気まずくなるのではないかと心配だ』という話をしていました。そこで市議会議員の石原つよし同志が、『市議の石原さんから頼まれているので協力してほしい』と言ってみたらどうかと助言しました。その助言にこたえて、Aさんが釣り仲間に訴えてみたら、思いのほか、どんどん支持が広がりました。この結果に勇気を得たAさんは、釣り仲間以外の自分のつながりにも訴えを始めました。全部で33人の支持を広げることができました」

 こういう報告であります。ここからは、たくさんの教訓が読み取れると思います。まずAさんがヘラブナ釣りをつうじて、固い結びつきをもっていたということです。つぎは、Aさんが、最初は、「市議会議員から頼まれたから」という形で、次には自ら堂々と自分は日本共産党員だと名乗って、ヘラブナ釣りの結びつきを党の結びつきに発展させるために、勇気をもって党員としての「踏み切り」をおこなったということであり、党組織や地方議員がそれを温かく援助しているということであります。

 こうした活動をすすめるためには、わが党の活動にこうした趣味の活動も含めた党員の多面的な活動を大切にし、それを保障するための「余裕」が必要となってくるでしょう。同時に、一人ひとりの党員の「踏み切り」――成長を保障するための支部会議の開催や学習などのとりくみも不可欠になってくるでしょう。とくに、すべての党員が「しんぶん赤旗」日刊紙を読む気風をつくりあげることは、きわめて重要であると思います。

 本腰を入れて、そうした活動の改善・強化をはかり、一人ひとりの党員がもっている結びつきを、党の結びつきに発展させ、党への信頼と共感に発展させることができれば、幾百万という人々に日本共産党の声を届け、支持を広げることは可能であります。

 わが党がもっているすべての潜在的な力に光をあて、それを生かした党活動、その可能性をくみつくした選挙戦に、新たな意気込みで挑戦しようではありませんか。

有権者の動向の変化にそくして、どうやって新しい結びつきを広げるか

 第二の角度は、有権者の動向の変化にそくして、どうやって新しい結びつきを広げるかということであります。

 各地からの報告で、「電話がつながる有権者が減っている」、「ビラも声も入りにくいマンションが増えている」、「職場で労働者がバラバラにされ、話もできない」など、有権者と結びつくうえで客観的困難が生まれているという声が寄せられています。

 同時に、その一方で、とくに大震災以降、「孤独死を生まない支え合いの地域づくりを」、「被災地や福島の子どもたちの応援を」、「原発のない安心して暮らせる社会を」など、社会的連帯を求める新しい動きが起こっており、その媒体としてインターネットが大きな威力を発揮していることも報告されています。

 新たな困難をリアルに直視しそれに対応した活動の発展をはかるとともに、新たな可能性に注目して、国民との新しい結びつきを広げる創造的なとりくみに、大いに挑戦したいと思います。

 その萌芽となる経験は、全国からたくさん報告されています。

 「原発ゼロ」「放射能から子どもたちを守りたい」などの要求にこたえ、地域での結びつきや、ツイッターやフェイスブックなどを活用した新しい結びつきなど、これまで党と接点がなかった人々と共同の輪を広げながら運動をすすめ、党への信頼と支持を広げている経験が、全国各地で生まれています。

 連合指導部による民主党一党支持への怒りが広がるもとで、大企業の横暴なリストラ問題をとりあげた日本共産党の宣伝物、職場新聞が、吸い込まれるように労働者に受け取られ、職場で話題となり、職場支部に労働者の深刻な悩みや苦しみが寄せられるようになり、党の支持を広げた経験が各地に生まれています。

 滋賀県のある青年支部では、学習を重ねるなかで、誰に対話をするかが議論になりました。でも自分が共産党を応援していることを直接語ることは想像ができない。そんな議論のなかでメールで応援をよびかけることになりました。300人の青年にメールを送り、その半数近くから返信が寄せられ、温かい応援の声がたくさん寄せられたという経験も報告されています。

 有権者の動向の変化にそくして、どうやって新しい結びつきを広げるか。とりわけ、労働者と若い世代のなかに、どうやって新しい結びつきを広げるか。全国の先駆的な経験に学んで、新鮮で創造的なとりくみを開拓していきたいと決意しています。

「国民に溶け込み結びつく」ことと一体に、党勢拡大の独自の努力を

 第三の角度として、党と国民との結びつきといった場合に、党員を増やすことはその根幹となりますし、「しんぶん赤旗」を中心とした活動、後援会活動の強化などが、その土台となることはいうまでもありません。

 この仕事にとりくむさいにも、広い視野で「国民に溶け込み結びつく力」をつくることと一体に、党勢拡大の独自の努力をはかるという姿勢が重要になると思います。

 また同時に、一人ひとりの党員、一人ひとりの読者を増やすことを、新しい結びつきを広げていくという角度からも、きわめて重要な仕事と位置づけて、それを生きた力にしていくという姿勢も大切になってくると思います。

 この間の3回の国政選挙――2009年総選挙、2010年参院選挙、2012年総選挙で連続して比例代表の得票と得票率を増やした自治体は、全国に17あります。そのうち最も多く得票を増やしたのは和歌山県西牟婁(にしむろ)郡白浜町で、今回1187票、10・17%を獲得しています。その最大の教訓として報告されているのは、「集い」を活動の軸にすえ、後援会員の拡大・後援会ニュースの定期発行と届けを系統的におこなうなど、有権者と日常的・系統的に結びつく努力に一貫して力を注いでいるということであります。選挙直前の対話だけでは、その支持は弱いものになる。やはり日常的に結びつく努力をおこなってこそ、かたい支持を広げることができる。こうした努力と一体に、白浜町では、この1年間で25人の党員を迎え、「しんぶん赤旗」読者拡大でも、前回選挙比で日刊紙106%、日曜版104%と増やして選挙をたたかっています。このとりくみは、「溶け込み結びつく力」をつけながら、それと一体に党勢を拡大し、それを力にさらに結びつきを広げるという、いわば“好循環”をつくりだしている法則的な活動として、たいへん豊かな教訓に満ちていると思います。

 「しんぶん赤旗」の活動の発展を展望するときも、「溶け込み結びつく」ことと一体に読者を増やし、いったん読者になってもらったら相手の関心や願いによく耳を傾けてさらに結びつきを強め、紙面の魅力とあいまって、「減らさず、前進をはかる」というとりくみに、新たな意気込みで挑戦したいと思います。

 一つ数字を紹介いたします。昨年1年間で、全党の努力によって拡大した読者は、日刊紙と日曜版をあわせますと約32万人にのぼります。たいへんなエネルギーをここに注ぎこみ、これだけの数の読者を増やしているわけです。しかし同時期に、約35万人の読者を減らして、差し引きでは3万人の読者減となりました。かりに減らした読者を半分にすることができれば、拡大数が同じでも、年間約14万人の読者増になるということになります。

 白浜町の党組織に、読者で前回比を超えてたたかうことができた最大の要因は何ですかとうかがいますと、「読者とよく結びつき、減紙率が少ないことにあった」という答えが返ってきました。こうした活動に、全党が挑戦しようではありませんか。

 参議院選挙の勝利にむけて、国民に「溶け込み結びつく力」を強めることと一体に、すべての支部が新しい同志を迎え、すべての都道府県、地区委員会、支部が、毎月着実に読者を増やす党へと前進することを、心から訴えるものであります。

自己検討を深め、実践に踏み出しつつ、みんなで新鮮な方針をつくりあげよう

 三つの角度から探求と実践をよびかけました。

 6中総にむけて、中央も地方も、こうした諸点もヒントにしながら自己検討を深め、新たな実践に足を踏み出しつつ、みんなで国民に根を張った不抜の党をつくりあげるための新鮮な方針をつくりあげようではありませんか。積極的な提案と経験を中央にぜひお寄せいただくことを、心からお願いするものであります。

東京都議選、参議院選挙の前進・躍進をめざして、ただちに足を踏み出そう

 同時に、東京都議選と参議院選挙は、期日の決まったたたかいです。国民に根をはった党づくりへの本格的努力を開始しながら、前進・躍進をめざして、新春からただちに足を踏み出そうではありませんか。

 約360万人の後援会員、約130万人の読者、総選挙で支持を訴えたすべての方々に、新年のごあいさつをおこない、次の選挙での協力依頼をおこない、条件におうじて入党や購読のよびかけを大胆におこなおうではありませんか。新春からのダッシュで今度こそ前進に転じようではありませんか。(拍手)

新しい政治を求める新しい時代――それを担う強く大きな党をつくろう

 みなさん。現状を、大局的な視野で見れば、60年間続いた「アメリカいいなり」「財界中心」という古い自民党型政治がいよいよ行き詰まり、日本が新しい政治を求める新しい時代に入ったことは間違いありません。

 2006年から2012年までのわずか6年間に、自民党で3人、民主党で3人、合計6人も総理大臣が代わりました。こんな国は世界の主要国で日本だけであります。かつては「18人の総理と対決」というと重みがあったものですが、いまはだいぶ軽くなってしまっています。毎年、首相を「使い捨て」にしなければやっていけないところまで、古い支配体制は行き詰まっているのであります。

 そればかりか、政党の「使い捨て」までが横行しているではありませんか。日本共産党封じ込めのための「二大政党づくり」のために、財界が直接関与してつくられた「民主党」は、早くも「使い捨て」られようとしています。今回の総選挙では、たった5日間で沈んだ「太陽」もあれば、たった1カ月で「未来」を失い「使い捨て」られた政党もあらわれました。行き詰まりを打開する方策を何一つもたず、目先の担い手を取り換え、「使い捨て」ることだけに頼って、延命をはかろうという勢力に、これ以上日本のかじ取りをまかせるわけにはいきません。(拍手)

 どんなに古い政治が行き詰まっても、それは自動的に崩壊し、変わるわけではありません。新しい政治を求める国民の探求が、さまざまな政治的体験を経ながら前進し、成熟してこそ、新しい政治の扉は開かれます。そのためには、日本共産党が「防波堤の党」「変革者の党」「国民共同をすすめる党」として意気高く奮闘し、国民に溶け込み結びついた強大な党へと成長することが不可欠であります。

 来るべき東京都議選、参議院選挙の前進・躍進をめざして、ただちにこの仕事にとりかかることを心からよびかけて、年頭にあたってのあいさつといたします。今年も頑張りましょう。(大きな拍手)