2012年12月13日(木)
日本共産党の志位和夫委員長は11日深夜放映の日本テレビ系「NEWS・ZERO」の10党党首討論に出席し、消費税問題や経済対策などについて発言しました。詳報はつぎのとおりです。
番組では、キャスターの村尾信尚氏が「限られた時間なので、有権者の関心が高かった景気、雇用の視点から議論していきたい」とのべ、消費税増税について、「景気が悪くなってしまうではないか」との意見について、民主・自民・公明にただしました。これに対し、野田佳彦首相は「経済を好転させることによって、必ず実現させなければならない」と回答。自民党の安倍晋三総裁は「基本的には再来年の4月から上げていく」「(上げるタイミングは)経済の状況を見て、秋に判断する」とのべ、公明党の山口那津男代表は「3党合意は政党としてやりぬいていく責任がある」とのべました。
これに対して、志位氏はつぎのように批判しました。
志位 この大不況の下で、大増税をかぶせましたら、日本の経済の底が抜けてしまって、経済が悪くなると結局税収も落ち込んでしまう。ですから私たちは絶対に反対です。
私たちは、税というのであれば、たとえば富裕層に減税をばらまいてきた。その結果、所得税の負担率、所得1億円を超えると逆に下がるんですね。それから大企業優遇税制をずっとやってきた。その結果、法人税の実質負担率、大企業が19%に対して中小企業が26%と、大企業の方が低くなってる。この二つの不公平税制に、まずはしっかりメスを入れる。
そして、経済全体を国民の所得を増やして成長させていく。成長させていくなかで自然の税収をあげていく。こういうプランで、大体10年後に40兆ぐらいのお金を新たにつくって、それで社会保障をよくし、財政再建を図ろうというプランを出しています。
各党は増税賛成の国民新党や新党改革のほかにも、「消費税上げる前にやるべきことがある」(未来の党・嘉田由紀子代表)、「消費税は全額地方の財源にすればいい」(みんなの党・渡辺喜美代表)、「増税についてはしっかり議論して上げるときは上げる」(新党大地・鈴木宗男代表)などと、いずれ増税という立場を表明し、違いがくっきりとなりました。
消費税増税のためにも景気対策をと主張する安倍氏が、金融緩和、公共投資、成長分野への投資を主張したのに対し、村尾氏は「安倍氏のいう方法でよくなるか」と問いかけ、志位氏がつぎのように答えました。
志位 今のデフレ不況というのは、どうしてすすんでいるかというと、まず働く人の賃金が下がっている。そのことによってモノが売れなくなる。そのことによって企業の業績が悪化する。そしてますます賃金が下がってくる。この悪循環だと思うんですね。
この悪循環をどこで断ち切って好循環にしていくか。やっぱり決め手は賃金だと思うんですよ。1997年をピークにして、賃金は平均して1世帯あたり102万円減っているわけです。ですから賃金を上げていく政策をとる必要がある。
たとえばこれまでとってきた労働法制の規制緩和、これを抜本的に切り替えて、非正規で働いている方を正社員にするルール(をつくる)、あるいは最低賃金、これは中小企業にきちんと手当てをとる必要がありますけれど、(それを)とりながら、抜本的に引き上げる。
それから中小企業に対する単価を適正なものにする。こういう国民の所得を増やす改革が必要です。
志位氏の提起に対し、安倍氏は「大胆な金融緩和が必要」と繰り返すだけ。公明党の山口那津男代表は金融緩和と同時に、「10年間で100兆円規模」の公共事業を提起しました。これにたいして、キャスターの村尾氏は「ヨーロッパはギリシャはじめユーロ危機で大変なことになっている。それだけ大盤振る舞いして、財政再建は大丈夫か」と問い、志位氏が次のように指摘しました。
志位 (自公は)10年間で100兆とか200兆とかいうけど、かつてやったじゃないですか。(10年間で)430兆、630兆(の「公共投資基本計画」)と、「総額先にありき」というやり方で、公共事業をダーっとやった。それで巨大開発が日本列島にあふれました。結局、「景気対策」にはならずに、そして残ったのは借金だけだったと、こういう経験をしているわけですよ。それを繰り返すのか。
最後に、各党30秒で「これだけは訴えたいこと」を発言。志位氏は、次のようにのべました。
志位 私たちは今度の選挙で、これまでの政治の二つのゆがみを正そうということを訴えております。
国民のみなさんがあれだけ反対したのに、消費税増税を進める、あるいは原発再稼働を進める。この根っこには、財界中心の政治のゆがみがある。
そして、沖縄が島ぐるみで反対しているオスプレイ配備を強行する。TPP(環太平洋連携協定)を強行する。この根っこには、アメリカいいなりという政治のゆがみがある。
60年間つづいたこの自民党型政治ですね、これから脱却して、新しい日本をつくろうということを訴えていきたいと思っております。