2012年11月2日(金)
日本共産党の志位和夫委員長は1日の衆院本会議で代表質問に立ちました。復興予算の流用問題や13万人に及ぶ電機リストラなど国民の暮らしと雇用にかかわる焦眉の課題で対策を求めるとともに、消費税大増税から原発、尖閣諸島問題、アメリカいいなり政治まで国政の重大な課題について解決の道を示す提言を示し、野田佳彦首相に見解を求めました。首相は開き直りの答弁に終始し、「民主党政権が政治的崩壊状態にある」(志位氏の質問後の記者会見)ことを示しました。 (代表質問)
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消費税大増税と日本経済をめぐり志位氏は、2011年の民間平均給与がピークの1997年から年間58万円も落ち込み、内需が冷え込む「デフレ不況」の悪循環が進行するなか、税率引き上げで国内消費がさらに縮小すると9割の企業が答えている調査実態を突き付け、「大不況のさなかの大増税は論外」と強調。その上で、「消費税に頼らない別の道」を示した党の「経済提言」を示し首相の見解を問いました。
首相は、デフレ脱却策は具体的に示さず、消費税引き上げだけは固執する姿勢を見せました。
原発問題では、福島原発事故の被害拡大や処理方法のない「核のゴミ」が増え続けることなど必要性をあげて「即時原発ゼロ」の実現を迫る党の「提言」を紹介した志位氏と、それに背を向ける首相の対照的な姿勢が浮き彫りになりました。志位氏が大飯原発(福井県)の再稼働をめぐり「電力不足になる」という政府の脅しが破綻したことなどを示し、「即時原発ゼロ」の政治決断を迫ったのに対し、首相は「現実的には十分な時間が必要ではないかと考える」と原発推進に固執する態度を際立たせました。
尖閣問題で志位氏は、「領土問題は存在しない」と繰り返して自縄自縛に陥っている「外交不在」から、冷静で理性的な外交交渉で日本の領有の正当性を堂々と主張する「外交攻勢」に転じることを要求。日清戦争に始まる「50年戦争」が侵略戦争であったと認識しているかを問いました。
首相は、“思考停止”のまま領土問題を認めることは「わが国の立場と相いれない」と答弁。日清戦争への認識も答えませんでした。
重大な答弁が出たのはオスプレイ問題。志位氏が「日米合意」さえ守らず傍若無人に飛行するオスプレイの実態を示し、「米軍の横暴勝手を野放しにするつもりか」と迫ったのに対し、首相は「米軍は日米合意を順守し、安全性に最大限配慮している」と答弁しました。
志位氏は、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加を断念することを強く要求。米軍基地の全面撤去を求めるとともに、安保条約を廃棄し日米友好条約にかえるなどアメリカいいなり政治からの脱却の道を示しました。
志位和夫委員長は、東日本大震災の復興予算が被災地とはまったく関係ない大企業の立地補助金などに流用される一方、中小企業への「グループ補助金」の申請では6割がふるい落とされるなど「あまりに理不尽だと考えないか」と迫りました。
志位氏は、その大本に民自公3党が談合して復興基本法案から「被災地域」という限定を外し、「活力ある日本の再生」を目的に追加したことがあると指摘。「第一の責任は政府にあるが、一体になって進めた自公にも反省が求められる」と述べました。
首相は、立地補助金は「日本全体のサプライチェーン(供給網)の維持・強化のため」と大企業支援への流用を正当化しました。
志位氏は、電機・情報産業の大企業が13万人もの首切り・リストラを強行しようとしている問題で、面談11回にのぼる違法な退職強要(NEC)、ある日突然、正当な理由も示さず解雇を通告し、そのまま労働者を職場から締め出す「ロックアウト解雇」(日本IBM)などの無法なやり方を生々しく告発。違法・非道な解雇は許されないと強調しました。
首相は無法をただす姿勢はいっさいみせず、「関係法令や裁判例に基づく啓発指導などを実施している」と述べるにとどまりました。