2012年11月26日(月)

デフレ不況からどう抜け出すか

カギは働く人の所得を増やし、内需を活発にすること

志位委員長の提案


 日本共産党の志位和夫委員長が24日、さいたま市の街頭演説でおこなったデフレ不況から抜け出す提案は以下の通りです。


写真

(写真)訴える志位和夫委員長=24日、さいたま市大宮駅西

 デフレ不況からどう抜け出すかということが、総選挙の重要な争点になってまいりました。この問題について、日本共産党はどうとらえているのか、どうやって解決していったらいいのかについて、お話しさせていただきたいと思います。

デフレ不況の問題――内需と家計消費を応援するどころか、壊してきた「逆立ち」政治

 いまデフレ不況は、働く人の所得が減り、消費が落ち込み、内需が冷え込むという、たいへん深刻な悪循環に陥っています。何が間違ったのでしょうか。

 どんな国であっても、経済を発展させようとすれば、内需――国内の需要を活発にすることが基本中の基本なんです。2008年の「リーマン・ショック」の後の対応でも、世界のどの主要国も、いかに内需を活発にしていくかに力を入れています。そして、内需の圧倒的部分は働く人・国民の家計消費です。毎日の売り買いは、一つ一つは小さいように見えても、あわせると経済の最大の土台なのです。

 ところが、歴代政権は、家計消費を応援するどころか、逆に壊していく、「逆立ち」の政策を取り続けてきた。ここにこそデフレ不況の一番の根本問題があるということを、私は指摘したいと思うのです。(拍手)

「金融の無制限の緩和」――何の効果もないばかりか、副作用だけしかない

 自民党の安倍総裁などは「金融の無制限の緩和」ということをさかんにいっています。しかし、いま内需が冷え込んでいるわけでしょう。内需が冷え込んでいるときに、日本銀行がどんどん一万円札を刷って、銀行にお金を供給しても、企業の投資にはお金はまわっていきません。何の効果もないばかりか、余ったお金が投機マネーとなり、原油や穀物の高騰を引き起こすなど副作用しかありません。

 実体経済が悪いのに、そこを立て直す方策をとらずに、金融経済にてこ入れすれば、景気が良くなるなどというのは、経済のイロハを理解していない、まったく「逆立ち」した議論です。

暮らし、経済、財政を壊す消費税大増税を中止する

 それではどうしたらいいのか。私は、国民の所得、働く人の所得を増やして、内需を活発にする――そうした政策転換をおこなうことこそ、デフレ不況から脱却する一番のカギがあるということを訴えたいと思います。(拍手)

 そのために、つぎの二つのことをただちに行うことを提案したい。

 第一は、暮らしを壊し、経済を壊し、財政を壊す消費税の大増税は断固中止させることであります。(「そうだ!」の声、大きな拍手)

 こんな大不況のもとで、国民から13・5兆円もの所得を奪う増税を実施したら、デフレの悪循環をいよいよひどくし、日本経済の底が文字通りぬけてしまいます。

 大増税の実施を中止するために、今度の総選挙では、国民への公約を裏切って、増税を強行した民主、自民、公明の3党の増税連合に対して、きびしい「ノー」の審判をくだしていこうではありませんか。(拍手)

 そして私は、ここでお約束いたします。日本共産党は選挙後の国会に、増税中止法案を提出いたします。成立のために全力をあげます。その仕事をやりとげるためにも、議席の倍増を勝ち取らせてください。どうかよろしくお願いいたします。(大きな拍手)

大企業の260兆円もの内部留保を雇用と中小企業に還元する政策を

 第二は、大企業の260兆円もの内部留保――ため込み金を、雇用や中小企業に還元する政策を実行するということです。(拍手)

 私は、先日の衆議院の予算委員会で、いま、電機産業の大企業が強行している13万人もの首切り計画の問題を追及いたしました。NECでは、労働者を呼び出して、4メートル四方の窓もない、通気口を鉄板でふさいだ部屋に閉じ込めて、上司が11回、12回も「あなたには仕事はありません」「もう座る場所はありません」、こういって退職を迫る、違法な退職強要がやられています。日本IBMでは、会社が終わる終業時刻の直前に、突然、「解雇通知書」を読み上げて、まともな理由も示さず、「あなたは解雇です。ただちに荷物をまとめて会社から出て行け。明日から出社禁止だ」、こんな無法なことがやられています。こんな首切りを放置しておいて、日本の経済は絶対よくなりません(拍手)。日本の産業の「復活」もありえません。違法・脱法のリストラは、政治の力でやめさせようではありませんか。(大きな拍手)

 そしてみなさん、今度こそ労働者派遣法を抜本改正し、有期労働の規制、均等待遇のルールをつくって、非正規で働いている方を正社員にしていこうではありませんか(拍手)。最低賃金を、中小企業のみなさんには支援の手立てをとりながら、時給1000円以上に大幅に引き上げをさせようではありませんか。(拍手)

 ヨーロッパでは当たり前の解雇規制法をつくって、NECや日本IBMで横行しているような横暴勝手をやめさせようではありませんか(拍手)。中小企業と大企業との公正な取引ルールをつくって、下請け単価をまともなものに引き上げさせようではありませんか。(拍手)

 こうやって、働く人の所得、国民の所得を増やし、内需を活発にすることこそ、デフレ不況から抜け出す一番の大道です。この問題でも、「財界中心」の政治を断ち切る改革をすすめる日本共産党をのばしてこそ、解決の道が開かれます。私たち共産党にこの仕事をやらせてください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)