2012年10月30日(火)

沖縄の怒りは限界点をはるかに超えた――基地の全面撤去を

志位氏がルーク米公使と会談


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(写真)ルーク公使(右)にオバマ大統領への書簡の写しを渡す志位委員長=29日、米国大使館

 日本共産党の志位和夫委員長は29日、都内の米国大使館でロバート・ルーク公使と会談し、米兵による女性暴行事件とオスプレイ配備強行に抗議するとともに、在日米軍基地の全面撤去を求めました。

 志位氏は、先に届けていたオバマ大統領あての書簡のコピーを渡しながら、「『綱紀粛正、再発防止』をいいながら凶悪犯罪の再発を防げなかった米国政府の責任も厳しく問われます。強く抗議します」と述べました。そして、「『米軍基地がある限り悲惨な事件はなくならない』が沖縄共通の思いになっています。22日に沖縄県議会が全会一致で可決した決議は、『米軍基地の全面撤去を求める声も出始めている』と初めて明記しました。この沖縄の声を重く受け止めるべきです」と強調しました。

 さらに、志位氏は、オスプレイ配備について、「日米合同委員会が『安全対策』を合意したにもかかわらず、それすら無視した飛行が行われています。沖縄全域で人口密集地・住宅地上空の飛行が常態化しています」と実態を示しながら、オスプレイ配備の撤回、普天間基地の無条件撤去を求めました。

 志位氏はさらに「歴史的に今の沖縄の情勢をどうとらえるか、私たちの考えを率直に伝えたい」と進めました。

 2010年4月にルース米大使と会談した際、志位氏は、「普天間基地の県内移設反対」が沖縄の島ぐるみの意思となり、「沖縄の情勢は決して後戻りすることない限界点を超えています。普天間問題の解決には移設条件なしの撤去しかありません」と伝えました。しかしその後も、日米両政府は「辺野古移設」に固執したままで、普天間問題はまったく解決していません。そこにオスプレイの配備と米兵の暴行事件です。

 これらの諸点を指摘した志位氏は、「沖縄の情勢は、限界点をはるかに超え、その怒りは米軍基地の存在そのものの否定へと向かっています。県民の間には、基地全面撤去で腹をくくったという空気がみなぎっており、ここは大きな政治的判断が必要です。もはや沖縄で米軍基地を維持し続けることは不可能であり、基地の全面撤去を真剣に検討すべきです」と提起しました。

 ルーク公使は、米兵の暴行事件について「きわめて遺憾です。米国政府としておわびします。米兵の規律、教育を強化します」と表明するとともに、志位氏の大統領あて書簡と意見をワシントンに伝えると述べました。

 オスプレイについて公使は、「変換モード飛行を基地内に限るのは無理ですが、人口・住宅密集地の上空ではできるだけ少なく、という日米合意は守っています」と述べました。また「日米安保条約、日米同盟に基づき、米軍基地は必要であり、いまの時期は全面撤去にふさわしくないと考えています」との考えを示しました。

 志位氏は、「伊江島では重いコンクリートの塊をつり下げた飛行も行われており、日米合意にも反するあまりにも横暴なやり方が横行しています」と指摘。「基地がある限りこうした事態は続きます。安保を盾に基地を押し付けるなら、安保そのものをなくさないといけないということになります」と強調しました。

尖閣問題――「冷静な外交解決を日中双方に求めたい」(米公使)

 会談のなかで、ルーク公使は、尖閣問題に関する志位委員長の「提言」について、バランスが取れた主張と評価。すべてに同意できるわけではないが、内容はたいへん興味深いものだと述べ、志位委員長に対して、この問題での日本共産党の立場について尋ねました。

 志位氏が、「提言」の内容を詳しく話し、とりわけ冷静な外交交渉による解決の重要性を強調すると、ルーク公使は、「米国政府の立場は、領有の問題は日中どちらの側にも立たないというものですが、双方が冷静な外交交渉によって解決するべきであり、それを米国政府として支持します。双方とも武力や強制は自制することが大切だと思います」と表明しました。

 会談には、日本共産党の笠井亮衆院議員、森原公敏国際委員会事務局長、田川実書記局員が同席しました。