2012年9月22日(土)

尖閣諸島 日本の領有の正当性を主張

志位委員長、中国大使と会談


 日本共産党の志位和夫委員長は21日、程永華駐日中国大使と都内の中国大使館で会談し、尖閣諸島(中国名・釣魚島)に対する日本の領有権の正当性を主張するとともに、両国間に領土に関する紛争問題が存在するという立場に立って、冷静で理性的な外交交渉を通じて問題の解決をはかることが必要だと述べました。


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(写真)程永華駐日中国大使(右)と会談する志位和夫委員長=21日、中国大使館

 志位委員長は、昨日、日本政府に届けた「提言」――「外交交渉による尖閣諸島問題の解決を」を程大使に手渡し、「提言」にそって日本共産党の立場を表明しました。

 志位氏は、まず、「日本への批判を暴力で表す行動は、いかなる理由であれ許されるものではありません」と述べ、「中国政府が、中国国民に自制をうながす対応をとるとともに、在中国邦人、企業、大使館の安全確保への万全の措置をとること」を求めました。また、「日本と中国の双方が、物理的対応の強化や軍事的対応論を厳しく自制することが必要です」と強調しました。

 そのうえで、志位氏は、「日本共産党は、尖閣諸島について、日本の領有は歴史的にも、国際法上も正当であるという見解を表明しています」として、3点にわたってその要点を説明しました。

 第1は、1895年の日本による領有の宣言は「無主(むしゅ)の地」の「先占(せんせん)」という国際法上まったく正当な行為であったことです。

 第2は、中国側の主張の最大の問題点は、1970年までの75年にわたって日本の領有に対して一度も異議も抗議も行っていないことです。

 第3に、中国側は「日清戦争に乗じて奪ったものだ」と主張していますが、下関条約(日清戦争の講和条約)とそれに関する交渉記録を見ても、この主張は成り立たないことです。志位氏は、「日本による尖閣諸島の領有は、日清戦争による台湾・澎湖(ほうこ)諸島の割譲という侵略主義、領土拡張主義とは異なる正当な行為だった」と表明しました。

 さらに、志位氏は、「尖閣問題を解決するためには、(日本政府が)『領土問題は存在しない』という立場をあらため、領土に関わる紛争問題が存在することを正面から認め、冷静で理性的な外交交渉によって、日本の領有の正当性を堂々と主張し、解決をはかるという立場が大切であることを、『提言』では提起しました」と述べました。

 程大使は、「注意深く聞きました。『提言』は、政府と党に報告します」と表明。「領有権に関しては立場が異なりますが、外交交渉による解決をはかるという点では、お互いの考え方は近いと思います」と述べました。さらに、「暴力行為は賛成しません。中国政府は冷静で理性的な行動を呼びかけ、警察は違法行為を取り締まると発表しています」と述べました。

物理的対応、軍事的対応論の自制を

 志位氏は、「物理的対応の強化や、軍事的対応論は、理性的な解決の道を閉ざすことになります」として、日中双方に対して、その自制を求める立場を強調。日本共産党が、8月に国会に上程された香港民間活動家尖閣諸島上陸決議案に対して、「もっぱら物理的な対応を強化することに主眼をおいたものであり、冷静な話し合いでの解決に逆行する」として反対したことを紹介しました。

 そのうえで志位氏は、「同時に、中国にも率直に言いたいことがあります」として、この間、中国の監視船が日本の領海内を航行するということが繰り返し起こっていること、梁光烈中国国防相がパネッタ米国防長官との会談で、平和的交渉による解決を希望するとしながら、「一段の行動をとる権利を留保する」と述べていることについて、「こうした物理的な対応の強化、軍事的対応論は、日中の緊張の激化を呼び起こし、冷静な外交的解決に逆行するものです。中国にも、自制を求めたい」と述べました。

 程大使は、「これ以上、事態をエスカレートさせるのではなく、冷静で理性的な対話と交渉の道を進めるというのが、中国の基本的な立場です。互いに努力が必要です」と応じました。

 会談には、日本共産党から緒方靖夫副委員長、森原公敏国際委員会事務局長が、中国大使館から郭燕公使参事官、文徳盛参事官らが同席しました。