2012年8月23日(木)
|
日本共産党の志位和夫委員長は22日、都内で日本医師会の横倉義武会長、石川広己常任理事と懇談し、日本が世界に誇る「国民皆保険」を守っていくことで一致しました。日本共産党の党首が、日本医師会会長と懇談するのは初めて。小池晃政策委員長が同席しました。
横倉会長は開口一番「社会保障についての考え方は一緒です」と切り出し、「経済や地域の格差なく必要な医療が受けられるようにするというのが医師会の考え方です。そのために国民皆保険を守るという立場です」と語りました。
志位氏は、日本医師会が「公的な医療給付範囲を将来にわたって維持する」ことなどを「国民皆保険」を守るうえでの重要課題〔別項〕にあげていることにふれ、「まったく同感です」と述べました。
懇談のなかでは環太平洋連携協定(TPP)が話題となり、志位氏は「日本医師会がTPP交渉参加に全面的に反対する見解を発表したことはたいへん心強い」と表明。「農業や食の安全、労働など、日本の国のあり方をアメリカ流に作りかえることには断固反対です。ぜひ協力したい」と語りました。
横倉会長は、医療への株式会社の参入、薬価の引き上げや医療技術など知的財産権の分野が対象にされるおそれがあることなどTPPの問題点を指摘し、反対の立場を表明。「医療技術は人類の幸せのためであって、経済の道具にされることに強い危惧をもっています」と述べました。
話題は、民自公3党合意によって強行成立された社会保障制度改革推進法にも及び、このなかで志位氏は「『療養給付の重点化』の名で給付対象の縮減が狙われているのは大きな問題です」と指摘。横倉会長も「医師会として警鐘を鳴らそうと思っています」と語りました。
また、医療費の窓口負担について志位氏は「3割負担は重すぎます」と述べ、消費税に頼らずに社会保障を充実させ、財政危機の打開をはかる党の「提言」を説明。窓口負担を軽減し、無料化をめざす考えを示しました。
これに対し、横倉会長は医療費の窓口負担3割は限界であり、引き下げる必要があるとの認識を示し、「夢の持てる国にしたい。75歳を過ぎたら必要な医療や介護は国が面倒を見るような国にしたいですね」と語りました。
懇談は終始なごやかな雰囲気で進められ、志位、横倉両氏は今後とも意見交換を継続することで一致、固い握手を交わしました。
日本医師会が考える「国民皆保険」の重要課題 日本医師会が3月に発表した「見解」では「国民皆保険」はすべての国民が加入してさえいればよいのではなく、つぎの三つの重要課題を守らなければならないとしています。
1、公的な医療給付範囲を将来にわたって維持すること
2、混合診療を全面解禁しないこと
3、営利企業(株式会社)を医療機関経営に参入させないこと