2012年7月27日(金)
日本共産党の志位和夫委員長は26日、都内の米国大使館でカート・トン代理大使(首席公使)と会談し、国民の反対を押し切って垂直離着陸機オスプレイを岩国基地(山口県)に陸揚げしたことに抗議するとともに、墜落事故の相次ぐ欠陥機の配備計画の撤回を求めました。 (志位委員長の発言)
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志位氏は、とりわけ沖縄では米軍機の事故が戦後繰り返されてきた数々のいまわしい記憶とつながっており、沖縄県知事が「配備が強行されれば、県内の全基地即時閉鎖という動きに行かざるを得ない」とのべていると警告しました。また本土での低空飛行訓練計画などで日本全国に重大な危険をもたらすものであり、全国知事会の配備反対決議を重く受け止めるべきだとのべました。
そして、志位氏は、パネッタ国防長官がオスプレイ配備を「日米安保条約上の権利」とのべたことについて、「安保を盾に配備を強行すれば、『安保をなくせ』ということになる」と指摘し、配備計画の撤回を求めました。
これに対しトン代理大使は、「配備強行」ではないとのべ、米国内や世界で10年間使われてきた飛行機だと語りました。今後日本国民に信頼性がよくわかる形で情報提供したいなどと、その安全性を強調しました。
志位氏はさらに、2年前の米大使や米国務省との会談で、「普天間基地の『返還』の代わりに県内に『移設』するという方針が完全に破たんした」「沖縄の情勢は決して後戻りすることのない限界点を超えた」と指摘してきたことを振り返りながら、「それから2年たつが、日米両政府は、破たんした『県内移設』に固執したまま、米政府自身が『世界一危険』とする普天間基地へのオスプレイ配備を強行しようとしている。これは、すでに燃え盛っている沖縄の怒りの火にさらに油を注ぐ結果になる」とのべ、「オスプレイ配備を撤回し、普天間基地の無条件撤去こそ決断すべきだ」と提起しました。
トン氏は、同基地の危険性とその解決が求められていることでは「同感です」とうなずきつつ、沖縄に駐留する海兵隊の安全保障上の重要性を強調。沖縄は地理的にも特別の位置にあり、「県内移設」は必要だとの立場をのべました。
志位氏は、軍事に頼らない「平和的安全保障」への世界の流れに触れながら、日米軍事同盟と沖縄・日本国民との矛盾は限界点を超えたとして、安保条約をなくして対等・平等・友好の日米関係への転換を構想すべきだとの考えを伝え、日本共産党の「外交ビジョン」をトン氏に手渡しました。
最後に志位氏は、オバマ大統領の「核兵器のない世界」をめざすとのプラハ演説(2009年)をきっかけに日本共産党と米国政府の関係が始まったことを想起しつつ、米国政府が2015年のNPT(核不拡散条約)再検討会議で、核兵器禁止条約の締結に向けた国際交渉の実現のために積極的対応をするよう要請しました。
トン氏は「米国はNPTを基礎に『核兵器のない世界』への道を探し、努力していきたい」と語りました。
会談には、緒方靖夫副委員長、笠井亮衆院議員、森原公敏国際委員会事務局長、米大使館のデービッド・シュレーファー安保政策課長が同席しました。