2012年2月29日(水)
日本共産党の志位和夫委員長は27日夜放映のBS11番組「インサイドアウト」に出演し、社会保障も経済も財政もすべてダメにする野田内閣の消費税大増税計画の害悪を厳しく批判し、社会保障充実と財政危機打開を両立させる日本共産党の提言について語りました。
衆院予算委員会での志位氏の質問(10日)に注目した日本BS放送の二木啓孝解説委員(司会)は、社会保障の安定財源確保と財政再建という政府・民主党の消費税増税の口実に言及しつつ、「志位委員長の話は“もっと仕組みを変えろ”と聞こえたが」と問いかけました。
志位氏は、政府のやり方では社会保障も財政も「両方ともダメになる」ことが国会論戦ではっきりしたと指摘。増税分5%のうち社会保障「充実」分はわずか1%分の2・7兆円で、しかも年金や子ども手当の削減、医療費や介護利用料の引き上げなどで社会保障は2・7兆円も削減され、さらに年金の支給開始年齢引き上げで6兆〜10兆円も削減されるなど、「社会保障は全体として『一体改悪』になります」と説明しました。
また、1997年に消費税が5%に増税されて以来、14年間の税収が累計で84兆円も減っており、消費税増税と社会保障負担増で1世帯あたり年間25・5万円もの実質所得減少を招く「一体改革」では経済も財政も「共倒れになる」と警告しました。
その上で、経済低迷の原因は国民所得の減少にあるとして、「景気の停滞・後退をそのままにして歳出・歳入をあれこれやっても展望はでてこない。所得を増やす経済改革をしつつ、社会保障の段階的充実を図る、この両方をやるのが私たちの考えです」と述べ、「提言」の内容を詳しく紹介しました。
志位氏は、証券優遇税制や法人税減税の見直しが必要だと強調し、「法人税を日本一国だけで上げるのはなかなか難しい。国際的に呼びかけて上げていく展望を持っている」と発言。「財界が目をむいて怒りそうだ」という二木氏に対し、負担能力に応じて納税する「応能負担」の原則はフランスの「人権宣言」(1789年)にも書かれていると述べ、欧米で進む富裕税導入の動きも明らかにしました。
志位委員長は司会者から「大阪維新の会」を率いる橋下徹大阪市長についての見解を問われ、「大変危険な流れだ」と指摘しました。
志位氏は、教育現場に徹底的な競争主義やがんじがらめの強制を持ち込む「教育基本条例案」や、5段階の「相対評価」で「低い評価」が続く市職員を解雇する「職員基本条例案」の成立を狙うなど、橋下氏が「徹底的な強権的支配をやろうとしている」と批判しました。
また、市職員を対象とする「アンケート」という名の憲法違反の「思想調査」についても、“全質問に答えないと業務命令違反で処分するぞ”と脅すもので、「民主主義を壊す危険な独裁政治、ファッショ政治という流れが実は正体だ」と指摘。政治や社会の閉塞(へいそく)感を打開する「橋下旋風」という描き方は「多分に巨大メディアがつくった虚像という面が強い」と述べ、日本共産党としては、この危険な流れに正面から対決するとともに「どの分野でも閉塞感を打開する方策をしっかり示していくことが大事だと思っています」と強調しました。