2011年11月25日(金)
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日本共産党の志位和夫委員長は24日、日本政治総合研究所(白鳥令理事長)の「政治問題研究会」に招かれて都内で講演し、世界と日本の現状をどうみるかについて二つの角度から語りました。研究会には大企業の役員、研究者、大手メディア関係者などが出席しました。
同研究所は「日本の議会制民主政治の研究」を目的に1975年に設立。志位氏は07年3月についで2度目の登場です。
志位氏が第一に語ったのは、2008年秋のリーマン・ショック以来の世界経済危機の現状をどうみるかです。志位氏はこの危機を金融危機ととらえる見方が強いなかで、日本共産党は「金融危機と過剰生産恐慌の結合」とみてきたことを紹介しました。
リーマン・ショック後、金融支援に投入された世界の資金は約6兆ドルと推定され、世界の国内総生産(GDP)の1割を占める規模となりました。大銀行や投機マネーは復活しましたが、実体経済にはまともな対応がされず、失業、貧困、格差が広がりました。志位氏は現状について、「過剰生産恐慌がいまも深刻な形で広がり、その比重をましている」と指摘。“1%の富裕と99%の貧困をただせ”というウォール街行動の世界的な広がりもその一つのあらわれだとのべました。
金融界の大御所であるジョージ・マグナス氏が、世界の危機の本質を知りたければカール・マルクスを読め、という論評を出すなど、世界の資本主義体制を支えてきた人びとがマルクスに注目していることを紹介。「世界経済危機のなかで資本主義の資格が問われる事態が生まれています。そのなかでマルクスが注目され、輝きを増していることは重要です」と語りました。
もう一つは、政権交代後の2年余りをどうみるかです。日本が政権交代をしたのは「自民党政治を変えてほしい」との願いでした。しかし、鳩山政権が普天間基地問題で公約を裏切り、菅政権が消費税増税、環太平洋連携協定(TPP)を持ち出すなど自民党路線に回帰してきたと、志位氏は指摘。「3代目」の野田内閣は二つの内閣の一番悪いところを引き継いで、米国と財界の「使い走り」でなんでもやるという構えだと言及し、「二つの自民党ができた。顕微鏡で見たって違いは見つからない」とのべると会場から思わず笑いが。
志位氏は、「自民と民主が同じであれば(有権者の)『政権選択』にはならない。『二大政党』のゆきづまりは限界にまできました」とズバリ解明しました。
そうしたなかで、TPP参加反対、原発ゼロ、大阪市長選での独裁政治を許さない共同など日本共産党が党派を超えた「一点共闘」を広げていることを志位氏は強調。岩手、宮城、福島の被災3県の県議選で議席をほぼ倍増させた成果にもふれ、「『二大政党』への不信を国民は強めています。新しい選択肢を探求する状況がうんと広がっており、日本共産党も頑張れば躍進できる状況が生まれています」と語りました。
会場からは、予定時間を過ぎる熱心な質疑が寄せられました。
世界の経済危機や投機マネーへの対応などで日本共産党に「現実的な対応」を求める意見が出され、志位氏は「投機マネーが一国の経済を壊すもとで、世界的規模で投機マネー規制に本格的に踏み込まないといけない」と提起しました。
また「政党助成金をもらったほうがいいのでは」との質問にも、志位氏は「政党を堕落させる麻薬です。政党は汗をかいて苦労して、国民に財政的に支えてもらい、結びつくのが当たり前です」と応じるなど、一つひとつに丁寧に答えました。