2011年9月28日付「しんぶん赤旗」に掲載

「資金繰り苦しい」

志位氏質問に福島の被災者 東電の対応に憤り

賠償 農家の実情 見てほしい


 東京電力の原発事故による放射能汚染対策を取り上げ、国に対し全面的な除染対策と賠償対応を迫った27日の衆院予算委員会での日本共産党志位和夫委員長の質問。福島の被災者の感想を聞きました。


 福島市飯坂町では果樹農家5人が集まり質問に耳を傾けました。志位委員長が、「東電は加害者の自覚があるのか」「農業者の実情を分かっていない」とただすと、見ていた人たちがうなずく場面もありました。

 橋本励一さん(62)と光子さん(55)夫妻は、モモとリンゴの農家です。贈答用のモモは売り上げが6割減だったといいます。「農家のことを、国会で取り上げてくれてうれしかった」と光子さん。「東電は加害者だとは認めるが、人災とは認めなかった。津波対策をしっかりとっていれば、こんなことにならなかったかもしれないのに。損害賠償を請求するために、税務署などに書類を取りにいかなければなりません。それだけでも大変なこと」と語ります。孫もいるため、農地の除染も早くしてほしいというのが願いです。

 サクランボやモモなどを栽培している小野徳雄さん(50)は、昨年より500万円ほど売り上げが減ったといいます。「それでも毎月、電気代にしろ、ローンにしろ請求がくるんです。それなのに補償金の支払いは3カ月ごとでしょう。東電は机の上で賠償の数字ばかりを考えているからだ。志位さんの言う通り、東電は農家の実情をまったく分かっていない」と憤ります。「当面の資金繰りも苦しい。農家はみんな本当に困っている。それを分かってほしい。審査はあとに回して、農家が請求した金額をまず出して運転資金にするとか、もっと柔軟な対応をしてほしい」

 石渡栄吉さん(61)と久子さん(59)夫婦も、「東電の加害者意識は薄い」といいます。栄吉さんは「賠償の請求のために、仕事を休んで、領収書や書類を集めなければなりません。それに書類だってタダじゃない。ガソリン代もかかる。政府は全面賠償を最後まで明言しませんでしたが、誠意を示してほしかった」と語りました。