2011年9月20日(火)「しんぶん赤旗」
作家の大江健三郎さんら著名9氏が呼びかけた「さようなら原発集会」が19日、東京・明治公園で開催されました。公園内だけでなく周辺にも人があふれ、身動きできないほど。「6万人が集まりました」と主催者が報告すると、どよめきが起きました。同公園にこれだけの人が集まるのは数十年ぶりです。
|
この日の集会は、新規原発計画の中止、既存原発の計画的廃止などを求めるもので、全労連、全労協、連合系、中立系の労働組合、民医連などの民主・市民団体や多数の個人が全国から参加しました。午後1時半の開会より1時間以上も早くから、最寄りのJR千駄ケ谷駅から会場に向かう長い列ができました。「原発いらない」のゼッケンを身につけた子ども連れの母親など、女性の姿が目立ちました。
呼びかけ人の鎌田慧(ルポライター)、大江健三郎(作家)、落合恵子(作家)、内橋克人(経済評論家)、澤地久枝(作家)5氏らがステージに立って発言しました。
鎌田氏は、野田首相が原発を再開していく姿勢を見せていることにふれ、「原発の安全性と信頼性はすでに破綻しています。再開するのは住民への敵対です」と話しました。大江氏は、原発を推進する勢力に対抗するには集会やデモしかない、とのべ、「しっかりやっていきましょう」と呼びかけました。
落合氏は、「子どもが夜中に起きて、『放射能こないで』と泣き叫ぶような社会を続けさせてはならない」と訴え、内橋氏は、「さようなら原発、こんにちは命輝く国。その第一歩をみなさんとともに歩み続けたい」とのべました。
澤地氏は、人類は暴走する核をコントロールできないとし、「老若男女をとわぬ、人間のとりでを築いていきましょう」と語り、ドイツから参加した環境団体のフーベルト・ワイガー氏は「脱原発は、できるか、できないかではない。政治的にやるか、やらないかだ」と強調しました。
俳優の山本太郎さんが「原発事故を受けて、みんなで生きのびたいと思いました。反対の声をあげましょう」と話し、ハイロアクション福島原発の武藤類子さんは、「一人ひとりの市民が国と東電の責任を問い、原発はいらない、の声をあげています」と語りました。
集会後、参加者たちは三つのコースに分かれて都内をパレード。朝5時に出発し、福岡県から両親とともに参加した鬼塚清志さん(31)は、「娘が生まれたばかりなので、原発事故への不安はひとごとではありません。今日の集会から、原発撤退を求める運動に参加していきます」と話しました。
発言した5氏以外の呼びかけ人は、坂本龍一(音楽家)、瀬戸内寂聴(作家)、辻井喬(作家)、鶴見俊輔(哲学者)の各氏です。
「さようなら原発集会」には、日本共産党の志位和夫委員長、市田忠義書記局長、笠井亮衆院議員(党原発・エネルギー問題対策委員会責任者)らも参加し、市民と交流しました。
志位氏は主催者側の人らに「盛況ですね」「まずは原発の再稼働を止めたいですね」と声をかけるとともに、本部スタッフと握手。舞台の付近で一参加者として呼びかけ人らの発言に拍手を送りました。
スマートフォンで志位氏らを撮影したり、握手を求める人も。志位氏は、離れたところから手を振ってくる参加者たちにも笑顔で手を振り返して応えました。
「今日はよく来てくれました。本当に…」と笑顔で志位氏に話しかける男性も。志位氏と握手した横浜市の女性(60)は、「過去の日本の戦争だって一般市民が反対しなかったから起こった。だから市民が動かないといけないと思う。こういう集会に、ぜひもっと多くの政治家のみなさんにも来てほしい」と話しました。