2011年7月21日(木)「しんぶん赤旗」

中東の民主的変革のうねりをどうみるか

「綱領教室」で志位委員長


 日本共産党の志位和夫委員長は19日、党本部で開催した第6回「綱領教室」の講義で世界の民主主義と人権の流れの発展を明らかにしたなかで、チュニジアやエジプトなど中東諸国で起こっている民主的変革の大きなうねりをどうみるか、三つの角度から提起しました。

心から変革歓迎

 第一に、「いま起こっている変革は進行中であり、その行方には予断をもっていえない面もありますが、この変革そのものは、人民自身の手によって、人権、自由、尊厳、民主主義を求める変革として起こっているもので、わが党は心から歓迎します」と表明。エジプトの旧政権で仕事をした政府関係者から寄せられた「ナイル川さえも喜び、興奮しています。ピラミッドさえ自由と尊厳の再生に誇りを感じています。民主主義はエジプトにとっても中東や世界にとっても平和のゆりかごです」との声を紹介し、「人権と自由は普遍的なものであり、人民のたたかいで必ず前進せざるをえません。このことに深い確信をもってのぞみたい」とのべました。

各国独自の歴史

 第二に、エジプトであれ、チュニジアであれ、それぞれの国には、人権と自由を発展させる独自のプロセス、独自の歴史があり、全体をよくみる必要があるということです。志位氏は、1952年にナセル氏ら「自由将校団」が革命を起こし、イギリスの植民地支配からの本格的独立をかちとったエジプトの歴史を振り返りました。その後の国づくりには、試行錯誤もあり、逆行もありましたが、「しかし、植民地支配からの独立をかちとり、そのなかでそれぞれ独自の発展の歴史を経て、今日の民主的変革にいたっているという歴史の全体をよく理解する必要があると思います」とのべました。

 第三に、これらの国々が国際政治のなかで果たしてきた積極的役割は、この変革によっていっそう前進するだろうとのべ、「わが党は、エジプトやチュニジアの非同盟運動、核兵器廃絶などで果たしている役割に注目し、野党外交で交流をすすめてきましたが、この関係もさらに発展するだろうという展望を持っています」と語りました。

野党外交の発展

 そのなかで、エジプトのエルアラビ新外相が、5月にインドネシアで行われた非同盟諸国閣僚会議の演説で、「1月の革命により、(非同盟の)議長国としてのエジプトの役割は強化されている。非同盟の発展に貢献する決意だ」とのべ、核兵器廃絶の実現にいっそう大きな責任感を持ってとりくむことを強調したことを紹介。この会議にゲストとして参加した日本共産党の緒方靖夫副委員長と、日本共産党、原水爆禁止運動との交流や協力をさらに発展させることを確認したことを明らかにしました。

 さらに、「蜂起した人民に連帯する」と政権崩壊を前に大使を辞任したチュニジアのハシェッド前駐日大使が、自分の信条をもっともよく理解してもらえるだろうと前置きし、「日本共産党はこれからも、チュニジアの新しい政府と大使館との間でいい関係を発展させてほしい」と話したこと、非同盟諸国閣僚会議で緒方副委員長がケフィ新外相と懇談し、「新しいチュニジアとの関係発展」で一致したことを紹介。「三つの角度でみて、中東の変化はたいへんな歴史的変化であり、喜ぶべき変化です」と語りました。