2011年7月4日(月)「しんぶん赤旗」
日本共産党は3日、党本部で第3回中央委員会総会を開きました。会期は4日までの2日間。幹部会報告に立った志位和夫委員長は、3中総の任務として大震災・原発事故とのかかわりで日本の政治の現状を明らかにし、国民的たたかいの課題を提起するとともに、いっせい地方選挙の教訓と現在の情勢をふまえ、いかにして強大な党建設を進めるかについての方針を提起することにあるとのべました。このなかで、来年7月15日にむけて、「党創立90周年をめざす党員拡大を中心とした党勢拡大大運動」を提案しました。幹部会報告はインターネット中継によって全国で視聴されました。報告後、討論に入りました。
大震災・原発問題と日本の政治の現状
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志位委員長は大震災と原発事故について、国民がその力を結集し、長期にわたって打開しなければならない国政最大の課題であり、日本の政治のあり方の根本を問うものだと強調。日本共産党が、救援や事故収束などの緊急課題では政治的立場の違いを超えて力をあわせるとともに、復興のあり方と財源問題、原発・エネルギー問題をどうするかなどでは独自の立場からの積極的提言を行うという基本姿勢にたって奮闘してきたことを詳しく報告しました。
このなかで、日本共産党が復興にあたっての二つの原則―(1)生活基盤回復への支援(2)復興は住民合意で行い、「上から青写真の押し付け」を許さない―を堅持してきたことの意義や、原発事故の根本に「ルールなき資本主義」のいわば“原発版”があることを解明しました。
こうした日本共産党の姿勢と活動には、新たな注目と共感が寄せられていることを、被災地などとの響き合いを通じて指摘。それは、政治のゆがみを大本からただす日本共産党の綱領路線への共感や信頼に発展しうるものだと強調しました。
では、「二大政党」はどう対応しているのか。未曽有の危機のもとで民主党と自民・公明両党は、被災者そっちのけの「党略的政争」を繰り広げる一方で、「悪政を共同推進している」と告発。「二大政党」勢力全体が政治のかじ取り能力を失った政治的劣化ぶりを示していると指摘しました。そして、多くの国民がこれまでの政治への見方を大きく変え、新たな探求と行動をはじめているいま、日本共産党が国民の中に広く打って出て、新しい政治への綱領的展望を語るならば、多くの国民の探求と合流する条件は大いにあると力説しました。
各分野で国民的たたかいを
そのうえで志位氏は、各分野で日本の前途を開く国民的たたかいを呼びかけました。
被災地復興をめぐっては、(1)希望を示す血の通った施策を進めるのか、災害対策の根本を忘れた冷たい政治に終始するのか(2)住民合意を尊重した復興か、震災に乗じて財界の描く「構造改革」の青写真を上から押しつけるか―が重大な対決点になっているとのべ、被災地の復興運動への全国的連帯と支援の発展を訴え。このたたかいが、「ルールある経済社会」を築く重要な内容の一つとなることも指摘しました。
原発問題では、「原発からのすみやかな撤退」を国民的世論にする一大闘争を提起しました。「原発提言」について、党の半世紀にわたる先駆的活動の蓄積のうえに、福島原発事故を踏まえ認識と方針を発展させたことを詳細に説明。(1)「原発からの撤退」の一点での広い共同をつくりあげる(2)「撤退」まで一致できない人とも原発から命と健康を守る課題で広い連帯をつくる―という姿勢で、「原発からの撤退」の国民的合意をつくりあげようと呼びかけました。
このたたかいを、「原発利益共同体」と呼ばれる癒着構造と、エネルギーの対米従属を打破するたたかいとして綱領的課題の一つと位置づけました。
さらに、国民生活を守るたたかいでは、▽消費税増税・社会保障切り捨て阻止▽人間らしい雇用実現▽TPP参加阻止―などを提起。平和のたたかいの二つの焦点として、▽危険な垂直離着陸輸送機オスプレイ配備反対を含めた普天間基地の無条件撤去を求めるたたかいへの連帯▽核兵器禁止条約の国際交渉を求める反核平和運動の発展を呼びかけました。
いっせい地方選の教訓と中間地方選、総選挙のとりくみ
いっせい地方選の教訓について志位氏は、全国の党組織の総括と教訓に学び、特に重要だと考える二つの教訓を強調したいと述べました。
一つは、総括を掘り下げる中で「自力の不足が骨身にしみた」との思いが共通して語られ、党員拡大の遅れが選挙活動のあらゆる面で障害になっていることが深められていることです。もう一つは、得票を伸ばして激戦を制した党組織は、「結びつきを生かし、広げることを軸とした選挙活動」を早くから行い、「党の自力をつける活動」にうまずたゆまず取り組んでいることです。
その上で、年内の中間地方選挙、特に東北3県の震災延期選挙での勝利へ全力を尽くそうと呼びかけました。
志位氏は、次の総選挙の時期は「二大政党」全体のゆきづまりの深さからみて予断をもっていうことはできず、いつ総選挙になっても対応できる準備が必要だと指摘。「全国で650万以上」の目標にみあう得票目標を全党組織が明確にしてただちに活動を始め、候補者も可能なところから順次決めて発表する方針を示しました。
「党勢拡大大運動」の提案
最後に志位氏は「党創立90周年をめざす党員拡大を中心とした党勢拡大大運動」を提案しました。
党勢の新たな上げ潮をつくるために2中総が呼びかけた「五つの挑戦」において、生まれつつある前進の芽を大切に育てる重要性を強調。その上で「党員拡大と『しんぶん赤旗』読者の拡大」が最も遅れた分野になっていることを踏まえ、党員拡大を中心にすえた「党勢拡大大運動」の二つの目標(別項)を示しました。
なぜ「党勢拡大大運動」に取り組むのか。志位氏は、「二大政党」づくりが他でもない「政権交代」を転機としてゆきづまり、日本共産党を選択肢から締め出す反共作戦が支配勢力の思惑をこえるスピードで馬脚をあらわしていること、新しい政治への探求の流れが生まれて日本共産党の主張に政治の真実を見いだす動きが起こりつつあることを力説。こうした情勢の劇的な変化にふさわしいスピードと規模で強大な党をつくることが強く求められていると訴えました。
また、▽党勢拡大の力で選挙に勝ち、その力で党勢を拡大する「好循環」をつくる▽理論的・政治的到達点にふさわしい党組織をつくる▽党建設の根幹である党員拡大の遅れの打開は、あらゆる党活動の発展を支える最大の保障となる―という意義を語りました。
大運動成功に向けた活動方針としては(1)結びつきを基礎に「支部が主役」で取り組む(2)国民のたたかいを発展させることと一体に取り組む(3)党員拡大を中心にしつつ読者拡大に独自の努力を払う(4)「綱領・古典の連続教室」を発展させる(5)「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」を発展させる―という5点を強調しました。
中央委員会が、一つの国政選挙をたたかうような構えで大運動に取り組み、何としても成功させる決意であることを表明しました。
「党勢拡大大運動」の目標 (1)党員拡大を中心にすえて大きな前進を築く。全地区が毎月新しい党員を迎え、全支部が期間中に必ず新しい党員を迎える。世代的継承のためにも職場と青年・学生の中での党員拡大に特別の手だてをとる。党員拡大と一体で「赤旗」日刊紙購読の訴えに特別の意識性をもって取り組む(2)「赤旗」読者拡大をあわせて追求する。全都道府県、全地区が日刊紙でも日曜版でも毎月着実に前進する。