2011年5月10日(火)「しんぶん赤旗」

福島県訪問ふまえ志位委員長が会見


 日本共産党の志位和夫委員長は9日、福島県を訪れ、県知事や自治体首長、被災者と懇談し、4日間におよぶ東日本大震災被災地訪問を終えました。志位氏は同日、福島県庁で記者会見し、この日の訪問で寄せられたさまざまな要望も踏まえ、現時点での原発事故被災者への救援・復旧・復興についての見解を5点にわたり表明しました。

 第一は、被災者が一番強く望み、いま最も大事になっているのは、一刻も早く原発事故を収束させることとともに、その見通し、故郷に戻れる見通しを、大まかでも政府が責任をもって示すということです。

 志位氏は、東京電力が収束に向けた「工程表」を出しているが、東電まかせではなく政府として責任を持って、今後の見通しを現時点で示すべきだと強調。「現地のみなさんからは『30年は戻って来られないんじゃないか』との話もうかがいました。この先の希望も展望も持てないという話がたくんさん出されました。政府としておおまかなものでも、このくらいで収束し、このくらいで戻って来られるということを示す必要がある」と述べました。

 第二は、放射能汚染の正確な把握と公開・説明という問題です。志位氏は「計画的避難区域」に指定された川俣町では、はじめは山木屋地区と小綱木、大綱木の3地域が指定されていたが、町の測定では山木屋地区以外は放射能の基準が低く、国に提起すると外された経過があったと現地で聞いたことを紹介し、「これは政府のやり方として無責任だ。国がきちんと綿密なモニタリングをして対応にあたる必要がある」と述べました。

 志位氏は第三に、「『計画的避難区域』で、住民の安全をしっかり確保することを前提に、実情に即した柔軟な対応を保障するということが必要だと痛感した」と述べました。南相馬市では、同区域に工場、介護施設などがあり、避難後も勤めたり利用したいとの要望が強いと指摘し、「区域内でも安全な地域もあるはずで、実情に即した柔軟な対応を保障し、地域のコミュニティーを守ることが必要になる」と強調。指定解除の場合も実情に即して段階的におこなうことが大切だと述べました。

 第四は、一連の懇談で非常に強く要請された賠償問題です。志位氏は、日本共産党は東京電力に全額賠償――原発事故が起きなければあったであろう収入と現実の収入との差額をすべて賠償させる――という立場だと力説。現在は対象となっていない原発から30キロ圏外から避難している住民や、産業被害への仮払いをすみやかにおこなうこともどうしても必要だと強調しました。

 さらに、農業者、漁業者、商工業者が抱えている負債の問題について志位氏は「事故で収入がなくなった人も借金の返済を迫られる。原発事故は人災であり、負債は国が全額肩代わりするという原則で対応すべきだ」とのべました。

 志位氏は五番目に、原子力緊急事態宣言が解除された場合、対策本部も解散し、すべての措置も打ち切りということになってしまうとし、特別法をつくることもふくめて、解除後の全面的・長期的な対策を実施させることが重要だと指摘。「福島県民全体の健康状態を定期的にしっかりと管理し、医療保障を行うことも、今後国の責任でやっていくことが必要だ」と述べました。