2011年4月5日(火)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長が4日、東京・池袋駅前で行った訴え(要旨)は次の通りです。
「国難」ともいうべき大震災のなかで首都・東京の知事のあり方が根本から問われています。1300万都民のだれもが願う「三つの転換」を、どうか「革新都政の会」の代表に託してください。
第一は、災害から命を守る都政への転換です。
大震災の被災者支援と復興は、国の総力が必要な大事業です。それに首都の知事がどういう姿勢でのぞむかは大きな争点です。
前参院議員・医師は、「震災予防宣言」で、「大震災の被災者救援・復興に、東京都の持つ力を総発揮する」といっています。こういう都知事こそ、いま日本に必要だということを、私は心から訴えたいのです。
私は、この間、被災地を訪問し、切実な声を直接お聞きしてきました。避難所での二次被害をふせぐことは緊急の仕事となっています。救援された方が避難所で命を落とす痛ましい事態の拡大を、何としても防がなくてはなりません。燃料、水、食料、医薬品を被災者のもとに届け、ケアスタッフを派遣する。公営住宅・民間住宅の借り上げなど安定した避難所を確保する。希望者全員が入居できる仮設住宅をつくる。そのために日本中のありとあらゆる力を総動員しなければなりません。
東京都は能力にふさわしい力を発揮しているでしょうか。被災者のために東京都が提供している公営住宅600戸。北海道の1942戸、大阪府の2818戸と比べてもたいへん少ない。避難所に来られた方への食事支援も、共産党都議団が繰り返し要請するなかで、やっと出すことになった。首都にふさわしい力を発揮しているとはいえません。
前参院議員・医師は、「医師や看護師など医療救援チームの派遣を抜本的に強めます」「被災地からの住民の受け入れのために、東京都が提供している公営住宅は600戸だが、1万戸以上が活用可能であり、これを最大限提供します」といっています。首都の能力をあまさず被災者支援に使う――この姿勢にたった知事を誕生させようではありませんか。
大震災からの復興をどうするか。考え方が大切です。「生活再建、地域社会の再建こそ、復興の土台」の立場こそ大切です。家を失った被災者への個人補償の抜本的な拡充が必要です。阪神・淡路大震災を契機につくられた被災者生活支援法で支給される額は、全壊でも300万円。とても足りません。私は、3月31日の党首会談で、首相に「大幅引き上げを」と求めました。首相も「引き上げが必要」と明言し、一歩動かしました。あとは引き上げ幅になってくる。日本中で声をそろえて、大幅引き上げを求めようではありませんか。
財源は、大企業・大資産家への減税バラマキの中止、米軍への「思いやり予算」やグアムへの基地建設予算の中止、不要不急の巨大開発の中止、政党助成金の廃止、そして大企業の内部留保を復興に活用することでまかなおう。これが私たちの提案です。
前参院議員・医師は、「生活再建こそ復興の土台。東京都のもつ人的・財政的力を発揮します」といっています。こういう知事が首都に誕生すれば、大震災からの復興と、新しい日本をつくる最大の頼もしい力となります。どうかご支援をよろしくお願いします。
首都・東京の防災をどうするか。前参院議員・医師は、「震災予防宣言」でとても大切な考え方と方策を示しています。地震や津波は自然災害ですが、それに伴う災害――震災のほとんどは人災であり、人間の英知と力で防ぐことができる。「予防」できるし、「予防」することが政治の責任だという提案です。そのために最悪の事態を想定し、最善をつくす。都の地域防災計画を、震度最大6強の想定から震度7想定に抜本的に見直す。こういう姿勢の都知事こそ、いま東京に必要ではないでしょうか。
この点で、現職知事は、かつて革新都政時代につくった「震災予防条例」を「震災対策条例」に改悪(2000年)してしまいました。政治の責任で震災を「予防」するという考え方を捨て、「『自らの身の安全は自ら守る』という自己責任原則」に置き換えてしまいました。だから東京都の救急車の数は人口あたりで全国最低、消防ポンプの数は全国46位となっている。
そして、この考えが、「津波は天罰」という発言につながりました。口で「撤回」といったが、考えというのは「撤回」できるものではありません。実際、3月25日、福島県を訪問した現職知事は、この発言の意味を問われ、「日本全体が堕落していたことの戒めという意味」で使ったとのべました。大災害を「天罰」といい、「戒め」という知事には、都民の命をまかせるわけにはいかないではありませんか。
「宮崎の人」はどうでしょう。知事時代につくった「県地域防災計画」という文書があります。それを読むと「自らの身の安全は自ら守る」。同じことが書いてある。「地震に対する心得」では県民に「3日間は自力で生き抜く」ことを求めています。「外食チェーンの人」は、選挙公報には、都としての具体的な災害対策を一言も書いていません。
災害から命を守る都政への転換の願いを、どうかこぞって「革新都政の会」の代表におよせください。
第二は、原発政策の転換です。
いま多くの都民が「原発は怖い」と肌身で感じておられると思います。同時に「エネルギーをどうしたらいいか」というご心配もあるでしょう。
福島原発危機の収束のために国の総力をあげながら、原発政策はこれまでのままでいいのかが、いま大もとから問いなおすべきです。
首都は最大の電力消費地でもあり、その知事はこの問題での見識ある姿勢が必要です。前参院議員・医師は、「震災予防宣言」で、「安全最優先での原子力行政の見直し」「原発頼みでなく、自然エネルギーへの転換」といっていますが、これこそいま求められる東京知事としての姿勢ではないでしょうか。
安全最優先の原子力行政への転換が必要です。日本の原子力行政の最大の問題は「安全神話」にしばられてきたことにあります。「原子力は安全」と宣伝し、自分も「安全」と思い込み、安全対策をおろそかにする。危険なものを「安全」ということが一番危険なのです。
福島原発事故は、決して「想定外」の自然災害ではない。日本共産党の吉井英勝議員などが理をつくして警告したにもかかわらず、それを無視して安全対策を怠った人災にほかなりません。今度こそ「安全神話」を一掃し、原子力の危険性を正直に語り、だからこそ安全確保のために万全の体制をとる正直で科学的な原子力行政への転換をはかろうではありませんか。
私は、党首会談で、2030年までに14基の原発の新増設をすすめる無謀な計画は中止すべきだと強くもとめました。首相は、「新増設は白紙見直しを含めて検討する」と答えました。ならば新増設は白紙撤回させましょう。東海地震想定域の真上にある浜岡原発は永久停止、ウランより危険なプルトニウムを燃やす核燃料サイクルも中止を求めましょう。
同時に、エネルギー政策の転換が必要です。ドイツでは、すでに発電量の16%が再生可能エネルギーです。2050年には80%にするという。原発頼みから脱却し、自然エネルギーへの切り替えを――この願いを小池あきらさんに託してください。
現職知事は、「東京湾につくったっていいくらい日本の原発は安全だ」といってきた。あの大事故が起こった後も、こともあろうに福島県で「私は原発推進論者だ。今でも」(3月25日)と放言し、現地の強い怒りをよびおこしています。4月1日の記者会見で、「浜岡原発の危険性をどう考えるのか」と問われ、「僕はあまり知らないんですよ。原発のこと」と答えた。静岡県の浜岡原発で大事故が起これば、東京にも大きな影響が及ぶことは避けられません。これが都民の命を預かるものの発言でしょうか。小池さんに代わってもらおうではありませんか。
「宮崎の人」は、宮崎知事就任1年目の新聞インタビューで「原子力をいつまでも敬遠してていいのか」といいました。九州電力が九州第3の原発の立地候補県として宮崎をあげたとき、「地元住民の方たちが判断すること」として知事として反対するつもりがないことを表明しました。「外食チェーンの人」は、選挙公報に原発問題が一言もありません。
今回の大事故をきっかけに世界でも原発政策の見直しがすすんでいます。日本の首都・東京で前参院議員・医師が勝利すれば、日本の原発政策、世界の原発政策を大きく転換する巨大な力となるでしょう。どうかそういう結果を出そうではありませんか。
第三は、福祉がいちばんの都政への転換です。
「住民の福祉を守る」という自治体の原点と、「災害から命を守る」という自治体の責務は、「命を守る」という点で一体のものです。「何が贅沢(ぜいたく)かといえばまず福祉」といって、都民への福祉の施策をかたっぱしから削っていった現職知事の12年間は、防災対策を大きく後退させた12年間でもありました。
この現職知事を、「宮崎の人」は「最大限尊敬する政治家」とほめたたえている。「外食チェーンの人」は「素晴らしい知事」「十分評価できる」といっている。こういう人たちでは、これまでの都政の冷たい政治が続くだけではないでしょうか。
前参院議員・医師の「何が大切かと言えばまず福祉」という主張が、12年間、現都政に痛めつけられてきた多くの都民の共感を広げています。
現職知事のもとで、都立病院は、16から8に半減しましたが、災害時に公立病院がどんなに大切かは、目の前の大震災が示しています。特養ホームの待機者が4万3千人もいる状態では、災害時にお年寄りから犠牲にされます。前参院議員・医師の「命を守る福祉・防災都市 東京をつくろう」という都政の大転換がこんなに必要なときはありません。
防災、原発、福祉――どの問題でも、現都政では都民の命は守れません。「チェンジ都政」が必要です。その願いを託せるのは、前参院議員・医師だけです。