2011年3月3日(木)「しんぶん赤旗」

TPP参加阻止――大義は国民のたたかいにある

千葉県民集会での 志位委員長のあいさつ


 2日、千葉市で開かれたTPP(環太平洋連携協定)参加阻止県民集会で、日本共産党の志位和夫委員長が行ったあいさつを紹介します。


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(写真)あいさつする志位和夫委員長=2日、千葉市

 みなさん、こんにちは(「こんにちは」の声)。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます。(拍手)

 全国各地で、TPP交渉参加阻止のたたかいが燎原(りょうげん)の火のごとく広がり、国民の世論も大きく変わりつつあります。私は、日本共産党を代表して、みなさんと固く連帯し、TPP阻止のために党をあげて最後までたたかいぬく決意をこめて、連帯のあいさつをおくります。(拍手)

TPP参加と食料自給率向上は絶対に両立しない

 この間、私は、1月の衆議院の代表質問、2月の予算委員会で、連続してTPP反対の論戦をおこないました。その結果、はっきりしたことが二つあります。

 第一に、TPP参加と食料自給率向上は絶対に両立しないということであります。

 TPPは、例外なしの関税ゼロの仕組みです。これに参加すれば、農水省の試算でも、食料自給率は40%から13%に急落し、日本のコメの90%は壊され、農林水産業の生産は4兆5000億円も減少する。一方、民主党政権は、昨年3月、自給率を50%に引き上げる「基本計画」を決定しています。「自給率50%」と「関税ゼロ」がどうして「両立」できるのか。私は、政府にこの問題をただしました。

 菅首相は、農水省の試算は、「何もしない場合のもの」であって、「大規模化と戸別所得補償」の二つをやれば「両立」できると言いました。そこで私は、農水省が2007年2月に発表した試算をつきつけました。そこにはこう書いてあります。

 「どんなに大規模化をやっても、平均耕地面積で100倍のアメリカ、1500倍のオーストラリアとの競争は不可能である」

 「関税を撤廃したら、かりに巨額の税金を投じて差額を補てんしたとしても、食料自給率の低下は避けられない」(「その通り」の声)

 政府自身の試算ではっきり書いてあるではないですか、説明してくださいとただしました。しかし、首相も農水相も答えられず、政府は答弁不能となりました。「自給率50%」と「関税ゼロ」の「両立」は絶対に不可能だということがはっきりしたというのが国会論戦の到達点であることをご報告したいと思います。(拍手)

 この論戦をやっておりましたら、自民党の議員のみなさんからも、「そうだ」「その通りだ」と拍手と掛け声が起こりました(自民党来賓席から「そうだ」の声、笑い)。終わったあと、ある自民党の議員さんは、「委員長、胸がすかっとしましたよ」と言った(笑い)。だったら自民党も党として反対を決めたらいかがでしょう。(「そうだ」の声、拍手)

 いま、地球的規模で食料不足ではないですか。穀物高騰でたいへんではないですか。そのときに、豊かな自給の力がありながら、水田を壊し、農林漁業を壊してしまう。これは、まさに亡国の政治以外のなにものでもないと思います。(拍手)

農薬入りのコメ、大腸菌つきのポテトを食べろというのか

 第二に、TPP参加によって、日本は経済主権をまるごと失うことになるということです。TPPというのは、関税撤廃だけではなく、「非関税障壁」――関税以外の貿易障壁の撤廃もすすめる仕掛けです。そうすると、どんなことになるのか。米国通商代表部(USTR)が作成した対日要求には、こういう勝手なことが並んでおります。

 「牛肉BSE対策で日本の月齢制限など規制を緩和しろ」(「なんだと」の声)、「コメ輸入の際の安全検査を緩和せよ」、「ポストハーベストの食品添加物の表示をやめよ」、「有機農産物の殺虫剤・除草剤の残留を認めろ」、「冷凍フライドポテトへの大腸菌付着を認めろ」(会場から大きなどよめきの声)

 日本人は、農薬入りのコメ、大腸菌つきのポテトを我慢して食えというのか。とんでもない話ではないですか。さらに医療の規制緩和、労働の規制緩和、郵政民営化など金融の規制緩和を行え。日本の経済主権をすべて差し出せ。そうしないと入れてやらないぞ。これがTPPの仕掛けです。そんなものは頼まれてもお断りであります。(「そうだ」の声、拍手)

「亡国」「売国」の政治許さず、「食料主権」にたった貿易ルールを

 みなさん。「平成の開国」というけれど、食と農を壊す「亡国」の政治、米国に経済主権を売り渡す「売国」の政治――これがTPP交渉参加の正体です。私たちはみなさんとともに、断固としてこれを阻止するためにがんばりぬきます。そして、自国の食料は自国で生産するという「食料主権」にたった貿易ルールを確立しようではありませんか。

 みなさん。大義は私たちにあります。ともにがんばりましょう。ありがとうございました。(大きな拍手)