2010年10月8日(金)「しんぶん赤旗」
「まず国民の暮らしの実態を直視し、苦しみに心を寄せることが、日本の政治に責任を負うものの務めではないのか」。日本共産党の志位和夫委員長は7日、衆院本会議で代表質問に立ち、国民が解決を求める深刻な経済危機、尖閣諸島問題、沖縄県の米軍普天間基地問題で抜本的打開策を示し、菅直人首相の姿勢をただしました。(代表質問全文)
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リーマン・ショックからすでに2年。深刻化する経済危機をどう打開するのか。志位氏は、民間企業の賃金はこの1年で平均23・7万円も減り、中小企業から「急激な円高でいよいよ立ち行かない」との悲鳴があがっているが、大企業は内部留保を1年間で233兆円から244兆円に膨張させ、「空前の金あまり」となっていると指摘。利益が投資や雇用に回らず、ため込まれてしまうのは、日本経済が極度の需要不足に落ち込んでいるからだとのべ、「経済危機を打開する唯一の道は、家計を直接応援し、内需を底上げする政策への転換をはかることにある」と強調しました。
そのために「人間らしい雇用の保障」「社会保障の拡充」という2点にしぼって具体的提案を行い、労働者派遣法の抜本改正や最低賃金の千円以上への引き上げ、新卒者の就職難対策、後期高齢者医療制度の即時廃止、高すぎる国保料の引き下げ、米価暴落への緊急対応などを求めました。
首相は、「富が広く循環する経済構造を築く必要がある」と認めながら、大企業の内部留保をいっそう積み増すだけの法人税減税には前向きな姿勢を示し、“抜け穴”が開いた労働者派遣法改定案の抜本修正を「適当ではない」と拒否するなど、国民の願いに背を向けました。
志位氏は、「空前の金あまり」状態にある大企業の法人税を減税しても、内部留保がさらに積みあがるだけであり、税収減の穴埋めを消費税増税に頼れば、家計と内需をさらに落ち込ませるだけだと強調。「『大企業を応援すれば、いずれ経済が良くなり、家計に回る』という自民党流の破たんした古い道から抜け出し、国民の暮らし最優先で内需主導の経済発展をめざす、政策の大転換が必要だ」と強調しました。
7日の衆院本会議で日本共産党の志位和夫委員長は、尖閣諸島の領有問題にかんし、日本共産党が4日に発表した尖閣問題に関する見解を示し、「日本による尖閣諸島の領有は、日清戦争による侵略とはまったく性格が異なる正当な行為であり、(“日清戦争に乗じて日本が不当に奪ったものだ”とする)中国側の主張が成り立たないことは明りょうだ」とただしました。
これに対し、菅直人首相は「(尖閣諸島は)1895年5月発効の下関条約(日清講和条約)第2条に基づき、わが国が清国から割譲を受けた台湾および澎湖(ほうこ)諸島には含まれていない」と答弁。中国側の主張に正当性がないことを認めました。
さらに志位氏は「日本政府の最大の問題は、1972年の日中国交正常化以来、本腰を入れて日本の領有の正当性を主張してきたとは言えない点にある」と指摘。78年の日中平和友好条約や、92年に中国が自国領と明記した際も、日本政府は領有権を明確に主張していないことを具体的に示し、「こうした態度を改め、歴史的事実と国際法の道理にてらして領有の正当性を堂々と主張する外交努力を強めるよう求める」と主張しました。
これに対し、菅首相は、歴史的事実をねじまげ、「中国に明確に伝えている」と強弁し、歴代政権の対応を正当化しました。
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