2010年10月17日(日)「しんぶん赤旗」

革新懇全国交流会

日本の政治の到達点と革新懇運動の値打ち

“二つの歴史のモノサシ”で考える

志位委員長が特別発言


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(写真)革新懇全国交流会で特別発言する志位和夫委員長=16日、山梨県昭和町

 日本共産党の志位和夫委員長は「日本の政治の到達点と革新懇運動」と題して特別発言しました。

 志位氏は冒頭、7月の参院選での支援に心からの感謝の気持ちをのべるとともに、9月末に開いた党第2回中央委員会総会で、「試練を乗り越え、必ず新しい前進を勝ち取る決意を固めあいました。革新懇運動の提唱者の党として、この運動の発展のために元気いっぱいがんばります」とあいさつしました。

 「いま日本の政治はどこまできているのかという角度から、革新懇運動の値打ちを考えてみたい」。こう述べた志位氏は、“二つの歴史のモノサシ”で到達点を考えることを提起しました。

2003年以降の7年間

 第一は、2003年以降の7年間という“歴史のモノサシ”です。志位氏は、03年から財界主導で「二大政党づくり」の動きを本格化させた経過をのべ、この動きは、日本共産党と革新勢力を締め出そうとした「最強の反共作戦」の企てであり、この動きとのたたかいはいまなお続いているが、同時に、「いま大きなほころびが生まれ、支配勢力の思惑通りには進まなくなってきています」とのべ、「『二大政党』で政権交代をやっても、政治は変わらないことが、現実の政権交代をやって、誰の目にも明らかになりつつあります」と指摘しました。

 志位氏は、「一言で言って民主党の自民党化が進んだ」ことを、沖縄・米軍普天間基地「移設」問題、消費税増税、「政治とカネ」という三つの角度から解明。国会でも、民主党と自民党は「対決」を演じているが、政治の中身ではまったく違いがない、汚い言葉と揚げ足取りの応酬になっていることを批判しました。

 志位氏は、政権交代でなにも変わらなかった背景には「『日米同盟』絶対、財界・大企業中心」という日本政治の「二つの異常」があるとし、「この土俵そのものを変えようというのが、革新懇運動の『三つの共同目標』です」と力説。よく「ねじれ国会」と言われるが、民主・自民の政治の中身には「ねじれ」はない、「『ねじれ』ているのは民主・自民による暮らし、平和を壊す間違った政治と、国民の利益です」とし、「この『ねじれ』をまっすぐにただそうというのが、革新懇と日本共産党の立場です。革新懇の出番の時代です」と呼びかけました。

1980年以降の30年

 第二の“歴史のモノサシ”は、1980年以降の30年です。志位氏は、この年に社会党と公明党が結んだ「社公合意」によって、日本共産党以外の政党が「二つの異常」という土俵にのる事態がつくられたことを解き明かし、「こうした道に日本の未来はないと、無党派の方々と日本共産党と力を合わせてつくったのが革新懇運動でした。30年前に勇気をもって掲げた革新の旗印こそが未来あるものだったことは、いまや明らかではないでしょうか」と語りかけました。

 そのうえで志位氏は、「二つの異常」に縛られた政治が、どの分野でも深刻な閉塞(へいそく)状況をつくりだし、支配勢力が彼らなりの展望もなんら示せなくなっている現状を明らかにするとともに、革新懇運動の「三つの共同目標」の立場こそが未来を照らす羅針盤となっていることを生き生きと明らかにしました。

深い危機に陥っている日本経済

 第一は、世界経済危機のなかでもとりわけ深い危機に陥っている日本経済の問題です。

 志位氏は、そのゆがみの象徴として、国民の暮らしは貧しくなる一方なのに、大企業の内部留保は1年間で233兆円から244兆円に増え、手元資金も52兆円と「空前のカネ余り」になっていることを告発しました。政府も「200兆円のカネを投資に誘導しなければ」「富が広く循環する経済構造を築く必要がある」とは言うものの、その方策といえば大企業減税であり、これではますますカネ余りがひどくなるだけと指摘。「家計を応援し、内需を活発にし、需要を起こせば、200兆円のおカネが生きた経済のなかで回るようになります。大企業中心から国民の暮らし最優先の政治に転換する。この方向でこそ経済の問題もちゃんとした答えがでてきます。ここでも革新懇が掲げている旗印に確信をもってすすみましょう」とのべました。

日米同盟不可侵の政治が行き詰まる

 第二は、日米軍事同盟を神聖不可侵とする政治が、ひどい行き詰まりにぶつかっていることです。志位氏は、この政治がつくりだした「二つのゆがみ」をただすことが大切だと語りました。

 一つは、日本を「外交力ゼロの国」にしてしまったことです。自民党から民主党に政権は代わっても、沖縄基地問題でも、核兵器問題でも、アメリカにモノが言えない「外交力ゼロの国」の現状はいよいよひどくなっていることを指摘し、憲法9条を生かした外交力で世界と日本の平和を築く日本への転換のために、ともに力をつくそうと呼びかけました。

 いま一つは、日本を「異常な軍事力偏重の国」としてしまったことです。志位氏は、尖閣問題での日本共産党の見解を紹介しながら、「この問題をとっても、政府の姿勢は、道理をもって領有の正当性を主張する外交活動が欠けたまま、自衛隊配備や日米軍事演習など軍事で対応するものとなっています。外交力なしの軍事対応は最悪です。この姿勢を根本から変えることが必要です」とのべました。

革新懇運動の魅力と値打ちが輝く時代に

 最後に志位氏は、「7年という“歴史のモノサシ”でも、30年という“歴史のモノサシ”でも、草の根の切実な要求実現と一体に『三つの共同目標』に基づく共同を広げるという、革新懇運動の魅力と値打ちがいよいよ輝く時代になってきています」とのべ、さらなる発展に日本共産党が力を尽くす決意を表明しました。