2010年9月26日(日)「しんぶん赤旗」

綱領の生命力を確信に 国民と深く結びつく党を

参院選教訓に党勢の上げ潮を いっせい地方選に勝利しよう

日本共産党第2回中央委員会総会開く


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(写真)報告する志位和夫委員長=25日、党本部

 日本共産党は25日、党本部で第2回中央委員会総会を開きました。会期は、27日までの3日間。参院選結果を受けて党内外の注目を集めた総会は初日、志位和夫委員長が、午前中に「参議院選挙の総括と教訓について」、午後に「政治情勢と党建設・選挙方針について」の二つの幹部会報告を行い、討論に入りました。二つの報告を通じて、参院選の総括と教訓を踏まえ、国政選挙での巻き返しに向けて、政策・論戦の発展方向、党勢の上げ潮をつくる新たな挑戦、いっせい地方選と次の国政選挙にむけた方針などが示されました。報告はインターネット中継によって全国で視聴され、初日から多数の反響が寄せられました。


志位委員長が二つの幹部会報告

情勢と方針について

 「政治情勢と党建設・選挙方針について」の報告に立った志位氏は、第一の主題として、政治情勢の特徴と日本共産党の任務を「いま日本の政治はどういう地点にあるのか」という角度から明らかにしました。

変革者の党の本領発揮を

 志位氏は、財界主導で本格的に開始された「二大政党づくり」の動きが、支配勢力によって“最強の反共体制”をつくるくわだてだったとして、2003年以降の流れを、(1)「二大政党づくり」が開始された時期(2)民主党政権が成立するまでの時期(3)2010年の参議院選挙前後の時期―の三つの局面で分析。「第三の局面」では、菅民主党政権が、米国と財界に忠誠を誓う「古い自民党政治の新しい執行者」となっていると告発するとともに、日本共産党がそれと正面から対決し、政治と社会の閉塞(へいそく)状況を打破する展望を明らかにしてたたかっていることを強調しました。

 そのうえで、いまどういう地点にあるかとして、(1)「二大政党づくり」のもと、すぐに政権にかかわらない政党を選択肢から除外するキャンペーンが日本共産党前進の圧力、障害となって働き、この困難を党がまだ打ち破るにいたっていない(2)同時に「二大政党づくり」が支配勢力の思惑通りに進まず、ほころびをみせている(3)同じ政治の土俵での政権交代なるものが、いかに空疎なものであるかが現実の政権交代を通じて明らかになりつつある(4)「政治を変えたい」という国民の新しい政治への探求は必ず発展せざるをえない―の4点を指摘しました。

 「いまの政治がどこまできているかを大きな視野でとらえるならば、そこには困難もあるが、相手の矛盾もあり、前進の展望も見えてくる」―。こう強調し、この立場で政治の変革者の党の本領を発揮して奮闘しようと訴えました。

直面する問題と党綱領の立場

 志位氏は、いま日本が直面しているどんな問題も、綱領の立場にたってこそ国民の願いにかなう解決策を示し、閉塞状況を打ち破る展望を示すことができると力説。綱領のもつ生命力を、経済危機打開、財政危機打開の道、米軍基地と安全保障の問題、「核兵器のない世界」をめざす取り組みの四つの角度で詳述し、たたかいの方向を提起しました。

 このなかで急激な円高問題を解明。直接的な国際的原因は巨額の投機マネーが円に流入していることからおこっているが、大本には、ごく少数の輸出大企業が労働者と中小企業の犠牲のうえに果てしないコスト削減を進めて「国際競争力」を強め、「円高体質」をつくってきた日本経済のゆがみがあると指摘しました。

 これらへの対策として、円高から労働者の雇用、中小企業の経営を守る緊急対策をとるとともに、日本経済を“外需頼み”から家計・内需主導に改革し、「円高体質」を根本からあらためていくことを要求。国際的な為替投機規制の取り組みを開始するよう世界各国に働きかけるべきだと提案しました。

 また、11月の沖縄県知事選挙でイハ(伊波)洋一候補の勝利に力を尽くす決意を表明しました。

強く大きな党へ“五つの挑戦”

 報告の第二の主題は、強く大きな党づくりの方針です。

 志位氏は、参議院選挙の総括と教訓を踏まえ、党勢の新たな上げ潮をつくることが党の死活にかかわる大問題だと強調し、「五つの挑戦」―(1)結びつきを基礎に「支部が主役」の党活動を発展させる(2)綱領的・世界観的確信を全党のものにする(3)党員拡大と「しんぶん赤旗」読者の拡大を何としても持続的前進の軌道にのせる(4)職場支部の活動を本格的前進の軌道にのせる(5)党のもつあらゆる力を結集して、青年・学生分野の前進をかちとる―を提案しました。

 志位氏は、それぞれで党中央のとりくみを具体的に提案。「結びつき」問題では、全国の支部に「結びつき・要求アンケート」の実施をよびかけ、党活動の新たな発展の力としたいとのべました。また、志位氏と不破哲三社会科学研究所長を講師にインターネット中継で「綱領・古典の連続教室」を開催すると発表しました。

 志位氏は、「五つの挑戦」一つひとつは新たな知恵と力を必要とする「挑戦」であり、それを実践するには従来の活動のあり方を抜本的に改善・刷新する必要があると強調。そのために求められる党機関の指導と活動のあり方の改革方向をよびかけました。

選挙勝利めざす方針について

 第三の主題は、いっせい地方選挙と総選挙勝利をめざす方針です。

 志位氏は、来年のいっせい地方選挙について、国政の熱い焦点が地方での政党選択にも大きな影響を与えるたたかいとなると指摘。同時に、住民の暮らしと地域経済をどう立て直し、地方自治を拡充するかが、大きな焦点だと強調しました。

 このなかで、民主党の「地域主権改革」について、憲法と地方自治法の精神を踏みにじり、地方自治体を破壊するものであることを3点にわたって指摘。住民の暮らしと福祉、地域経済の危機にさいして日本共産党が求める政策転換の方向を詳述しました。

 いっせい地方選挙をたたかう方針の前提として、特別に厳しく激しい選挙戦になることを正面から直視しながら、奮闘いかんでは勝利・前進できる条件が存在することを強調。選挙戦の目標と基本的構えでは、道府県議・政令市・東京特別区では現有議席を確実に守り、条件のあるところの新たな議席獲得をめざし、県議空白を克服することを目標とし、思い切った「重点主義」をとることを提起しました。市町村議選の目標、首長選挙の位置づけと構えなども示しました。

 きたるべき総選挙での前進をめざす取り組みでは、「650万票以上」の得票目標の達成を目指し、比例ブロックごとの要求・政策にもとづく活動を国会議員団とも連携して抜本的に強化することをよびかけました。

 最後に、全党がただちに取り組むべき活動として、「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」を今日の情勢の新たな進展の中で、大いに発展させようとよびかけました。


参院選の総括と教訓

 「参議院選挙の総括と教訓について」の報告に立った志位和夫委員長は、「党内外からの意見・批判に真しに耳を傾け、掘り下げた自己検討を行う」見地で、直接の聞き取りや、寄せられた5千を超える人々からの意見や感想の一つひとつを検討し、自己分析したと報告。政治論戦、選挙活動、党の自力の問題にわたって、今後の改善、強化、発展方向を明らかにしました。

 政治論戦については、日本共産党が掲げた政策は国民の利益にかなったものだったが、同時にいくつかの重要な弱点があったとのべ、三つの角度から教訓を明らかにしました。

 第一は、どんな問題でも批判と同時に建設的なメッセージが伝わってこそ国民の心に響く訴えになるということです。志位氏は、それを消費税論戦の弱点の自己分析から明らかにした上で、有権者の反応をリアルに積極的・能動的につかみ、選挙指導に生かしていくことも教訓としたいとのべました。

 第二は、党綱領が示す「日本改革の方針」を語るとともに、生きた情勢の進展にそくして豊かに具体化する活動についてです。

 志位氏は、今回の選挙は、民主党政権の裏切りで国民の政治に対する閉塞(へいそく)感が深まり、「日本の政治をどう変えるのか」という大きなビジョンを示すことが強く求められていたと指摘。それだけに、「日本改革の方針」を縦横に生かしてたたかう姿勢を貫くべきだったが、この点での活動に弱点があったとのべました。

 一つは、支配勢力による思想攻撃、国民の意識にかみあって、「日本改革の方針」を広く明らかにする活動です。

 この点では、(1)「異常な対米従属」「財界・大企業の横暴な支配」という「二つの異常」の実態を具体的事実で知らせていく(2)綱領の立場は「大企業の否定」や「敵視」、あるいは「反米」ではないことなど「日本改革の方針」を丁寧に伝えていく(3)「海兵隊=抑止力」論や「大企業の国際競争力」論など有害な政治を押し付ける誤った考え方とはきっぱりたたかう―という3点での努力が必要だったとのべ、この立場から中央の活動を自己点検しました。

 また、生きた情勢の進展にそくして「日本改革の方針」を具体化するという点では、暮らし最優先の経済成長論を「五つの提言」として発表するなど積極的努力があったものの、政策活動に、重大な立ち遅れや弱点、政策的発展の努力が求められる問題があったとして、いくつかの具体的な課題をのべました。

 第三は、国政における日本共産党の値打ちの押し出しにかかわる問題点です。

 志位氏は、「共産党は良いことをいうが力がない」という声が少なくない中で、「党を伸ばせば現実の政治を動かす大きな力となる」ことをどう訴えるかは、努力が必要な検討課題だと強調。「決定的な場面」で党の果たした役割を豊かな実例で語る活動に知恵と力をつくすことをのべました。

 選挙活動について報告をすすめた志位氏は、「国民との結びつきを生かし、広げることを軸にして、党支持の波をつくりだしていく」ことが基本だとし、中央としてここに本腰を入れて取り組む上で弱点があったとのべました。

 志位氏は、(1)対話と支持拡大の活動で、党員の結びつきを生かし、広げる活動(2)「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」を選挙活動の軸にすえる点(3)支部に対応する単位後援会を発展させる努力―などの点で中央としての指導と援助についての改善の方向を示しました。

 選挙活動をこうした本来のあり方に改革するためには、党機関の指導と援助を抜本的に改善・刷新し、活動の重心を思い切って支部への具体的な指導と援助にうつすことが必要不可欠だと強調。長期多項目にわたる「日報」の問題や、過度の電話による指導・点検を中央を先頭に改めることなどを打ち出しました。

 最後に志位氏は、参院選での後退の原因は、その根本には、党の自力の問題があったと強調。党の実態を(1)党員の実態(活動参加、世代的構成、党を語る力の問題)(2)「しんぶん赤旗」読者の実態(3)党機関の体制の問題―という三つの角度から明らかにする報告を行いました。

 その上で「全党の知恵と力を結集して、高い政治的、理論的な力量と国民と広く深く結びついた強大な組織力をもった日本共産党を何としても築こう」と呼びかけました。