2010年7月10日(土)「しんぶん赤旗」

大激動の最終盤――増税反対の声はこぞって日本共産党へ

志位委員長の訴えから(要旨)


 最終盤の志位委員長の訴えのなかから、消費税増税問題についての訴えを紹介します。


 みなさんこんにちは。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます。(拍手)

大企業減税のための消費税増税――事の真相はすっかり明らかに

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(写真)街頭演説する志位和夫委員長=9日、東京・有楽町駅前

 消費税の大増税が大きな争点となりました。もともと、消費税というのは、所得の少ない方に重くのしかかり、大企業は1円も負担しなくてすむ、最悪の不公平税制ですから、日本共産党はどんなかたちであれ、増税に反対です。ただ、今度の消費税計画は、特別にたちが悪いということを私は訴えたいのです。

 何のための消費税増税なのか。この間の何回かの党首討論で議論になりました。菅首相は、「福祉のため」「財政再建のため」というわけですが、私は反論いたしました。そう言うけれど、民主党のマニフェストをみると、「法人税率の引き下げ」と書いてあるじゃないですか。今度の消費税増税は、大企業の法人税の減税とセットで出されているじゃないですか。セットということになりましたらどうなりますか。

 財界は、法人税の税率をいまの40%から25%に、4割も下げろと言っています。政府も同じ25%という数字を出しています。4割も下げてしまったら、税収に年間9兆円の大穴が開くんです。消費税を5%上げたとして、新たに財源となるのは11兆円ですから、ほとんどは大企業減税に消えてしまうじゃないですか。

 私が、事実をしめしてこのことをただしますと、菅首相は、何も反論できなくなってしまいました。事の真相がすっかり明らかになりました。今度の消費税増税の目的は、福祉のためではありません。財政再建のためでもありません。大企業減税のための財源づくり――ここに本当の目的があるのです(拍手)。大企業減税のための消費税増税には絶対反対、この願いを日本共産党と小池あきらさんにたくしてください。(大きな拍手)

法人税減税と消費税増税のセットこそ、財政破たんへの道

 消費税増税の目的が明らかにされるなかで、菅首相がいっているのは、「いま消費税を上げなかったら、ギリシャみたいになってしまう」という「脅し」です。私は、これにも反論いたしました。

 ギリシャでどうして財政破たんがおこったのか。ギリシャでは、この10年間に法人税率を、40%から24%まで下げているんです。日本の財政規模で計算すると、財政に毎年何兆円という大穴を開けてしまいました。同じ時期にギリシャでは、消費税率を18%から23%に5%引き上げました。

 菅首相がこれからやろうとしていることを10年前からやった結果が、財政破たんじゃないですか。「消費税を上げなかったらギリシャのようになる」じゃないんです。法人税減税と消費税増税をセットでやって、日本をギリシャのようにしてしまおうとしているのが、菅政権ではないですか(拍手)。これにも首相からの反論はありませんでした。

財源問題での日本共産党の提案――三つの政策転換を

 それでは、社会保障、暮らし、財政再建のための財源をどうするか。日本共産党は、しっかりした提案をしています。政治の姿勢を変えれば、展望が開かれます。三つのカギがあります。

5兆円の軍事費にメス、米軍関係予算の撤廃を

 一つは、無駄遣いを徹底的になくすことです。民主党政権は、事業仕分けといいますけれど、対象になっていないものがありますね。年間5兆円の軍事費です。ここにこそ、縮減のメスを入れようではありませんか(拍手)。わけても、米軍への「思いやり」予算、グアムに基地をつくる予算など、米軍関係予算が3370億円に膨れ上がりました。どうして米軍が日本からなかなか出て行かないかというと、一つの原因は居心地がいいからです。お金がたくさん入ってくるからです。だったらみなさん、3370億円の米軍関係予算を撤廃して、米軍は荷物をまとめて本国に帰ってもらおうではありませんか。(拍手)

大企業・大資産家に相応の負担を――この不公平税制をただせ

 二つ目は、とるべきところから、税金をとるということです。大企業や大資産家への行き過ぎた減税を見直しましょう。財界は、「日本の法人税率40%は高すぎる」といいますが、これも事実と違います。日本の大企業には、いろいろな優遇税制があって、税金を大まけにまけてやっているんです。大企業は法人税を実際は40%も払っていません。上位100社でいったら30%しか払っていない。欧米と同じです。多国籍企業でいいますと、ソニーは12%、パナソニックは17%。さらに三つの巨大銀行――三菱UFJ、三井住友、みずほ――は、この10年以上にわたって、法人税を1円も払っていないんです。

 大銀行といえば、国民の税金を「不良債権処理」という掛け声で、何十兆円も入れて、それなのに中小企業への貸し渋り、貸しはがしをさんざんやって、そのうえ税金を1円も払ってない。これこそ正すべき不公平税制の最たるものではないでしょうか(大きな拍手)。大企業、大資産家からは、もうけ相応の負担をしてもらうというのが、日本共産党の立場です。

大企業の過剰な内部留保と利益を、雇用と中小企業に還元せよ

 三つ目は、大企業の過剰なため込み金を社会に還元させることです。大企業はため込み金、内部留保を229兆円ももっています。正社員を派遣におきかえ、下請けから搾りあげて、ためこんだお金です。この過剰な内部留保と利益を、社会に還元させようではないですか。

 雇用に還元させて、最低賃金を時給1000円以上に引き上げて、人間らしく暮らせる賃金を保障させようじゃありませんか(拍手)。下請けいじめをやめさせて、大企業と中小企業との公正な取引のルールをつくろうではありませんか。(拍手)

 こうやって大企業の過剰なため込み金と利益を、雇用と中小企業に還元すれば、家計が元気になり、内需が活発になります。そして経済も成長して税収も入ってくる。これが日本共産党版の「暮らし応援の経済成長戦略」ですが、いかがでしょう。(大きな拍手)

 無駄の一掃、とるべきところからとる、大企業のため込み金の還元、これらをやりますと、財源の問題も解決の展望が開かれます。

 ですから、私は、重ねて訴えたい。どうか今度の選挙では安心して、「増税ノー」の声を上げようではありませんか(拍手)。その声を日本共産党にお寄せください。小池あきらさんに託してください。よろしくお願いします。(大きな拍手)

来年にも消費税増税法案――参議院選挙できびしい審判をくだそう

 選挙戦は最終盤ですが、情勢が大きく変わりつつあります。世論調査でも、菅政権の支持率は真っ逆さまに落ちています。それと同時に、消費税増税反対の声がどんどん増えています。

 そういうなかで、菅首相のいろいろな動揺が始まりました。この前、東北に菅首相が演説にいったさいに、消費税増税でいったんお金をいただくけれども、所得の少ない人にはお返しするといいだしました。還付するといいだしたんです。還付する対象も、青森では年収200万円以下、秋田では300万円以下、山形では400万円以下と、バナナのたたき売りみたいに(笑い)、変わっていくんですね。私はいいたい。後で返すくらいなら、初めからとるなと(大きな拍手)。ただ、こういうことをいいだしたのは、菅首相も、消費税という税金が弱い者いじめの税金だということを自ら認めたことになりますね。日本共産党のがんばりが、そして国民の怒りが相手を追い詰めているじゃありませんか。(拍手)

 菅首相は、こういうごまかしもいいだしました。“今度の公約は増税を議論するというだけで、上げるのは先の話です”。それで私は、一昨日(6日)の夜の党首討論会で、そういうけれど、民主党の「参院選マニフェストQ&A」という文書には、“2010年度中に消費税増税の方針を決め、すみやかに法案を提出し成立を期す”と書いてある。つまり来年中にも消費税増税法案を通すということを書いてある。これが菅首相の立場なんですかと聞きました。菅さんは、もごもご言うだけで答えはありません。否定しませんでした。これは重大ではないでしょうか。民主党政権は、この選挙で多数を得たら、来年にも消費税増税法案を通してしまって、つぎの総選挙では、法案を通したうえで、国民に“事後追認”させるということなのです。こんなことを許すわけにはまいりません。この参院選での国民の審判がほんとうに大切だということを訴えたいのであります。(拍手)

日本共産党躍進で、「増税なし」の結果を

 みなさん。1979年に、ときの大平内閣が、一般消費税というのを持ち出してきたことがあります。そのさいに日本共産党が総選挙で大躍進して、それを撤回させたことがあります。ある雑誌が、「共産党勝って『増税なし』サンキュー」と書きました。みなさん。これをもう一度やろうではありませんか。日本共産党躍進で、「増税なし」の結果をつくろうではありませんか。(大きな拍手)