2010年6月23日(水)「しんぶん赤旗」
参院選(24日公示、7月11日投票)を目前に日本記者クラブ主催の「9党党首に聞く」が22日、都内で開かれました。日本共産党の志位和夫委員長は、大企業減税の財源のための消費税増税、米軍普天間基地問題での米海兵隊の「抑止力」論の誤りという大争点の核心にずばりと切り込み、「相手がアメリカでも、財界でも、国民の立場で堂々とモノが言える党」の役割が鮮明になりました。
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志位氏は冒頭の発言の中で、消費税は「最悪の不公平税制だ」と指摘し、民主・自民両党がそろって税率10%を「公約」したことを批判するとともに、とりわけ重大な問題は、消費税増税が大企業の法人税減税とセットで打ち出されていることだと強調しました。
その上で、「消費税増税の目的は、財政再建でも社会保障財源でもない。大企業減税の財源づくりだ」と、絶対反対の立場を表明しました。
志位氏は、記者との質疑の中で、財界の方針通り、法人実効税率を25%に下げたら税収に9兆円もの穴が開き、消費税の5%増税で生まれる11兆円の財源のほとんどは法人税減税の財源になってしまうと指摘しました。
菅直人首相はこれに対し気色ばみ、「よく共産党のみなさんが、法人税を下げてそれを穴埋めするために消費税を考えているといわれるが、まったくの間違いだ」などと発言しました。
志位氏はすかさず、法人税減税が、財界の方針だけにではなく、民主党マニフェストにも明記され、経済産業省の「産業構造ビジョン」には25%への減税が盛り込まれている事実を指摘し、「こういうやり方では決して福祉の財源はつくれない」と重ねて批判しました。
「(9兆円の法人税減税となるかは)制度設計の問題」と逃げざるをえなくなった菅首相。志位氏は「法人税が高すぎる」という議論についても、「根拠がない。(大企業には)研究開発減税などの優遇税制があることに加え、社会保険料負担も軽い」と指摘しました。
もう一つの大争点である普天間問題で、志位氏は、菅首相に対して、「日米合意」を白紙撤回し、無条件撤去を求めて米国と本腰の交渉をするよう強く求めました。
質疑で記者から「『日本はアメリカに頼りすぎだ』と一貫して主張している共産党は、今回の民主党の(普天間問題での)“軌道修正”をどうみるか」と問われた志位氏。「海兵隊は抑止力だとの呪縛(じゅばく)にとらわれたところに民主党の変質があった」と指摘し、菅首相が、かつて主張していた海兵隊「抑止力」否定論をあっさり投げ捨てたことについて「大きなアメリカ追随の姿勢があらわれているといわざるをえない」と強調しました。
首相に対して、記者側からも「問題は『海兵隊の抑止力』。そのへんを一から共産党のいうような形で見直す考えはあるか」との質問が飛びましたが、菅首相は「いま私が政権の責任者になった中ではトータルの問題として米軍の存在が大きな意味での抑止力という機能を果たしている」などと述べ、「抑止力」論に固執する姿勢をしめしました。