2010年6月12日(土)「しんぶん赤旗」

菅首相の所信表明受け会見

志位委員長の一問一答


 日本共産党の志位和夫委員長が11日、菅直人首相の所信表明演説を受けておこなった記者会見の一問一答は以下の通りです。

 (所信表明の印象は)

 これまで民主党といえば、「国民の生活が第一」というスローガンを必ず言ったものでした。昨年の総選挙でのスローガンでもありました。

 ところが、私は、菅さんのこの間の発言を、民主党代表選出馬の会見、総理に就任したときの会見、そして今回の所信表明演説と注意深く聞いてきましたが、この「国民の生活が第一」という言葉が消えてしまった。これがたいへん印象的でした。これは、いまの政権がどちらの方向を向いているかを象徴的にあらわしているのではないかと思います。

 (消費税問題について)

 今回の所信表明演説に、「財政健全化」ということで「超党派」の議論を呼びかける一節がありました。自民党の「財政健全化責任法案」に言及して、いっしょにやろうという呼びかけでしたが、自民党の「財政健全化責任法案」には、消費税の値上げをはっきり書いてあるのです。これにたいして「超党派」で合意をつくろうということになれば、消費税増税というところでの民主、自民の“大連立”という方向の危険があるということを言わなければなりません。

 この問題では4月に日本経団連が法人税減税と消費税増税を一体にすすめる方向性を出し、6月には経済産業省が「産業構造ビジョン」の中で法人税の減税を打ち出しました。そしていま、菅内閣の閣僚たちがわれもわれもと消費税増税の議論をおこなうべきだと言い出しています。

 法人税を下げ、消費税を上げるという財界の要求に応えた動きが進められる危険があることに、私たちは警戒をもって対する必要がある。そういう方向には私たちは絶対に反対です。

 (菅政権の特徴について)

 まずは、鳩山前政権がなぜあのような失敗をしたかということが問われるはずです。

 普天間の問題、「政治とカネ」の問題、暮らしの問題とさまざまありますが、外交ではアメリカにモノが言えない政治、内政では財界にモノがいえない政治が行き詰まった、ここに一番の教訓があったと思うのです。

 ところが菅首相はそういう教訓を引き出すのではなくて、逆に、アメリカには忠誠を誓う。日米合意はしっかりやりますと忠誠を誓う。それから財界に身を寄せて、消費税の増税、あるいは法人税の減税、この財界の要求をのんでいこうという方向に向かいつつあるのではないか。これらの問題も代表質問でただしていきたいと考えています。