2010年5月15日(土)「しんぶん赤旗」
公示まで1カ月余と目前に迫った参院選の勝利に向け、日本共産党の志位和夫委員長を迎えた演説会が14日、東京都渋谷区の東京体育館で開かれました。会場は「志位さんの初訪米の報告を聞きたい」という人などで3階席までぎっしりで、立って聴き入る人も。訴えに盛んに声援と拍手が送られました。
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JA東京中央会から、党が発表した都市農業振興政策に触れて「都市農地保全、ならびに『都市農業振興法』の制定に向け共に運動をしていきましょう」としたメッセージが寄せられました。参院選を自らの選挙と一体でたたかう地方議員・候補者が紹介され、大きな拍手が続きました。
田村智子比例予定候補は、「米国に対等の立場でモノが言え、基地撤去を国民と力を合わせて実現できる新しい政治を切り開くために日本共産党を伸ばしてほしい。今度こそ国会へ駆けあがる」と決意を表明。小池晃政策委員長・参院東京選挙区予定候補は、民主党政権の後期高齢者医療制度の公約破りや、米軍・普天間基地をめぐる対応を批判し、「国民目線で政治を前に進め、政治の根っこにある問題の治療ができるのは日本共産党だけ。私のすべてをぶつけて、なにがなんでも勝ち抜く決意です。力を貸してください」と気迫を込めて訴えました。
志位氏は、民主党政権への国民の失望が怒りに変わっていると指摘。肝心要の問題での裏切りの根本にある「『財界とアメリカにモノが言えない政治』をこのまま続けていいのか――ここに参院選の大争点があります」と強調しました。
「財界にモノが言えない政治」でいいのか―。この問題で志位氏は、財界系シンクタンク「双日総合研究所」のリポートが、世界経済危機のもとで日本経済が最も激しく落ち込んでいる原因の一つは、“日本の工場が世界の需要の変動に合わせて生産を増減させる「調整弁」とされていることにある”と分析していることを紹介しました。
同リポートでは、日本だけにしかない、異常な(1)下請けいじめ、(2)際限のない過密労働、(3)非正規雇用の問題、(4)青天井の残業と長時間労働――という四つのゆがみが、それを可能にしたことを指摘しています。
志位氏は「『ルールなき資本主義』によって日本が世界の工場の『調整弁』とされ、働く人々や下請け中小企業を犠牲にしながら、一握りの大企業が、肥え太っていく。この仕組みを大本から変えよう」とのべ、「ルールある経済社会」づくりを訴えました。
財界・大企業は口を開けば「国際競争力」といいますが、(1)自動車産業で働く労働者の賃金は、アメリカは日本の2倍、ドイツは3倍(2)大企業の税金と社会保険料の負担は、ドイツは日本の1・21倍、フランスは1・37倍だと事実を指摘。「『国際競争力』を言う前にまともに賃金を払え、世間並みの税金と社会保険料を払え」との訴えに会場は大きな拍手でわきかえりました。
「こういうことは企業献金をもらっている党では言えません」。志位氏が、民主党も自民党もみんなの党も「法人税の減税」と「消費税の増税」を口にしていることにふれながら、大企業に正面からモノの言える党を伸ばしてこそ暮らしを守り経済を立て直せることを訴えました。
「アメリカにモノが言えない政治」でいいのか。この問題で志位氏は、先日の初訪米で「二つの仕事」ができたと指摘。(1)NPT(核不拡散条約)再検討会議にあたって「核兵器のない世界」を願う被爆国・日本国民の声を国際社会に訴える(2)「基地のない沖縄」「対等・平等・友好の日米関係」を願う、沖縄県民、国民の声を直接米国政府に伝える―という仕事です。
再検討会議の議長や各国代表らと心が通った会談の様子をいきいきと報告。「核兵器廃絶のための国際交渉の開始の声は国際政治の大勢になっています」「世界諸国民の世論と運動こそ、『核兵器のない世界』への流れを前に進める推進力です」と現地での活動で得た実感を語りました。
米軍基地の問題では、米国務省日本部長と会談し、「普天間基地の県内移設では県民の合意は絶対に得られない。無条件撤去しか道はない」と率直に伝えたことを紹介。米側から「見解は違っても意見交換は有益」との表明があり、話し合いを続けるルートが開かれたことは極めて重要だとのべました。
その上で、「私たちが主張し、行動したようなことは本来、日本政府が行ってしかるべきことではないか」と訴えると、ひときわ大きな拍手がわき起こりました。
最後に志位氏が、「『核抑止』『海兵隊は抑止力』という呪縛(じゅばく)にとらわれ、アメリカにモノを言えない政治でいいのか。私たちがいま野党として主張していることを、早く日本政府として主張できるような世の中にしようではありませんか」と党躍進への支援を呼びかけると、聴衆は大きな拍手で応えました。