2010年5月7日(金)「しんぶん赤旗」
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【モントピリア(米バーモント州)=西村央】「核兵器廃絶条約の交渉を米大統領に促す決議」を上下両院で採択した米北東部のバーモント州。訪米中の志位和夫委員長は4日、同州モントピリアにある州議会議事堂を訪ね、両院議長と懇談しました。同日午後には下院本会議場で、「私たちの州議会の決議に注目し、視察に訪れた日本の国会議員」として紹介され、総立ちとなった議員から歓迎の拍手を受けました。
志位委員長、緒方靖夫副委員長、笠井亮衆議院議員が本会議場で着席を指定された席は、上下両院協議会が開かれる際に上院議員が着席する場所。議長席のすぐ隣です。
議長の指名を得たスージー・ウィゾワティ議員は、「本日、核兵器廃絶条約の交渉を求めるバーモント州議会の決議に注目した日本の国会議員の一行がお見えになっています」と発言して、一人ひとりの名前をあげて紹介。「これは私たちの決議を大きく報道した記事です」と4月2日付「しんぶん赤旗」のコピーを高々と掲げました。
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同州の下院定数は150。下院決議は全会一致で採択されていますが、議員たちは、全員が立ち上がって、志位委員長一行に大きく長く続く拍手を送りました。
この日、議会食堂の前には、日本共産党の衆議院議員が訪れることを知らせるニュースと、志位委員長ら一行の訪問目的や経歴が書かれた文書も配布されていました。
志位委員長は、昼休み時間に議事堂内のホールで議員を前にあいさつし、「核兵器廃絶のための国際交渉の開始は、日本共産党も強く要請している点です。皆さん方がこの交渉開始を求める決議をあげたことをうれしく思っています」と、連帯を表明しました。
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カナダ国境に近い北国バーモントは今が新緑の季節。州を代表する樹であるリンゴは1830年代に建設された由緒ある議事堂周辺でも、白いかれんな花を咲かせていました。
議事堂に一歩入って目をひくのは、ホールの壁一面に掲げられたバーモントの兵士が奴隷解放のために参加した南北戦争激戦地の絵画です。
志位委員長は昼休み時にこのホールに急きょ集まった約50人の議員を前にあいさつ。
「バーモントの名前の由来が、緑の山というフランス語から来ていることを知りました。その名の通りの美しい風景で、すばらしい季節に訪問し、すばらしい人々と交流できたことを心からうれしく思っています」
こう述べ、集まった議員から大きな拍手を浴びながら、志位委員長は続けます。
「皆さん方が上下両院で、核兵器廃絶交渉の開始を求める決議を採択したことをニュースで知り、今日の訪問のきっかけとなりました。ここに私たちの新聞『赤旗』の記事があります。『米バーモント州上院 核兵器廃絶の交渉 大統領に促す決議』との見出しです」
志位委員長が記事を示すと、議員からは再び拍手が起こります。
バーモント州議会は、上下院とも3月に決議を採択。「核兵器が文明と人類、生命そのものを脅かし続けている」として、オバマ大統領に対し、核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けて、検証可能な核兵器廃絶交渉の開始を求める内容です。
この日、シャプ・スミス下院議長は、志位委員長を議長室に招き、会談しました。同議長は、今回の決議にかけた議会の意思を志位委員長にこう説明しました。
「(決議は)核兵器廃絶、世界の平和のための共同したとりくみの一つと思っています。上下両院の皆さんの努力が結実したものですが、核兵器のない世界の実現を私たちの目でみたい。それが私たちの気持ちなのです」
会談中、ピーター・シュムリン上院議長も多忙な日程の合間を縫って会談に顔を出し、「私たちの議会を訪れていただき、ありがとうございます」と志位委員長に語りかけました。
議員食堂の入り口には、今回の議会決議を市民のサイドから働きかけた「バーモント・アクション・フォー・ピース」のジョゼフ・ガインザ氏らが準備した「バーモント州 核廃絶のための決議採択」との大きなポスターも掲げられていました。
ニューヨークでのNPT再検討会議の傍聴、国連関係者、各国代表団への核兵器廃絶に向けた交渉開始を要請する過密な日程を縫ってのバーモント州訪問。
志位委員長はその印象を次のように語ります。
「バーモントは、南北戦争では奴隷解放のために、人口比で最も多くの兵士を北軍に送り出し、その犠牲の上に奴隷解放を実現したことを州の人たちが誇りに思っていることをうかがいました。そして今、核兵器をなくす課題では、全米で最も進んだ役割を果たしています。そのバーモントを今回訪問し、核兵器廃絶への思いを交換できたことは意義深いものがありました」(モントピリア=西村央)