2010年4月11日(日)「しんぶん赤旗」
経済危機から国民のくらしをどう守るのか―日本共産党大阪府委員会は10日、志位和夫委員長を迎えて経済懇談会を開きました。先月11日に開いた懇談会に続くもので、都道府県単位では初めてです。会社社長、大学副学長、社会福祉法人の理事長、労組関係者など多彩な人々が参加、自治体からも能勢町長、八尾市副市長らが出席するなど、用意したいすも足りなくなるほど。会場いっぱいの470人でともに日本経済の明日を考えるつどいとなりました。
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報告に立った志位氏は、まず、日本が「成長の止まった、国民が貧しくなった国」となり、世界の中でも深刻な経済危機に陥っているのは、「『構造改革』『国際競争力』の掛け声で進められた『二重の規制緩和』の結果だ」と強調しました。
「労働と産業の規制緩和」で大企業が国民から吸い上げた富が過剰な内部留保として蓄積されているのに加え、「資本の規制緩和」で投機マネーが株式市場を支配するようになったと指摘。株主配当偏重と、内部留保の増加で株価をひき上げる「株主への優遇競争」が企業にも強制されていると話しました。
志位氏は、「このゆがんだ構造を大本から転換しないと日本経済に明日はない」と強調。大企業の過剰な内部留保と利益を、国民のくらしに還元する「ルールある経済社会」を築く経済改革の大方針を、雇用、中小企業、社会保障、財源の問題で詳しく語りました。
その上で、志位氏は、こうした改革に財界が「国際競争力がそがれる」「企業が海外に逃げてしまう」と抵抗していることについて三つの事実で反論しました。
一つは、日本の大企業の税・社会保障負担は、高くはないという事実です。志位氏は、フランスは日本の1・3倍、ドイツは1・2倍だと指摘。欧州にも進出している大企業が日本で世間並みの負担ができない道理はないと強調しました。
二つ目は、「国際競争力」至上主義こそ日本経済の成長力を奪ったという事実です。志位氏は、一握りの大企業だけを応援する政策の破たんを証明したのがこの10年間だとのべました。
三つ目は、「国際競争力」至上主義こそが、産業空洞化の元凶でもあるという事実です。志位氏は、「国際競争力」強化の名のもとで行われた諸政策が、国内の需要を押しつぶしてしまった結果、急増した大企業の利益も、国内の設備投資には回らず、海外での投資に回っていると指摘しました。
経済産業省の調査でも、大企業製造業の海外への投資理由の1位は「現地の需要」(70・3%)であり、「安価な労働力」は29・7%、「税制などの優遇措置」は15・2%にすぎないと紹介。「ルールある経済社会」を築き、国内需要を活発にしてこそ、産業空洞化問題の解決の道も開かれるとのべ、「日本共産党版『成長戦略』こそ日本経済の未来を開き、くらしをよくする道です」と力説しました。
志位氏は閉会あいさつで「ひとつひとつの発言をしっかり受け止め、活動に生かしていきたい」とのべるとともに、最後に、昔から大阪商人には「売り手よし。買い手よし。世間よし」の「三方よし」という言葉があるとのべ、「自分の利益だけを考えるのではなく、行商先の人々を尊重し、その取引が社会全体を良くするという昔からの大阪のこの理念は、日本共産党のいう『大企業に社会的責任を果たさせる』『ルールある経済社会』とも共通しているのではないでしょうか」と語り、参院選にむけた支援を呼びかけました。
懇談では、日本共産党の清水ただし参院大阪選挙区予定候補が司会を務め、吉井英勝衆院議員らが参加しました。