2010年2月20日(土)「しんぶん赤旗」

千葉県医師連盟との懇談会での

志位委員長のあいさつ


 18日に千葉市内で行われた日本共産党千葉県委員会と千葉県医師連盟との懇談会で、志位和夫委員長がおこなったあいさつを紹介します。


写真

(写真)懇談会であいさつする志位和夫委員長=18日、千葉市内のホテル

三つの点での協力を

 ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます。

 今日は、医師会のみなさんとこういう懇談の場を持たせていただきまして、まことにありがとうございます。時代も変わったな(笑い)、という感を深くいたしますが、いま藤森宗徳医師連盟委員長からお話がありましたけれども、(今後は)どの政党とも全方位で意見交換をされていくというお話でした。私たちも、みなさんと胸襟を開いて語り合い、日本のよりよい前途、そして国民の健康や命のために力をあわせていきたいと考えております。

 最近の日本医師会のみなさんの一連の「提言」などを拝見させていただいておりまして、私は、三つの点での協力が可能なのではないかというふうに感じております。

診療報酬の抜本的増額

 一つは、診療報酬の問題であります。

 診療報酬については、自公政権の時代に、2002年度から08年度までずーっと下げられ続けまして、7・68%も下げられ、総額で2・6兆円もの医療費削減となり、地域医療がズタズタに壊されていくという結果になりました。

 そして新政権が誕生し、新政権は、ともかくも診療報酬の大幅引き上げを公約したのでありますが、2010年度の内容を見ますと、それが裏切られる結果になりつつあります。700億円の増額という数字が最初に出てきまして、これ自体もまともな増額とはよべない、微増だったのですが、その後、そのうち600億円は薬価削減で消えてしまう、実は100億円しか増えない、0・03%しか増えないということがわかりました。事実上の「ゼロ回答」だったわけです。ずーっと減らされてきたものを上げないというわけですから、これは削減した状態を続けるということにほかならないと、いわなければなりません。

 そして、もう一つ、今回の診療報酬の改定で問題なのは、全体のパイが大きくならないのに加えて、高度医療を担う大病院に重点的に配分されて、地域医療を担っている診療所や中小の病院は引き下げられてしまう。再診料が引き下げられたら地域医療がますます崩壊すると大問題になっています。こういうやり方も、私はどうしても容認するわけにはまいりません。大病院と診療所がそれぞれ力を合わせてこそ、地域医療を守り、国民の健康と命を守っていくことができるわけですから、一方を削って、他方に使うというやり方ではなく、診療報酬の抜本的な増額が必要です。私は、昨日(17日)、鳩山総理と会談し、この問題も含めて予算の抜本組み替えを提起してまいりましたが、国会でも、診療報酬の抜本的増額を要求し、力を尽くすことをお約束したいと思います。(拍手)

医療費窓口負担を軽減する

 二つ目は、医療費の窓口負担の問題であります。

 この問題について、私たちは、日本の3割という窓口負担はあまりにも重過ぎる、世界の主要国で類例のないものだと批判してきました。実際、外国特派員協会などで、日本の医療費の窓口負担は3割だという話をしますと、みんなびっくりします。ヨーロッパは、多くの国で無料となっています。イギリスなどは逆に(患者さんに)交通費を支給するというような状況ですから、「3割負担というのは、これは医療保険といえないじゃないですか」と、こう外国の方々からよく言われます。

 そういう状況のもとで、日本医師会が去年の10月の「提言」で医療費の窓口負担の軽減を打ち出された。現役世代の3割負担を2割にする。高齢者を1割に統一し、子どもの医療費は国の制度として無料にする、という方向を打ち出された。これは本当に心強いことであります。私たちも医療費の窓口負担は、ヨーロッパのような無料をめざしつつ、軽減していくことを要求しておりますが、ぜひこれは実現したいと考えております。

 この問題については、先日、私は、衆議院本会議の代表質問で取り上げまして、小泉内閣が窓口負担を3割に引き上げる改悪をすすめたときに、民主党も含めた当時の野党4党で共同して、「3割負担凍結法案」というのを出したのです。そのときに民主党の代表はなんといったかというと、「3割負担になったら受診抑制がおこって、国民の健康が壊される」といって、3割負担に反対したのです。私は、質問で、この事実をしめして、鳩山首相に、「受診抑制が起こっているという認識がありますか。窓口負担は下げるべきじゃないですか」と提起しました。しかし、首相の答弁は、「受診は妨げられてはいない」というものでした。おかしいですね。野党の時には受診抑制があって、与党になると受診抑制がなくなるということはありえないわけでありまして(笑い)、国民の健康を守っていくうえで、窓口負担の引き下げをぜひご一緒に実現したいと思います。

 この問題では、医師会のみなさんが、診療報酬の増額と窓口負担の引き下げをセットで打ち出されたことは、私はたいへんに大事だと思います。私たちが「診療報酬を上げなさい」といいますと、必ず厚生労働省は「それでは国民の窓口負担も増えますよ」といってきます。そういう理屈をたてて、診療報酬の引き上げに抵抗するのです。ですから診療報酬の増額と同時に、窓口負担を下げるということをセットで要求していくことは、国民的に大きな支持を広げるうえでも大切だと考えています。

後期医療制度の撤廃を

 三つ目は、後期高齢者医療制度の問題です。

 この制度は、お年寄りを差別する制度として、世界に類例のないものです。ぜひすみやかな撤廃を求めたい。この問題でも、民主党はかつて、「速やかな撤廃」ということを掲げて、私たちと一緒に「撤廃」の法案を出したのですけれども、政権につきましたら、「なかなかこれは事務作業が時間がかかる」とか言い出しまして、「4年先」に先送りするということになり、そして今年4月に保険料が値上げになりますが、この手当てもしないという、二重の問題点がありますので、ぜひこの点でもご協力いただければと願っております。

一致点での協力こそ大切

 私たち日本共産党は、みなさんと一致点で協力することを願っておりまして、決して共産党を支持してくれということを団体に求めるわけではありません(笑い)。これは、どの団体にたいしても、特定の政党を支持するようなことを求めないというのが、私たちの大原則なのであります。

 医師会というのは、国民・患者さんの健康や命を守るために、みんなで協力しようという団体だと思います。会員さんの思想・信条はさまざまあると思います。

 国民要求の実現を求める団体はさまざまありますが、要求実現で集まっておられる団体は、どんな団体でも、その団体に参加しておられるそれぞれの方々の思想・信条や政党支持の自由はきちんと守られるべきであるということが、私たちの立場であります。

 ですから、私たちは、医師会のみなさんと一致点での協力を願っておりますが、団体として共産党を支持してくれなどということは、求めません。どの団体にも求めません。政党支持は自由であることが一番正しい、民主主義にのっとったやり方だというのが、私たちの考えでございますので、どうか安心して(爆笑)、おつきあい願えればと考えております。

 以上をもってごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(大きな拍手)