2010年1月14日(木)「しんぶん赤旗」

国民とともに新しい政治を探求

激動の情勢 日本共産党25回大会始まる

志位委員長が報告


 日本共産党第25回大会が13日、静岡県熱海市の伊豆学習会館で始まりました。16日まで4日間の日程です。志位和夫委員長が開会のあいさつに立ち、「大会決議案」の分析と提起の土台には新しい党綱領があり、「過渡的な情勢」も綱領の目で見てこそ的確にとらえることができると指摘。前向きの一歩を踏み出した日本の政治をさらに前に進めることができるかどうかは、参院選での日本共産党の躍進にかかっていると力説しました。志位氏は、大会の任務として、(1)「大会決議案」を練り上げ、決定する(2)参院選の躍進をめざす全党の総決起への跳躍台とする(3)新しい中央委員会を選出する――という三つを提起しました。会場は全国から集まった約千人の代議員、評議員の熱気にあふれました。大会には、党の招待にこたえ、日本で活動している19カ国の大使・外交官が出席。志位氏は「決議案」についての中央委員会報告を約3時間余行いました。その後討論に入り、1日目は5人の代議員が発言しました。


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(写真)始まった日本共産党第25回大会=13日、静岡県熱海市

 中央委員会報告に立った志位委員長は大会決議案の章ごとに、全党討論をふまえて解明が必要な問題、情勢の進展にそくして補強すべき問題を中心に報告しました。

「過渡的情勢」とは

 第1章では、「過渡的な情勢」の意味を明らかにしつつ、「政治を変えたい」という国民の願いが、総選挙後も情勢全体を前向きに動かす大きな力として作用し続けていると指摘。新政権の動きだけで狭く情勢をとらえずに、国民全体の動きから大きく情勢をとらえる見地が重要だと強調しました。

 第2章では、「過渡的な情勢」のもとで、党が堅持すべき活動の根本姿勢として、結論を国民に押し付ける態度でなく、国民要求から出発し、新しい政治をともに探求する姿勢を堅持する大切さを力説しました。

国政の熱い焦点

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(写真)報告する志位和夫委員長=13日

 国政の熱い焦点となっている米軍基地と日米安保体制問題、経済危機問題でそれぞれの現局面と根本的打開の方向を提起しました。沖縄・普天間基地の無条件撤去の重要性や、現行日米安保条約50年にあたりその廃棄を国民の多数にすることを訴え。「基地のない沖縄・日本」への一大闘争をよびかけ、代議員は大きな拍手でこたえました。

 経済危機を打開するうえで「ルールある経済社会」への改革が緊急かつ根本的な処方箋(せん)になっていることを詳述しました。

 このなかで、OECD(経済協力開発機構)加盟国で、2007年までの10年間で労働者の雇用者報酬が減少したのは日本だけだと指摘。大企業の内部留保の一部を雇用や中小企業、社会に還元させる政策への転換や、税金と社会保障を本来の姿に取り戻す改革を提起しました。

 新政権の経済問題への対応では、財源問題の行き詰まりのなか、閣僚から消費税増税発言が飛び出していることに警鐘を鳴らし、消費税増税を許さない闘争をよびかけ、反動的逆行を許さないたたかいでは、比例定数削減に反対するたたかいを提起し、ともに会場から力強い拍手が起こりました。

 国民的共同の課題にかかわって志位氏は、労働運動の現状と展望について、(1)労働運動のナショナルセンターの違いをこえた一致する要求での共同をさらに発展させること(2)連合指導部が特定政党支持路線と労資協調主義路線という二つの重大な弱点を克服し、労働組合の潮流の違いをこえた共同に踏み出すことが強く期待されていること(3)労働者が要求にもとづく共同行動を前進させるうえで、全労連が果たす役割はいよいよ大きくなっていること―の3点を強調しました。

オバマ政権どうみる

 第3章の報告では、米国・オバマ政権について、前向きの変化が生まれつつある面と、覇権主義という点で変化が見られない面の二つの側面から党の立場をのべました。

 オバマ大統領の「核兵器のない世界」を現実のものにするうえでの「問題点や限界」を解明。核超大国が「核抑止」の名で自らの核戦略を正当化すれば、「核兵器が拡散した恐るべき世界」が訪れると警告し、「核抑止力」論からの脱却が求められていると訴えました。

 さらに、オバマ大統領が昨年11月の東京での講演で日米関係を「完全に平等なパートナー」としたことについて、動かしがたい事実を示して問題を提起しました。

 第一に、在日米軍基地では、「クリアゾーン」(利用禁止区域)、NLP(夜間離着陸訓練)、低空飛行など米国内では到底許されない危険な実態が横行していることです。

 第二に、日米地位協定による特権は、ドイツと比較しても著しく落差があり、米軍の横暴を許し、事件・事故・米兵犯罪の温床ともなっていることです。

 第三に、米政府高官が、日本国憲法9条を「邪魔」などといって繰り返し改変を求めるなど、主権国家間のまともな関係といえるかという問題です。

 志位氏は、「大統領がのべた『対等なパートナー』という言葉が真実のものであるならば、これらの異常な従属的関係は、すみやかに正されるべきではないか」とのべました。

 国際問題にかかわっては、昨年末に開かれた国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)での到達点をふまえ、地球環境問題のとりくみを具体的に提起しました。

参院選の条件と可能性

 第4章では、参院選が、たたかいいかんではこれまでの政党間の力関係を大きく前向きに変える条件と可能性をはらんだ選挙だと強調。新たな政党配置を明らかにし、広大な他党支持層、無党派層に広く党の姿を伝えきるならば勝利・躍進の条件はあるとのべました。

 活動方針については「比例を軸に」をつらぬく重要さを力説。全国どの党組織も、そこを「活動地域」とする候補者の当選だけでなく、比例5人全員の当選に責任を負っているとし、「全国は一つ」の立場で全員当選をなし遂げることを強調しました。

 また、決議案で提起した「有権者の過半数と対話」などの目標は、何よりも今日の情勢がそれを求めているからであること、新しい情勢のもとで生まれている党躍進の条件、チャンスを現実のものにするには、党勢拡大の大きな上げ潮で選挙をたたかうことが不可欠だとのべました。

 さらに、中期的展望にたった「成長・発展目標」という新しい提起の意味、職場支部と青年・学生のなかでのとりくみの強化などを報告しました。

 第5章に関して志位氏は、「未来社会への展望をもっていることが、目の前で解決が迫られている問題の打開の道筋とその意義を、より大きな視野と展望のなかで明らかにできる」と強調。当面する参院選での躍進をかちとり、さらに2010年代を党躍進の歴史的時期とするために、知恵と力を尽くそうとよびかけました。