2009年8月28日(金)「しんぶん赤旗」

「建設的野党」すでに力を発揮

共産党、現実政治を前に動かす

暴走止める「防波堤」


 自公政権退場後にどういう新しい政治をつくるのか――日本共産党は、「国民が主人公の日本」に向け、新しい政権に対して、“良いことには協力、悪いことにはきっぱり反対”という「建設的野党」の立場をとることを公約しています。いまの選挙戦のなかでも、すでに「建設的野党」の役割を大いに発揮し、期待が高まっています。


日米FTA 農業壊す断固反対

 日本共産党が、民主党の政策にきっぱり反対していることの一つが、「日米FTA(自由貿易協定)の交渉促進」です。民主党の政策に対しては、「日本農業への打撃は極めて大きい」「米国依存を強め、食料安保上の危険さえある」(日本農業新聞7月29日付)など、農業関係者を中心に、猛烈な反対が生まれています。コメの生産量が約82%減少するとの試算もあります。

 日本共産党の志位和夫委員長が「交渉に入るべきでない」と追及したのにたいし、民主党の鳩山由紀夫代表は「主要作物を守りながら交渉を進めることはできる」と答えました。(17日の日本記者クラブの党首討論)

 その後も小沢一郎・代表代行が「(協定に反対する関係者は)既得権益を守る観点から発言している。相手にする必要はない」(25日、千葉県君津市)などと発言。鳩山氏は「日米のFTA、これもすすめなければならない」(25日、群馬県高崎市)とのべ、交渉を推しすすめる姿勢を強めています。

 しかし、志位氏が指摘したように、米側は「日米FTAを実現するには、農業を含まないわけにはいかない」と明言。現在、高い関税がかけられているのはコメなど農産物だけで、これを抜きにしたFTAはありえません。「主食のコメまでアメリカに売り渡す政治には断固反対します」(志位氏)との訴えに注目が集まっています。

比例定数削減 具体化を許さない

 民主党は衆院比例定数80削減を掲げています。

 比例定数の削減は、議会制民主主義に破壊的な影響を与える大問題です。仮に、比例定数を80削減すると自民、民主の二大政党が議席の95%を独占するおそれもあります。「消費税増税反対」「憲法9条守れ」など国民の多数の声が国会に届かない結果となります。

 日本共産党は、「民主党がその具体化の動きを見せた場合は、絶対に阻止するために国民的大闘争を起こす」(志位氏)との決意を表明しています。

核密約

志位氏「非核の日本に」
鳩山氏、米と交渉約束

 日本共産党が「建設的野党」の役割をすでに発揮している実例の一つが、日米核密約の問題です。

 志位 (日本への寄港を繰り返すアメリカの)攻撃型原潜は核兵器をいつでも積める態勢を解除していない。(核密約は)今も続いている問題だ。

 鳩山 (政権をとれば)アメリカに行って事実を調査し、しかるべきタイミングで国民に説明する。

 23日のテレビ朝日系「サンデープロジェクト」の党首討論で、日本共産党の志位和夫委員長は核密約全文のコピーを示しながら、日本への核兵器持ち込みの仕組みを解明。民主党の鳩山由紀夫代表は、調査・公表を約束しました。

 さらに志位氏が「(密約を)公開、廃棄し、非核三原則の(核兵器を)『持ち込ませず』を文字通り実現し、非核の日本にする」ことを強く要求したのに対し、鳩山氏は「(日本に核兵器を)持ち込ませないよう(オバマ大統領に)OKさせるまで頑張る。オバマ氏を説得する」と約束しました。

 鳩山氏が約束した、核兵器を「持ち込ませず」の原則を米国に守らせる交渉を現実のものにするためにも、この問題を一貫して追及してきた日本共産党の前進が不可欠です。

給付制奨学金

志位氏「一致点で前に」
すべての党が賛同

 「お金がないから進学をあきらめた」などの例が絶えない日本の高学費。不況のもとでいっそう深刻です。

 こんな事態をなくそうと日本共産党が以前から求めてきた、学費値下げと返済不要の給付制奨学金の創設が、総選挙の争点になっています。

 志位委員長が23日の党首討論で「与党も野党も給付制奨学金をいいはじめている。一致点はどんどん前に進めよう」と呼びかけると、これまで必要ないといってきた与党も「(給付制は)支持している」(公明党・太田昭宏代表)と賛同しました。高校の授業料無償化も、日本共産党だけでなく民主党も公約しています。

 諸外国では当たり前の給付制奨学金も、高校の授業料無償化も、実現まであと一歩です。

 そのカギは日本共産党の前進です。

派遣法抜本改正など 新政権と協力し実現へ

 このほかにも、国民の願いに立って、政治を前に動かす課題はたくさんあります。

 正社員が当たり前のルールをつくる労働者派遣法の抜本改正、お年寄りに差別医療を押し付けてきた後期高齢者医療制度の撤廃、障害の重い人ほど負担を重くしてきた障害者自立支援法の「応益負担」の廃止、ひとり親家庭の命綱である生活保護の母子加算の復活、などなど。

 志位委員長は「これらは、かねてからの共産党の主張ですが、民主党のマニフェストにも共通の方向が記載されています。ですから、新しい国会で私たちはこういった一連の問題に関しては、新政権と協力してぜひ実現をはかりたい」(21日、外国特派員協会での講演)とのべています。


「財界主導」のゆがみ正す

 「民主党に、自公政権のもっとも悪い特質の一つである『財界主導』の政治と決別する意思はあるのか」。党首討論(17日)で、志位委員長は鳩山代表に迫りました。国民の暮らしを守ろうとすれば、どんな問題も「財界主導」の政治にぶつからざるを得ないからです。

 「使い捨て」の雇用や「働く貧困層」が広がったのは、1995年に日経連が出した「新時代の『日本的経営』」が、派遣労働自由化の出発点となったから。

 毎年2200億円の社会保障費削減も、経済財政諮問会議で日本経団連の会長が号令をかけて始まりました。消費税増税を政府に要求し続けているのも財界です。

 これに対し、鳩山氏からは明確な答えはありませんでした。

 やっぱり、「財界主導」という政治のゆがみを大本からただすには、企業献金を受け取っていない共産党を伸ばすしかありません。