2009年8月10日(月)「しんぶん赤旗」

米「核の傘」離脱し名実とも「非核日本」を

核巡航ミサイル廃棄反対の政府

恥ずべき行動やめよ

志位委員長が見解


 長崎被爆・64年の記念日となった9日、日本共産党の志位和夫委員長は、平和式典出席などのために訪れた同市で記者会見し、「米国の『核の傘』から離脱して、名実ともに『非核の日本』を――核巡航ミサイルの廃棄に反対する恥ずべき行動をやめよ」と題する見解を発表しました。(全文)


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(写真)文書を示して会見する志位和夫委員長=9日、長崎市

 会見の冒頭、志位氏は、オバマ大統領の「核兵器のない世界」演説など、歴史が大きく動き始めているなかで、自公政権がそのイニシアチブをなにひとつとらず、米国の「核の傘」への依存を繰り返し求めていることを厳しく批判しました。

 そのうえで、今回の見解発表の理由について、日本政府関係者がこの間、米側に、攻撃型原潜に搭載する核巡航ミサイル「トマホーク」の廃棄に反対する具体的な働きかけまでおこなっていることが、党の調べなどにより「間違いのない事実」となったからだと述べました。

 志位氏が明示したのは2点です。

 一つは、米議会が委託した調査・研究機関、「米国の戦略態勢に関する議会委員会」の最終報告書(今年5月)です。そこでは「ある特別に重要な同盟国」が、米国の抑止力の信頼性は戦力を配備する特別の能力に依拠していると主張してきたとし、また、アジアの若干の同盟国は「トマホーク」の退役を非常に懸念するであろうことが明らかになった、などとしています。

 もう一つは、7月末の共同通信の配信で、日本政府関係者の証言として、日本政府が「戦略態勢委員会」にたいし、戦術核戦力の堅持を求めているとの報道です。

 志位氏は、「トマホーク」の核弾頭は2013年以降、順次退役する計画になっているが、「こともあろうに、被爆国日本の政府が、核ミサイルを退役させるなと米側に働きかけていたとは、言語道断の重大問題だ」と力説しました。

 さらに、「この問題は、核密約問題との関係でもきわめて重大だ」と強調。「核密約はけっして歴史問題ではなく、いまも生きて作用している重大な問題だ。『トマホーク』の削減・撤去に反対する日本政府の姿勢は、核密約にもとづく核兵器持ち込みを続けてくれと日本側から要求したことにほかならない」と述べました。

 最後に志位氏は、日本共産党として▽政府は核密約を公開、破棄し、「非核三原則」を実行すること▽米国の「核の傘」から離脱して、名実ともに「非核の日本」を実現すること▽その第一歩として、核「トマホーク」の装備の堅持を米側に求め、オバマ政権の政策転換を妨害する恥ずべき態度をただちにやめること―を厳粛に求めると表明。「64周年の長崎の歴史的な日にあたって、『長崎を最後の被爆地に』という市民・被爆者の熱い思いを胸に刻んで、以上のことを日本政府に求めたい」と述べました。